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石内都が撮るフリーダ・カーロの軌跡

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2016年7月7日

石内都が撮るフリーダ・カーロの軌跡


石内都が撮るフリーダ・カーロの軌跡

 

資生堂ギャラリーでは、石内都展 「Frida is」が開催中だ。

石内都さんは、1947年生まれの群馬県出身で、これまで数々の賞を受賞している、日本を代表する女性写真家である。

 

イタリアで開催された国際的美術の祭典である第51回ヴェネチアビエンナーレでは、日本館の代表にも選出され、

2007年から原爆で亡くなった人々の遺品を撮影した「ひろしま」は、国際的に高く評価され、現在も国内外から

出展のラブコールが堪えない。

そんな中、2014年には「写真界のノーベル賞」と言われるハッセルブラッド国際写真賞を受賞している。

 

 

石内都1
石内都さん

 

本展覧会では、2012年にメキシコシティにあるフリーダ・カーロ博物館からの依頼により、メキシコを代表する作家※フリーダ・カーロの遺品を撮影した作品が展示されている。

 

 

石内都2

 

 

青の壁からは、空、海を体感してほしいと石内都さんは語る。

 

展示会場は赤、青、黄、そして薄紫のウォールカラーで構成されており、会場内に入った瞬間からフリーダ・カーロのパワーに満ちた雰囲気を感じとることができる。

恋多き女性として派手な生活を送っていたのではないかと言われているフリーダ・カーロだが、その一方では幼少期から体が不自由であった悲しい物語も存在していることを忘れてはならない。

そして、その悲しみは石内都さんによって撮影されたフリーダが使用していた薬品やコルセットというかたちで、私たちに彼女が辿ってきた激動の人生を静かに物語っている。

 

 

石内都3

 

 

石内都4
Frida love and pain #85 2012/2016 (c) Ishiuchi Miyako 

 

 

痛みをテーマとしたカラーとして選ばれた薄紫の壁紙。遺品には多くの薬品が残っていた。

 

石内都さん自身、フリーダ・カーロについては常識範囲内でしか知らなかったと語るが、フリーダ・カーロがあたかもそこにいるようなリアルな気配までも感じさせる写真は、撮影という対話を通してそっと心の扉を開いていた証にも思える。

女性の社会進出が厳しい時代に、一人の女性作家として生き方を模索し、波乱の人生を歩んだフリーダ・カーロ。

彼女の人生は今、石内都さんの写真を通して鮮やかに蘇り、現代を生き抜く私たちに力強いエールを与えてくれている。

 

 

石内都5
Frida love and ishinchi #27 2012/2016 (c) Ishiuchi Miyako 

 

 

All photos by Maru Arai and Naoko Tanaka
writing by  Naoko Tanaka

 

 

※1 フリーダ・カーロ

フリーダ・カーロ(1907年-1954年)は、20世紀前半というまだ女性アーティストが少ない時代に、自分自身のアイデンティティを模索しながらアーティストとしての地位を築いた人物です。華やかな刺繍やレースで飾られた民族衣装を身に着け、幼少期の病気や事故で体が不自由であったにもかかわらず、コルセットに装飾を施したり、民族衣装を自分の体に合わせてアレンジしたりと、苦しい状況の中でも常に美を意識していました。また、トロツキーやイサム・ノグチとの恋愛、メキシコの国民的英雄だった画家ディエゴ・リベラとの2度の結婚など、作品と共にその情熱的な生涯は現代の女性たちに今なお刺激を与え、広く共感を集めています。
(展覧会ホームページより引用:https://www.shiseidogroup.jp/gallery/exhibition/

 

 

【情報】

■石内都展 「Frida is」

主催:株式会社 資生堂

後援:メキシコ大使館 メキシコ大使館ロゴ

協力:The Third Gallery Aya/有限会社フォトグラファーズ・ラボラトリー/株式会社カシマ/有限会社小林額縁製作所

会期:2016年6月28日(火)~8月21日(日)

会場:資生堂ギャラリー

   〒104-0061東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階

Tel:03-3572-3901 Fax:03-3572-3951

平日 11:00~19:00 日曜・祝日 11:00~18:00

毎週月曜休(月曜日が祝日にあたる7月18日も休館)

入場無料

展覧会ホームページ

https://www.shiseidogroup.jp/gallery/exhibition/

☆石内都展は、資生堂の創業地である銀座から様々な美を発信する。第三弾となる今回のプログラム「BEAUTY CROSSING GINZA」に付随している。今回のテーマは「Timeless Beauty」だ。

石内都展と同時開催中の資生堂 宣伝・デザイン部デザイナーによる「Beauty Graphics2016 “ONGOING”」展も資生堂銀座ビルにて開催しているので、併せて鑑賞するのが良さそうだ。

 

■「資生堂銀座ビル(Ginza Communication Space)」

石内都「Naked Rose」シリーズの作品と、資生堂 宣伝・デザイン部のアートディレクター

4名による「Beauty Graphics展 2016 “ONGOING”」を展示します。

会期:2016年6月28日(火)~9月30日(金) (※石内作品は8月12日(金)まで)

開館時間:11:00~19:00

休館日:土曜日・日曜日・祝日・夏季休暇(8/13(土)-8/21(日))

住所:東京都中央区銀座7-5-5 資生堂銀座ビル 1F~2F

TEL:03-3575-5431(資生堂 企業文化部)

入場無料

協力(「Beauty Graphics展 2016 “ONGOING”」):凸版印刷株式会社

展示概要:①1Fロビー:石内都「Naked Rose」シリーズの作品

      ウィンドー:宣伝・デザイン部 片板豊樹の作品

      ②2F:石内都「Naked Rose」シリーズの作品

      宣伝・デザイン部 川原彩子、酒井理絵、髙礒恵子の作品

 

 



Writer

たなお

たなお - TANAKA NAOKO -

女子美術大学大学院在学中。
ドイツ留学中に出会った「日独伊親善図画」という1938年の児童画コンクールについて研究中。
学外ではライター、アートプロデュースアシスタントとして活動中。 

もし、良かったらだけど…インスタとかのURLとかも載せられるけど?