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今だからこそ、振り返る価値がある『特別展 技術発展の150年 日本を変えた千の技術博』

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2018年12月22日

今だからこそ、振り返る価値がある『特別展 技術発展の150年 日本を変えた千の技術博』


 

 

今だからこそ、振り返る価値がある『特別展 技術発展の150年 日本を変えた千の技術博』

 

 

現在、国立科学博物館で『特別展 明治150年 日本を変えた千の技術博』が開催中です。日本の技術発展に貢献した先人たちの業績がわかる、近代科学技術の大回顧展です。600点以上の展示資料から、明治初期から20世紀までの画期的な発明を知ることができます。

 

時系列に沿って展示資料が並び、テーマごとに資料が関連づけて展示されているのでわかりやすく、解説パネル、絵画、映像によって発明当時の様子や使い方が視覚的に理解できます。

 

 

 

おすすめポイント①日本の近代科学の歴史が学べる

 

 

 

明治維新から現代まで、およそ150年間の間に日本の科学技術は急速に発展しました。明治から大正時代には、自然科学、化学、医学から工芸まで、ヨーロッパの技術に学ぶ状態から、日本独自の成果をあげるまでになりました。科学にまつわる資料や工業製品によって、日本の技術が近代化・現代化したことが実感できます。気になった展示品を写真を中心に紹介したいと思います。

 

 

 


矢田部良吉(1851〜1899/植物学者)の留学時代のノート 1872(明治5)年 国立科学博物館

 

 

 

植物学者の矢田部良吉が、留学先のコーネル大学で、人体生理学について記したノート。読みやすい字と整理された図は、お手本にしたいです。

 

 

 


左:『旭焼 釉下彩鴛鴦図皿』 1893(明治26)年 ゴットフリート・ワグネル作 東京工業大学博物館
右:『旭焼 釉下彩雀図皿』 1885(明治18)年 ゴットフリート・ワグネル作 東京工業大学博物館

 

 

 

ゴットフリート・ワグネル(1831〜1892/ドイツの工業科学者)が開発に携わった旭焼(発明当初は吾妻焼と呼ばれました)の皿は、日本絵画をそのまま皿に写し取ったような繊細な絵付けが特徴です。

 

 

 


日本で3番目に設置された乗用エレベーター 1901(明治34)年 オーチス社/製(イギリス) 国立科学博物館
エレベーターボーイ(マネキン)ヤマトマネキン/製 国立科学博物館

 

 

 

こちらの写真のエレベーターは、1966(昭和41)年国立科学博物館に寄贈され、1985(昭和60)年まで常設展示されていました。レトロなエレベーターと素朴なマネキンの雰囲気が合っていて趣のある写真を撮影することができます。

 

 

 


右下:高速度カメラ(部分)1930年頃 国立科学博物館
   1秒間に4万5千コマ撮影できます。航空研究所で研究のために使われました。高速で動くカメラを
   おさえるため、金属の重いカバーが付けられています。丸くずんぐりとしていて温かさを感じる形です。
左下:二式一一五〇馬力発動機(部分) 1943(昭和18)年12月製造 中島飛行機武蔵野製作所/製
   国立科学博物館 第二次世界大戦時、多くの飛行機に搭載されました。

 

 

 

第二次世界大戦後には、戦争中に発達した武器に関わる技術を応用して現代科学技術が発展しました。

 

 

 


電子レンジ(業務用)DO-2273B 1961(昭和36)年 東京芝浦電気/製 東京未来科学館/東芝ライフスタイル

 

 

 

電子レンジは、アメリカのレーダー技師が戦争中の研究で発想を得たと言われています。この電子レンジは現在の平均的な家庭用冷蔵庫よりも大きく、この約50年間で電子レンジが小型化したことが見て取れます。

 

 

 

おすすめポイント②懐かしい展示品がたくさん!

 

 

 

昔は当たり前のように身の回りにあったのに、いつの間にか見かけなくなった科学技術製品も展示されています。鑑賞しているうちに使っていた頃の記憶が鮮やかによみがえるかもしれません。

 

 

 


上段左:電話ボックス用公衆電話(黄色) 1972(昭和47)年登場 所蔵:NTT技術史料館
上段右:5号自動式公衆電話(赤電話) 1955(昭和30)年 所蔵:NTT技術史料館
下段左:3号自動式卓上電話機 1933(昭和8)年登場 所蔵:国立科学博物館
下段右:4号自動式卓上電話機 1952(昭和27)年登場 所蔵:国立科学博物館

 

 

 

ガラスケースの中に展示されていると卓上電話機すら遠い昔の製品のように思えますが、現在もまだまだ、使用可能です。

 

 

 


お面、筆箱、起き上がり人形 所蔵:セルロイドハウス横濱館

 

 

 

セルロイド製品は、燃えにくいプラスチック製品に取って代わりました。子どもにとってなじみのある展示品は、大人による大人のための工業製品が展示されている中で異彩を放っています。

 

 

 


左:ベーシックマスター MB6880 1978(昭和53)年発売 日立製作所/製 国立科学博物館
右:パーソナルコンピュータPC-8001 1979(昭和54)年発売 NEC/製 国立科学博物館

 

 

 

約40年前のパソコンは「おもちゃ」でしたが、情報技術の発展を支える人々を生み出しました。現代人にとって必需品ですね。

 

 

 

おすすめポイント③インパクト大!おすすめフォトスポット

 

 

 

今回の展覧会では、一部を除いて展示の撮影が可能です。印象に残る写真を撮ることができるスポットを紹介します。

 

 

 

1.迫力満点!守護者のような鬼龍子

 

 

 


鬼龍子 所蔵:国立科学博物館

 

 

 

大迫力の鬼龍子は、昌平坂学問所にあった像です。今回は展覧会会場入り口で私達を出迎えてくれます。

 

 

 

2.かわいらしい人体模型

 

 

 


人体模型 島津製作所/製 吉富ノ庄

 

 

 

学校の理科室に人体模型があったことを覚えている方も多いと思います。こちらの模型は表情が穏やかで筋肉や内臓の表現もリアル過ぎず、そこまで不気味な印象はありません。

 

 

 

3.これぞフォトジェニック 蛍光色に光る繭

 

 

 


光る繭 農業・食品産業技術総合研究機構

 

 

 

暗闇で緑の蛍光色に光る繭は写真で見るより、肉眼で見る方が美しさがわかると思います。是非、実際に足を運んで鑑賞していただきたいです。

 

 

 

4.懐かしの黒電話と・・・記念撮影コーナー

 

 

 

 

 

 

日本の科学技術の歴史を勉強したり、工業製品の緻密さに驚いたり、懐かしい電化製品に出会ったり…。様々な楽しみ方ができる展覧会です。また、友人、家族など、一緒に見る人によっても色々な見方ができます。明治維新から現在までの150年間を科学技術という視点で振り返る、絶好の機会をお見逃しなく!

 

 

 


ミュージアムショップでは、懐かしい駄菓子やレトロなグッズが販売されています。

 

 

 

参考文献:『特別展|明治150年記念 日本を変えた千の技術博』2018年

 

 

 

【開催概要】
特別展 明治150年記念 日本を変えた千の技術博
会期:開催中〜2019年3月3日(日)
会場:国立科学博物館(東京・上野公園)〒110-8718 東京都台東区上野公園7-20
開館時間:午前9時〜午後5時
※金曜日、土曜日は午後8時まで
※入場は各閉館時刻の30分前まで
休館日:毎週月曜日、12月28日(金)〜1月1日(火)、1月15日(火)、2月12日(火)
※ただし、12月24日(月)、1月14日(月)、2月11日(月)、2月25日(月)は開館
お問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル) FAX:03-5814-9898
アクセス:JR「上野駅」(公園口)から徒歩5分、東京メトロ銀座線・日比谷線「上野駅」(7番出口)から徒歩10分、京成線「京成上野駅」(正面口)から徒歩10分
※当館に駐車場および駐輪場はありません。
※今後諸事情により開館時間、閉館日等について変更する場合があります。
公式サイト:http://meiji150.exhn.jp

 

 

 

テキスト/写真 耳塚里沙

 

 

 

 

バナー画像は
上段左:電話ボックス用公衆電話(黄色) 1972(昭和47)年登場 所蔵:NTT技術史料館
上段右:5号自動式公衆電話(赤電話) 1955(昭和30)年 所蔵:NTT技術史料館
下段左:3号自動式卓上電話機 1933(昭和8)年登場 所蔵:国立科学博物館
下段右:4号自動式卓上電話機 1952(昭和27)年登場 所蔵:国立科学博物館

 

 

 

 



Writer

耳塚 里沙

耳塚 里沙 - mimizuka risa -

学生ライター。

大学では日本美術史を専攻中。

明治時代の洋画について勉強している。

美術館に行くことが好き。

将来は学芸員として美術館で働きたいと考えている。