美術史に学ぶ恋愛テクニック
「安心感を与えるベラ ~一途に愛される女性になる方法~」
「町の上で、ヴィテブスク」
今年、森美術館で開催されていたLOVE展(4月26日~9月1日)で見ることができた「町の上で、ヴィテブスク」の絵。
こちらの絵には、小さな町を舞台に愛し合うシャガールとベラの姿が描かれていました。1915年、ふたりは結婚し、この頃からシャガールの作品には抱き合う恋人たちが町の上空を浮遊する光景や、結婚がモチーフとして多く登場しているそうです。シャガールは天にも昇るような夢見心地の幸せな気分を、重力を超えて浮遊するふたりとして表現したと言われています。
「平和」
また先日、宮城県立美術館で開催されている(~10月27日(日)その後各地を巡回)「シャガール展」にも行ってきました。
そこでは、シャガールの幻想的な色彩が散りばめられた絵画空間ではなく、ステンドグラスや舞台装飾、陶芸、彫刻、タピスリーといった様々な分野の作品を見ることができました。代表的なモニュメントを見て、シャガールの新たな魅力を知ることができました。
これらの作品を見て、素敵な作品を制作し続けたシャガールを支えたベラについてもっと知りたくなりました。
「枝」 「誕生日」
シャガールとベラは、魂で結ばれていた宿命の恋人と言われています。
ベラはシャガールの絵の中では花嫁であり、ミューズであり、恋人であり、妻であり、魂だったよう。それは、ベラが亡くなって彼のパートナーが変わっても同じことで、ベラはシャガールの中で絵のモチーフとして永遠に生き続けました。
シャガールとベラ
実生活でも、ベラはシャガールの母であり、仕事上のパートナーだったようです。彼女はシャガールのあらゆる問題を処理し、契約を取り仕切り、絵画制作を鼓舞したようです。
シャガールの最も近くにいて、常に見守っていたベラ。ベラが亡くなった際には、半年間絵を描くことができなかったそうです。理解してくれている人がそばにいるという安心感が、彼の創作に大きな影響を与えたのだと思いました。
*ベラから学ぶ一途に愛される方法
今回のキーワード 「安心感があり、相手の理解者となる女性」
*マルク・シャガール(1887年~1985年)
現ベラルーシのヴィテブスクに生まれる。
豊かな色彩と奔放で幻想的な想像力で描いたシュルレアリスムの先駆者。
ステンドグラスや舞台装飾、陶芸、彫刻、タピスリーといった様々な分野の作品を制作した。
*作品に会える場所
青森県立美術館、ポーラ美術館、福岡市美術館、三重県立美術館
*参考文献
●木島俊介「もっと知りたい シャガール」
●視覚デザイン研究所編 「巨匠に教わる 絵画の見かた」
●視覚デザイン研究所編 「101人の画家“生きてることが101倍楽しくなる”」
●千足伸行 林綾野 「あの名画に会える美術館ガイド」
●小学館「画家名で探す 日本で見られる西洋名画」