西へ東へアート放浪記
夏にピッタリ。たゆたう水面の画家とウィーンのアルベルティーナ美術館
ウィーンにはアルベルティーナという名の美術館があります。オーストリア、ハンガリー、チェコ一帯を支配したハプスブルク家の旧邸宅を使っているので、豪華絢爛なのは言うまでもありません。
入り口からホールまでとっても美しい。
旧邸宅前では(繁栄した当時を偲んで?)馬車の駐車場になっています。
こんなにクラシックな雰囲気満載なのに、おもいっきりモダンな展示をやってしまうところにヨーロッパの美術文化の懐の深さとアートを面白がるココロを感じます。
今回はエリック・ フィッシュル(Eric Fischl)の特別展示にいってきました。
The Critics / Fischl / 1979
フィッシュルは1948年生まれのアメリカ人アーティスト。「アメリカンリアリズム」と言われる作風、写真で日常を切り取ったような「凍結した瞬間」を追い求めている。
映画のワンシーンにも見えます。
Study for Floating Islands / Fischl / 1985
水をたっぷり含んだようなみずみずしさ、それでいて色の発色が素晴らしい。
Untitled / Fischl / 2008
たゆたう水面。絵の中にドボン!と沈んでいきたくなります。
Swimming Lovers / Fischl / 1984
「一瞬」を切り取る術は彫刻でも絶妙で、会場内には「ダンサー」という作品もありました。 腹筋に力を入れる「ふっ」という息がきこえてきそうです。
Dancer / Fischl / 2007
アルベルティーナでは研ぎ澄まされた近代アートの他に、19世紀の作品も充実しています。
House among the Roses / Cloude Mone / 1925
そしてなんと「ロシア部屋」なるものを発見しました!(キャーキャー)
ロシアの民話や農民のアートに着想を得た20世紀初頭のアーティストの作品がありました。 日本ではなかなかお目にかかれないものです。
The Blue Cow / Natalia Goncharova / 1911
ここまでですでに見応えのある展示なのですが、 アルベルティーナ美術館が特に有名なのはその素画と版画コレクションなのです。(今までの展示ですでに大充実だったのにまだまだメインに達していない!?) 素画をじっくり観たことなかったのですが、
400年以上前に線が引かれたとは思えない親近感を感じます。
そして素画の中でも特に有名なのがこのうさぎ。なんと1502年に生み出された作品なのですが、うさぎは活き活きと現代のポスターに出演しまくっています。
このうさぎが有名過ぎて、アルベルティーナのウェブサイトにいくとマウスのポインターがうさぎだし、お土産コーナーもうさぎだらけ。
アルベルティーナ美術館はウィーンの中心地にあるので、旅行の際はぜひお立ち寄り下さい。
アルベルティーナ美術館サイト
http://www.albertina.at/?rel=jp
Eric Fischl公式サイト(作品が多く掲載されています)