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「ウフィツィ美術館展」に学ぶ、世界一美しい女神パラスのキレイの秘密

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2014年10月15日


「ウフィツィ美術館展」に学ぶ、世界一美しい女神パラスのキレイの秘密


 「ウフィツィ美術館展」に学ぶ、

世界一美しい女神パラスのキレイの秘密

 

 

 

 

女王様「鏡よ鏡! 世界で一番美しい女性はだ〜れ?」
鏡  「ボッティチェリが描いた女神パラスでございます、女王様!」
女王様「・・・。」

 

芸術の都として名高いイタリアはフィレンツェにあるウフィツィ美術館に収蔵されている、

世界で一番美しく、賢く、勇敢な女神パラスの絵画『パラスとケンタウロス』が上野・東京都美術館にて展示されています。

この作品を通して絵画に見る芸術の美しさや女性の美について少し考えてみましょう。

 

「再生」の意味を表す言葉「ルネサンス」は、美術史上では古代ギリシャ・ローマの再生・復興を意味します。

その文字通り、ルネサンス期は、古代ギリシャローマ文化をベースとした様々な学問や芸術がフィレンツェで花開いた時代でした。

中世の時代にキリスト教の倫理観によって排除されていた古代ギリシャ・ローマの文化ですが、12世紀頃になるとイスラム圏との交流を機にイタリア国内で古代ギリシャ・ローマの文化・学問の再評価が始まったことが、14世紀に始める古典古代文化復興(ルネサンス)のきっかけとされています。

上野の東京都美術館にて開催されている「ウフィツィ美術館展 ~黄金のルネサンス ボッティチェリからブロンヅィーノまで~」では、15世紀から16世紀にかけてのフィレンツェ美術の流れを鑑賞することができます。

 

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「ウフィツィ美術館展 ~黄金のルネサンス  ボッティチェリからブロンヅィーノまで~」は以下の4章により構成されています。

 

第1章 大工房時代のフィレンツェ
第2章 激動のフィレンツェ、美術の黄金期の到来
第3章 「マイエラ・モテルナ(新時代様式)」の誕生
第4章 フィレンツェ美術とメディチ家

 

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 サンドロ・ボッティチェリ『パラスとケンタウロス』

この展覧会のみどころの一作は、サンドロ・ボッティチェリ(1444~1510)の代表作の一作『パラスとケンタウロス』です。

ボッティチェリは『パラスとケンタウロス』を1480~1485年に制作しました。「学問の女神パラスがケンタウロスの粗暴を抑えてその欲を見張る」という主題は、女性、特に花嫁の貞潔に結びつくこともあり、この作品はメディチ家のロレンツォとセミラミデ・アッピアーノの1482年の結婚との関わりから注文されたと考えられています。

学問の女神パラスの頭部や体に巻き付くオリーブは「勝利と平和」を象徴します。一方、上半身が人間・下半身が獣のケンタウロスは、暴力や肉欲など、「人間の獣性」を表します。この作品は、新プラトン主義的な解釈では「理性による獣性の制御」を表していると考えられています。

遠い海には船が浮かび(よく見ると船に人が乗っているのが分かります。どこから来て、どこへ向かうのでしょうか!?)、片足に重心をかけたコントラポストという古代ギリシャ彫刻の伝統的ポーズを参照している点、それに内面から湧き出る人間性あふれる女神の美しさ。ルネサンス期絵画に表現される三つの特徴(遠近法・身体表現・人間性)が作品にははっきりと表現されています。

様々な学問や芸術がフィレンツェで花開いた時代、人間の獣性に勝る女性の「知性」「美」「理性」を描くことは大変重要な意味があったのでしょう。言い換えるならば、女神パラスのように美しくあるためには、「知性」「美」「理性」を兼ね備えた才色兼備な女性でなければならなかったのです。

 

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ピエトロ・ペルジーニ『ピエタのキリスト』

 

こちらはボッティチェリ作『パラスとケンタウロス』と共にこの展覧会に来ているピエトロ・ペルジーノ作『ピエタのキリスト』の作品。ピエタはイタリア語で哀れみ・慈悲を意味します。キリストが亡くなり、十字架から降ろされたキリストを抱く聖母マリアの彫刻や絵をピエタと言います。

キリストがゴルゴダの丘にて十字架で亡くなり、聖母マリア含む三人の聖人たちに十字架から下ろされた時の様子。フレスコに描かれたこのイエス・キリストの体がとても美しく描かれています。

この絵画が展示されていたであろう、昔の教会を想像してみましょう。電気はまだ発明されていない時代、教会の中は蝋燭が灯されるとても厳かな空間。この『ピエタのキリスト』を灯す光はわずかな蝋燭の光のみ。フレスコ画に見える受難を背負ったイエス・キリストの姿を、教会に来る人びとはきっと祈るような想いで見ていたのでしょう。なんとも素朴で美しく感動的な一作です。

 

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ドメニコ・ギルランダイオの『聖ヤコブス、聖ステファヌス、聖ペテロ』

 

聖ヤコブスはイエスに「雷の子」と呼ばれたほど、熱心なイエスの御弟子さんでした。

一方、イエスに「岩」という意味を持つ「ペテロ」の名を授けられた聖ペテロは、最も信頼された弟子の一人だったそう。キリスト教絵画の中で、ペテロを示すモチーフは手に握っている「天国への鍵(イエスから授けられたものと言われています)」と「書物」です。

聖ステファヌスは三世紀のローマ法王。彼がローマ法王になった時代(254-257年)は、迫害を受け棄教した信徒たちが再び信仰を希望する際、共同体に向けるべきなのか?あるいは再び洗礼を受けさせるべきか問題になった時代でした。

古代ギリシャ・ローマの再生・復興を意味するルネサンス期にこの信者三人が描かれたことは何か意味があるのでしょうか!?

みなさん是非ウフィツィ美術館展に足を運んでみて下さい。

 

 

 

 

 

 

 《開催概要》
2014年10月11日(土)~12月14日(日)
「ウフィツィ美術館展―黄金のルネサンス ボッティチェリからブロンヅィーノまで―」

東京都美術館

展覧会公式WEBサイト:http://www.uffizi2014.com/

 



Writer

Yuria Yoshida

Yuria Yoshida - よしだ ゆりあ -

青山学院大学文学部卒。
ロンドン大学院ゴールドスミスカレッジ​教育学部修了。
大学在学中より​世界中​の美術館巡りなどを通して、日本と西洋の​文化的な​つながりを模索する。
在学中、ニューヨークにある​The Art Students League of New York​にアート短期留学​。卒業後、オハイオ州​にあるDenison​大学​で日本語・日本文化教師​として勤務。

 

パリにある国連ユネスコ本部のお庭でコンテンポラリーなお茶会を開くこと​と​絵本を出版すること​​が夢。​
ルイス​・​キャロル​など、​​イギリス児童文学​に興味があり​。
好きな作家はヴィクトル=マリー・ユーゴー​とキャサリン・マンスフィールド​​とジョンロック​​。
​好きな詩は、W.H.オーデン作 「1939年9月1日」。