美しさと衝動。ピエール=エリィ・ド・ピブラックが写す幻想写真に触れる
〜11月13日(土)まで、THE CLUBにてパリ出身のアーティスト、ピエール=エリィ・ド・ピブラックの個展、『CATHARSIS』が開催されています。
1983年フランス、パリ生まれのピエール=エリィはパリ・オペラ座のバレエ団をテーマにした写真作品シリーズ『In Situ』で国際的な評価を得て、アメリカ、キューバ、日本など、世界各国に展示を開催しています。
写真家であった祖父から影響を受け、写真という写実的なツールを使いながらも、美しい抽象的な表現をする彼の作品を紹介していきたいと思います。
左:《Catharsis #25》 2014 Hahnemühle Ultra Smooth, coal pigments,print made 2021 130 x 97.5 cm
右:《Catharsis #27》 2014 Hahnemühle Ultra Smooth, coal pigments,print made 2021 130 x 97.5 cm
彼の代表作のシリーズ『In Situ』(ラテン語で”その場に置いて”、”あるがままの位置”) は3部作で構成されていてます。
200点近くにも及ぶモノクロ写真でダンサー達のあるがままの姿を撮った『CONFIDENCES』、 超ワイドレンズでオペラ座をはじめとした美しい建築物と共にダンサー達を撮影した『ANALOGIA』、そして今回の『CATHARSIS』が最もエモーショナルで抽象的なシリーズになっています。
去年の2020年には東京、銀座のCHANEL NeXus HALLや、京都での国際的な写真祭、KYOTOGRAPHIEでも『In Situ』が展示されていました。
ピエール=エリィの公式ウェブサイトで3部作の作品やシリーズのビデオ映像も見れるのでオススメです。
《Catharsis #1》 2013 Hahnemühle Ultra Smooth, coal pigments,print made 2021 100 x 75 cm
抽象化されているからこそ感じる目に見えないエネルギー、ダイナミックさ、そして美しさをと感じれます。写真作品と感じさせないような柔らかさと絵画的な雰囲気があって、まるで有名な印象派画家、エドガー・ドガが描く踊り子の絵を見ているよう。
このシリーズの作品達はどれも加工を一切せず、1960年代の古いレンズを使って撮影しているのだとか。
《Catharsis #3》2013 Hahnemühle Ultra Smooth, coal pigments,print made 2021 150 x 200 cm
ピエール=エリィは長年オペラ座のダンサー達の舞台裏をテーマに撮影することを夢見ていたそうです。オペラ座という高貴な舞台で脚光を浴びるダンサー達の裏に隠れている努力、人間的な部分、彼ら、彼女らが表現するアートの根源をピエール=エリィ自身が撮影したかったのではないでしょうか。
《Catharsis #20》 2014 Hahnemühle Ultra Smooth, coal pigments,print made 2021 150 x 200 cm
シリーズのタイトルである『カタルシス』が表すように、アーティスト自身にも、被写体であるダンサー達にも、そして作品の前に立ち鑑賞する私たちにもそれぞれ形の違うカタルシスが生まれるのではないでしょうか。
《Catharsis #23》 2014 Hahnemühle Ultra Smooth, coal pigments,print made 2021 100 x 75 cm
本展以降THE CLUBはウェブ予約なしでも展示を見に行けるようになったので、気軽に足を運べるのが嬉しい。美しく、エレガントで、感情を揺さぶる気鋭のアーティストの作品、是非この機会にご鑑賞ください。
【展覧会情報】
ピエール=エリィ・ド・ピブラック Catharsis
Pierre-Elie de Pibrac Catharsis
会期:2021年10月16日(土)~2021年11月13日(土)
会場:THE CLUB
住所:東京都中央区銀座6丁目10-1 GINZA SIX 6F
時間:11:00〜19:00
TEL:03-3575-5605