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「この人に会いたい」 〜オールファッションアート研究所 代表 松本ルキさんインタビュー

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2013年11月22日


「この人に会いたい」  〜オールファッションアート研究所 代表 松本ルキさんインタビュー


「この人に会いたい」

〜オールファッションアート研究所 代表 松本ルキさんインタビュー

 

 

 

 

2013年10月26日より神奈川県立近代美術館 葉山にて開催されている 「松本瑠樹コレクション ユートピアを求めて 〜ポスターに見るロシア・アヴァンギャルドとソヴィエト・モダニズム〜」

 

今回の企画展は、ファッションブランド「BA-TSU」のデザイナーであり世界的なポスター収集家だった松本瑠樹(まつもとるき1946-2012)さんのコレクションから、ワシーリー・カンディンスキー、カジミール・マレーヴィチ、アレクサンドル・ロトチェンコ、ステンベルク兄弟など、映画「戦艦ポチョムキン」のポスターといった有名作品に加え、多くの未公開作品を含むポスター約180点を展示。後に評価されることになったロシア・アヴァンギャルドの高い芸術性と当時のロシアの情勢が垣間みられる貴重な機会です。

 

昨年他界された松本瑠樹さんのご子息である松本ルキさんが今回の企画展のオーナー。 「すべてのファッションをアートにまで高めることを研究する」ことを目的として、1971年に設立された「オールファッションアート研究所」を瑠樹さんより引き継がれ、アートギャラリー、アパレル、美容、飲食など、幅広い分野でご活躍されています。

展示の見どころから、ご自身のお仕事に影響を及ぼした芸術にくわえ、普段なかなか知ることが出来ないデザインの観点からのお話を伺ってきました。

 

 

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Girls Artalk(以下G):今回の展示を実施したきっかけは何ですか?

 

松本ルキさん(以下 松):父・松本瑠樹は、デザイナーとして、ファッション業界で40年以上に渡り、お世話になってきました。自らもアトリエにて絵筆をとっていた父は、目利きのアートコレクターでもあり、世界的にも著名なポスター収集家でした。

40年以上の歳月と情熱をかけ、構成されたポスターコレクションの中で、最も充実したロシア・アヴァンギャルドのポスター群を、1917年のロシア革命からもうすぐ100年が経とうとしている今、是非多くの方々に見て頂きたいと考えました。

 

 

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G:そもそも瑠樹さんは、なぜポスターを集めていたのでしょうか?

 

松:父は生前よく言っていました。「人類に与えられた最大の資源は、二つのソウゾウ力、イマジネーションとクリエイティビティ。自分のソウゾウ力に刺激を与えてくれたものを手に入れていったら、いつの間にかコレクションの形になってきた。ファインアートつまり一点もの=アート、と見なされていて、ポスターのように量産されるものはデザインでありアートじゃない、という垣根がある。それを取り払いたいんだ。」父が創立し、今私が引き継いでいる「オールファッションアート研究所」も、すべてのファッションやデザインが垣根を越えてアートに昇華されるところまで研究しようというもの。

ポスター芸術もその一つ。1人の人が最後まで仕上げる絵画と違って、クライアント、デザイナー、モデル、カメラマン、印刷技術者など、多くの人の手があってこそ成り立つオリジナリティのあるアートの形だと思うのです。

 

 

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G:アートとデザイン、それをアートとアートじゃないものと位置づける境界線はないということですか?

 

松:そう考えています。芸術感には個人差があります。1人の人がこれが面白いと思っている時にもう1人の人は、今はそう感じていない。でも、いずれ感じることがあるかもしれない。気温差があると風が生まれるように、違った感性が出逢ってこそ、アートは発展していって面白いものになると思います。

 

 

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G:世界的なポスターのコレクターと伺っていますが、なぜロシア・アヴァンギャルドのものを?

 

松:もちろんロシア・アヴァンギャルドだけでなくいろんなポスターを集めていて・・・総数は2万点ほどになると思います。

父も僕もアール・デコが好きなので、作品数としては一番多いかもしれませんが、ポスターが社会に与えた影響という意味でも、ロシア・アヴァンギャルドは欠かせない分野の一つでした。アール・デコもロシア・アヴァンギャルドも同じ時代に花開いた芸術文化の一つ。デ・スティルやバウハウスなどとともに、それぞれの芸術文化が互いに影響を受けてあっている。この時代のポスターの一番面白いところです。

 

 

 

G:ロシア・アヴァンギャルドはもともと芸術を目的に作られたものではないので、これだけの数のものがこれだけ残っているのに驚きました。ポスターなのに、こんなにいい状態で。

 

松:デザイン性、希少価値、保存状態に大変高い評価を頂いています。マニアックな世界だけど魅力的。今回は点数が多いのでとにかく迫力を感じてもらえると思います。「この展示を見た人は、きっと一生忘れない」と、そんな声もあがっています。

 

 

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G:当時のロシアでは識字率が低かったので、このようなポスターが生まれたと聞いたことがあります。

 

松:そうそう。それに思想教育という意味も込めて国全体で映画に力を入れていたから、映画のポスターが多いんです。エイゼンシュテイン監督の映画「戦艦ポチョムキン」のポスターもそのひとつです。

 

 

 

 

G:今回の展示の面白味や旨味を松本ルキさんならではの視点で教えてください!

 

松:ロシア・アヴァンギャルドのポスターは歴史的な価値があることはもちろんですが、フォトコラージュなど、当時コンピューターもなかった時代にアナログに作られたデザイン技法が多用されている点が、とても興味深いと思います。

 

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G:お仕事にこういったアートが活かされたりはするのですか?

 

松:もちろん。やはり美しいと感じたものは活かされています。美しさとはバランス。バランスの良いものは横から見ても逆さから見ても美しいんです。それは私の仕事であるファッションだけでなく、多くの分野に通じるんじゃないかな、と思います。

 

 

 

G:展示を見にいらっしゃるお客様へメッセージはありますか?

 

松:アートを見た時に美しい、と感じるのは人それぞれの感性。それぞれの感性が刺激を受け、喜んでくれたら嬉しいです。神奈川県立近代美術館、素晴らしい美術館です。会期も長いですので、是非、冬の葉山にいらして下さい!

 

 

 

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「松本瑠樹コレクション ユートピアを求めて 〜ポスターに見るロシア・アヴァンギャルドとソヴィエト・モダニズム〜」は2013年10月26から来年2014年1月26日まで神奈川県立近代美術館 葉山にて開催。

膨大な数のポスターとともにロシア・アヴァンギャルドを体験できるポストカード作りのブースや、ポスターの一部になれるフォトブースなど、くすっと笑える楽しい企画も。

 

近代的なたたずまいの建物と、海が見えるカフェテリアといったいつもの美術館とはまた違った感覚になれる異空間で、ぜひロシア・アヴァンギャルドの世界に触れてみてください。

 

 

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企画展のFacebookページもぜひチェックして☆

http://www.facebook.com/SeekingforUtopia

 

 

 

 

神奈川県立近代美術館 葉山

〒240-0111
神奈川県三浦郡葉山町一色 2208-1
電話:046-875-2800(代表)

http://www.moma.pref.kanagawa.jp/

 

 

 

 

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松本 ルキ Ruki Matsumoto

 

(株)オールファッションアート研究所 代表取締役

商店街振興組合 原宿表参道欅会 副理事長

NPO法人 グリーンバード 理事

NPO法人 シブヤ大学 監査 原宿表参道キャンパス校長

 

1971年、東京、原宿生まれ。明治大学経済学部、文化服装学院アパレルデザイン科卒業後、ロンドンのデザイン企画会社『 Global  Consultants 』のクリエイティブ・チームを経て、ファッション・ブランド『BATSU』のクリエイティブ・ディレクターに就任。映画『バトル・ロワイアル』『バトル・ロワイアル2』の衣装デザインを担当。ヘアサロン『AArtirior』『Bacchus』、LAのコスメティックブランド 『APOTHIA』、ヨガスタジオ『yoggy』、自然食レストラン『もみの木ハウス』、尺八奏者『き乃はち』、シェアサイクル事業『コギコギコミュニケーションズ』のプロデュース等。

 



Writer

Ayaka

Ayaka - あやか -

慶應義塾大学 文学部 美学美術史学専攻卒
10歳の誕生日プレゼントとして、パリで心ときめく美術館めぐりを体験し、芸術、アートのトリコに。その情熱をもって入学した大学の専攻では大好きなアートについて学ぶ。大学卒業後はマスコミ関連の会社で仕事をしつつ、お休みの日はスイッチをオンにする為にもオフにする為にも、うきうきと美術館に足を運ぶ。好きなアートは絵画。作家はフランソワ・ガラ、アンリ・ファンタン=ラトゥール、ウジェーヌ・カリエールなど。






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