「佐藤直樹と伊藤桂司の反展」Interview vol.1伊藤桂司
アートディレクターでありイラストレーターでもある佐藤直樹さん、伊藤桂司さんのお二人が、これまでにない展覧会のあり方に初挑戦!
普段は舞台演出を手がけるメンバーも巻き込みスタートした「反展」は空間そのものが作品。佐藤さんが白い紙に黒い木炭で、伊藤さんが黒板に白いチョークで、それぞれ描いてく作品に呼応しながら、レイアウトも、小物も、ライティングや音響まで・・・日々どんどん変化していくという前代未聞の展覧会です。
一体どんな仕組みで成立したのか、制作にあたり綿密な計画があったのか…など疑問をぶつけてきました。
Interview 「反展」vol.1伊藤桂司
girls Artalk(以下G):今回の展覧会をやることになったきっかけは何でしたか。
伊藤桂司(以下I):佐藤さんの作品との出会いは、廃校になった東京電機大学の地下に描かれた巨大な壁画でした。展示スペースの周辺環境を描くというシリーズで、もう、ものすごく衝撃を受けて感動したのが、そもそものはじまり。
僕が黒板にドローイングをするようになったのは割と最近のことで、2013年の7月末に奥さんがテキーラバルを大井町でオープンしたんですが、内装の一部である黒板に、テキーラのボトルやラベルの絵を描いたのがきっかけです。それが意外と評判がよく、桑原茂一さんからお誘いを受けてディクショナリー倶楽部 千駄ケ谷でも大きな黒板に描かせて頂きました。
そんな中、タンバリンギャラリーの高橋キンタローさんがお二人の合同展をやろうという話を持ちかけたそう。
今回の展覧会のタイトルにもなっている「反展」。キーワードとなる反転は言葉のとおりネガポジ反転の意味で、
伊藤さんは黒い黒板に白いチョークで描く。
佐藤さんは白い紙に黒い木炭で描く。
という分かりやすい「色」の反転もあれば、
伊藤さんは印刷物の中からモチーフを選んで、コラージュ的な方法で描く。
佐藤さんは現実のリアルなものを、フィールドワークをして描く。
という描くスタイルも実は反転だったのです。
伊藤さんの作品の元になった印刷物をみせていただくことに。
海外の古い雑誌や、エロ本まで(笑)ずらりと。
古本屋さんや海外などなど、色々なところで集めてきたものだそうです。
昔の輸入のエロ本は規制が厳しくて修正を人がマジックで入れていたりした・・・というエピソードまで登場。2/3くらい修正で消されてしまっている作品もあるそうで、想像力が育まれそうです。
I:この印刷物たちを眺めながら、これを描こう!とピンときたものを、描いていく。例えば、海外のプードル専門書(色々な種類のプードルの写真と説明書きがある本)の中で、ひときわモコモコ丸々としたプードルを描き始めて、シルエットはそのまま、でも途中で面白くないかなと思って、顔は描かずに毛むくじゃらの物体に仕上げたりするんです。
・・・と、作られている黒板を見ると、たしかにプードルのシルエットではあるけれど、明らかに異空間が存在していました。
最終的にお二人の作品、そして空間がどんなものになるのかは誰も知らないし、日々変わっていく。そこが一番の見所でもあるのだそうです。
続くvol.2では、「反転」佐藤直樹さんのインタビューをご紹介します。お楽しみに。
<プロフィール>
伊藤桂司
1958年、東京生まれ。グラフィックワーク、
TAMBOURIN GALLERY
〒150-0001
東京都渋谷区神宮前2-3-24
Tel:03-5770-2331
open 11:00-19:00(展示最終日18:00まで) 月曜休