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お気に入りの仏像を見つけようー京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ

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2018年11月14日


お気に入りの仏像を見つけようー京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ


 

 

 

お気に入りの仏像を見つけようー京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ

 

 

 

 

 

 

 

 

東京国立博物館で開催されている特別展「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」では、大報恩寺に安置されている本尊の釈迦如来坐像(秘仏・寺外初公開!)をはじめ、快慶による十大弟子立像と、肥後定慶による六観音菩薩像がすべて見られます。

 

京都まで足を運ばなくても、一室にずらりと並んだ仏像をじっくり見ることができるのです。

 

芸術の秋は、東京国立博物館で仏像鑑賞にチャレンジしましょう。

 

 

 

 

大報恩寺とは?

 

 

 

大報恩寺は、天台僧の義空上人(1171〜1241)が承久2(1220)年に開創した寺院です。

 

大報恩寺は、北野天満宮の北東ほど近くにあるお寺で、別名「千本釈迦堂」とも呼ばれ、今も尚京都の人々に大変親しまれています。

 

鎌倉時代初期、1220年に開創されて以来、約800年のあいだ創建当時の姿をとどめている本堂は、洛中最古の木造建築として、国宝に指定されています。

 

展示室に入ると、まずは大報恩寺にまつわる名宝の数々を、その歴史と共に見ることができます。

 

大報恩寺には、かつて近くにあった北野経王堂にまつわる文化財が残されています。

 

北野経王堂は、足利義満によってつくられた仏堂で、法華経一万部を読経する法会、万部経会を定期的に行うための大きな施設でした。

 

万部経会の時には、多くの人が聞きに来たことが記録に残っています。

 

 

 

左から 《北野経王堂図扇面》 室町時代・16世紀
中村三之丞他筆 《洛中洛外図屏風(模本)》江戸時代・17世紀(原本:室町時代・16世紀)
東京国立博物館

 

 

 

展示されている掛け軸や扇面を観ると、室町時代には大報恩寺や北野経王堂の周りで、多くの老若男女が行き来していたことがうかがえます。

 

《北野経王堂扇面》に描かれているのは、この万部経会なのです。

 

小さな画面の中に、きちんと並んで口を大きく開けてお経をあげるお坊さんたちと、思い思いにお経を聞く様々な身分の人たちが描かれていて、とても面白いです。

 

 

 

《千手観音菩薩立像》平安時代・10世紀 大報恩寺

 

 

 

大報恩寺には、創建以前に作られた仏像も安置されています。

 

平安時代に造られた《千手観音菩薩立像》は、展示のハイライトである快慶・定慶の仏像に比べて優雅な雰囲気です。

 

 

 

 

十大弟子と本尊、登場!

 

 

 

中央:行快作《釈迦如来坐像》鎌倉時代・13世紀 大報恩寺
左:快慶作《十大弟子立像》鎌倉時代・13世紀 大報恩寺 のうち《羅睺羅立像(らごらりゅうぞう)》
右:同《優婆離立像(うぱりりゅうぞう)》

 

 

 

次の部屋に進むと、寺外初公開となる本尊の秘仏《釈迦如来坐像》と、《十大弟子立像》が同じ空間に展示されています。これは、当初《十大弟子立像》が本尊を囲むように置かれていた往時の様子を、再現するかのようです。各像は光背の裏側まで回って見ることができ、光に照らされる光背の様子にも、息を呑みます。

 

制作した仏師は、快慶の一番弟子とも言われる行快です。真作と確認される仏像が近年新たに発見され、話題にもなりました。直接拝めるこの機会は、大変貴重です。

 

圧巻の光景ですので、ぜひ、仏像の目の前で迫力を体感してください。

 

 

 

中央:快慶作《十大弟子立像》鎌倉時代・13世紀 大報恩寺 のうち《目犍連立像》
左:同《優婆離立像(うぱりりゅうぞう)》
右:同《富楼那立像(ふるなりゅうぞう)》

 

 

 

快慶は鎌倉時代初期の仏師で、運慶とともに多くの仏像を手がけました。作品の多くが重要文化財または国宝に指定されています。

 

快慶一門が手がけた大報恩寺の《十大弟子立像》は、快慶晩年の作品です。

 

十大弟子とは、釈迦の弟子のうちで特に優れた10人を指します。

 

十大弟子の身分や年齢は様々ですが、一人一人に秀でた能力があり、「◯◯第一」と表されます。

 

弟子たちの容姿について特に記述はなく、色々な姿で表現されます。

 

快慶作《十大弟子立像》は10人ともまるで生きた人間を写し取ったかのようにリアルで、10人とも顔立ちや体格が異なります。

 

もしも誰かと一緒に鑑賞していたら、お気に入りのお弟子さんについて話し合えたら楽しいですね。

 

私のおすすめは、《目犍連立像(もくけんれんりゅうぞう)》です。

 

目犍連は、超能力を用いることができる「神通第一」の弟子です。

 

《目犍連立像》は膝を少し折り曲げて歩み寄るような優しい格好をしていますが、強い意志を感じる目つきから、修行を経てきた偉大な僧であることが分かります。

 

《十大弟子立像》は、鮮やかな彩色が残っています。

 

近づいて見て、少しだけ残っている衣服の色から、作られた当時の華やかさを想像するのも楽しいです。

 

 

 

 

六観音菩薩像もスゴイ!

 

 

 

肥後定慶作《六観音菩薩像》鎌倉時代・貞応3年(1224) 大報恩寺 のうち
左から《千手観音菩薩立像》《馬頭観音菩薩立像》《十一面観音菩薩立像》

 

 

 

《十大弟子立像》のリアルな迫力に圧倒された先には、大きな観音菩薩像が待っています。

 

肥後定慶による《六観音菩薩像》は、六体の像が部屋の端から端までの空間を使って並べられています。

 

肥後定慶(1184〜1256以降)は、運慶の次の世代の仏師で、大報恩寺の《六観音菩薩像》は彼の代表作の一つです。

 

六観音とは、すべての生き物が生まれ変わり続け苦しんで生きているつの世界(六道)の、どこにいても救済してくれる観音菩薩のことです。平安時代以降、来世まで救ってくださる有難い観音さまとして、六観音信仰は人々の間に広まっていきました。

 

鎌倉時代に入り、六観音菩薩像は、六道の理解を踏まえるよりも、目の前の幸福を願う現世利益的な信仰対象になるものが多く、金色で彩色豊かに施された姿が一般的だったようです。一方この大報恩寺の《六観音菩薩像》は、より知的で落ち着いた作風の観音像で、真摯な六観音信仰が伝わってくるかのようです。

 

髪や衣服のひだの描写は細かく丁寧で、現実感があります。

 

仏像を間近で見られるだけでなく、六体の観音菩薩像がいっぺんに見られる貴重な機会です。

 

後期展示(10月30日(火)〜12月9日(日))では、光背が取り外され、六観音菩薩像の背中も鑑賞できます。

 

背中や横顔など、気になるチャームポイントを見比べることができますね。

 

 

 

 

おわりに

 

 

 

特別展「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」は、音声ガイドやグッズも充実しています。

 

仏像は初めて、なじみがないという人でも、音声ガイドをおともに気軽に鑑賞できます。

 

ショップには、オリジナルグッズの他に、コラボグッズもあります。

 

展覧会を見た後は、びっくりするほどラインナップの充実したショップでお買い物も楽しみましょう!

 

 

 

 

参考文献:東京国立博物館『特別展 京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ』読売新聞社、2018年

 

 

 

写真・文 耳塚里沙

 

 

 

 

【開催概要】

 

会  期:2018年10月2日(火) ~12月9日(日)  

   (前期:10月2日(火)~10月28日(日) 、後期:10月30日(火)~12月9日(日) )

会  場:東京国立博物館   平成館 特別第3・4室

開館時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
(ただし、会期中の金曜・土曜は21:00まで開館)
休館日:月曜日(ただし10月8日(月・祝)は開館、10月9日(火)は休館)
観覧料金:一般1400円(1200円)、大学生1000円(800円)、高校生800円(600円)、中学生以下無料
*( )内は20名以上の団体料金
*同時開催の特別展「マルセル・デュシャンと日本美術」(2018年10月2日(火) ~ 2018年12月9日(日))は別途観覧料が必要です。
*「マルセル・デュシャンと日本美術」との2展セット観覧料金一般2000円
2展セット券は、東京国立博物館正門チケット売場(窓口、開館日のみ、閉館の30分前まで)、展覧会公式サイト、ローソンチケット[Lコード:31493]、セブンチケットほかで販売
交  通:JR上野駅公園口・鶯谷駅南口より徒歩10分
東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、千代田線根津駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分
お問合せ:03-5777-8600 (ハローダイヤル)
展覧会公式サイト:https://artexhibition.jp/kaikei-jokei2018/

 

 

 



Writer

耳塚 里沙

耳塚 里沙 - mimizuka risa -

学生ライター。

大学では日本美術史を専攻中。

明治時代の洋画について勉強している。

美術館に行くことが好き。

将来は学芸員として美術館で働きたいと考えている。

 






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