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アートは素晴らしいもの。勇気をもらえる、バールティ・ケール日本初個展 @PERROTIN TOKYO【おすすめアート】

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2018年11月23日


アートは素晴らしいもの。勇気をもらえる、バールティ・ケール日本初個展 @PERROTIN TOKYO


アートは素晴らしいもの。勇気をもらえる、バールティ・ケール日本初個展 @PERROTIN TOKYO【おすすめアート】

 

 

 

仏人オーナーによる東京・六本木の名門ギャラリー「ペロタン東京(Perrotin Tokyo)」にて、インド在住の世界的女性アーティストBharti Kher(バールティ・ケール)の日本初個展「Djinns, things, places(精霊、モノ、場所)」が、11月14日(水)より開催中です(12月15日(土)まで)。

 

 

 

 

中央:The Intermediaries(20), 2017(Clay, resin, wax, cement, brass  144.5×29.2×29.2cm)

 

 

 

ロンドン出身のインド人女性バールティ・ケールは、現在ニューデリーを拠点に、自らの経験に基づいた作品や特にジェンダーに関する課題を取り上げ制作しています。英国の大学で絵画を学んだ後、20年以上にわたる創作活動の中で、彼女はペインティング、スカルプチャー、レディ・メイド、インスタレーションと幅広い手法に取り組み、シュルレアリスム、物語、物事の本質との揺るぎない結びつきを伝える作品を生み出しています。それらは今までに、数多くの個展並びに世界中の美術館やギャラリーで出展され、多数の国際的美術館のコレクションにも所蔵されています。

 

 

 

現代社会における女性問題や社会変化の必要性を強く訴えかけている、インドで最も成功している女性アーティストであり、同じくインドで新世代アーティストとして代表格と言われる現代作家Stubodh Gupta(スボード・グプタ)と結婚し、現在二人の子供を持つ母親でもあります。

 

 

 

「孤独は皆の中に元々ある、存在の穴のようなもの。自分自身で埋めなければならないのよ」と言うケールは、アートへの愛に溢れる素敵な女性。「アートは本当に素晴らしいもの。孤独を感じたら、美術館に行きなさいと息子にも言っているの」

 

 

 

本展では、等身大の円鏡を一度叩き壊し、修復したその表面に無数のBindis(ビンディ)を円環状に貼り廻らせた代表作《Algorithm for Refusal (2018)》を始め、収集した地図上に、カラフルなBindis(ビンディ)を大気の動きのようにダイナミックな曲線に配した一連の《Points of departure(2018)》(全7点)、他、インドの神の化身をモチーフに、祖先の複雑さ、ディアスポラ的アイデンティティー家族生活ーを伝えるスカルプチャー《The Intermediaries(2017)》3点など、計12作品が展示されています。

 

 

 

 

Algorithm for Refusal, 2018(Bindis on mirror, stainless steel,mirror, resin, bindis 190×190cm)

 

 

 

 

彼女は鏡を割ることで、自我の観念さえも打砕くと言う。そして意志を持って修復し、つなぎ合わせた鏡面に無数のビンディを貼りめぐらせる。「金継ぎ」の国日本において、「粉砕から結果的に生じる物語に多様性がある限り、ひびの中にも美がある」と、同時に想起させる。これがケールにとっての、真の弁証法。

 

 

 

Points of departureⅦ,Ⅱ,Ⅷ, 2018(Bindis on paper, frame 70.3×83cm)

 

 

 

 

 

 

 

文化、文明の間(はざま)に立つケールは、様々な関係性を対位的に捉え、矛盾を視覚的に表しながら、例えばBindis(ビンディ)の連なりを通して、新たな時空間上への脱却、解放を誘うかのような「旅の始まりーbegining of journey」を見せます。各々の作品は時事的、伝統的、政治的、およびポスト・コロニアル的な意味を彷彿とさせ、世界の新たな解釈への可能性を予感させます。

 

 

 

 

Points of departure ⅩⅤ, 2018(Bindis on paper, frame  70.3×83cm)

 

 

 

 

 

 

 

 

ケール作品に漂う魅力ー神性

 

 

 

 

彼女の重要なモチーフであるBindis(ビンディ)は、元々サンスクリット語では「点」を意味し、インドでヒンドゥー教徒の既婚女性が、額の中央に赤い顔料で塗る小さな円の装飾を指します。現代では従来の宗教的目的からファッションへと用途が移行されていくこのドットを、「女性の装飾としてのみの存在ではないの。それ以上の可能性をもつ、人間の意識の卵、第三の眼を表すもの」と彼女は捉えます。その形態は精子状のものは蛇からインスピレーションを得ており、淡く優しい彩りからビビッドなピンク、アースカラーを纏いながら、観る者に精霊、魂、といったイメージさえ与えます。

 

 

 

無数のBindisは波打ち、弧を描き、振動を伝え、まるで彼女の見る精霊の姿が立ち上るかのように展示室に浮かびます。作品(モノ)を通しケールは神性を伝えるシャーマン的存在になり、精霊を、この場所に呼ぶのです。

 

 

 

 

The Intermediaries (18), 2017 (Clay, ressin, cement, iron, brass, wax 144×50.8×45.7cm)

 

 

 

The Intermediaries (19), 2017 (Clay, ressin, coppert, wood, wax 144×50.8×45.7cm)

ケールはThe Intermediariesを「”はざま”の家族。彼らはアウトサイダーであり、自己創造者、そして精霊です」と説明しています。

 

 

 

 

 

 

Untitled, 2018 (Bindis on paper, frame 27×18cm)

 

 

 

 

創り続けるモチベーションは何かと問われた際、「アートを心に持つこと、アートを創り続け、アートに生き続けること以外に、しようがないの」と笑顔で朗らかに答える彼女はきっと、創ることでものすごく満たされていて、これからも世界中に愛を廻らせていくようです。

 

 

 

だからこそ、既存の世界観にNoと拒否する意志を持った、”物”を壊す行為があっても、政治地図の上下をひっくり返し境界線に疑問を唱えていても、会場を後にした時、アートへの愛を謡うポエジーと、彼女ならではの神聖さが感じられるのでしょう。

 

 

 

心が洗われたかのような、幸せな気持ちになります。

 

 

 

 

近年森美術館や東京都現代美術館でも展示され、注目の高まる国際的女性アーティストの日本初個展「神性」を通して日本の地にも深い理解と想いを込めた彼女の、集大成となる作品が見られるこの機会、ぜひお見逃しなく!

 

 

 

 

 

〈過去の日本での展示〉

 

 

2008年 森美術館 「チャロー!インディア」:インド美術の新時代」参加

2010年 東京都現代美術館 「トランスフォーメーション展」参加

 

 

〈近年の主な個展〉

 

 

Pasquart Kunsthaus Centre d7art(スイス・ビエンヌ),

DHC/ART Foundation for Contemporary Art (カナダ・モントリオール)、

Isabella Stewart Gardner Museum(米国・ボストン)、

Museum Frieder Burda Salon Berlin(ドイツ・ベルリン)、

Freud Museum(英国・ロンドン)、

Vandouver Art Gallery (カナダ・バンクーバー)

Rockbund Art Museum(中国・上海)、

Parasol Unit Foundation for contemporary art(英国・ロンドン)

 

 

ケールの作品は以下を含む多数の国際的美術館のコレクションに所蔵されています。

 

 

大英博物館、テート・モダン(英国・ロンドン)、

Kiran Nadar Museum of Art(インド・ニューデリー)、

Essl Museum (オーストリア・クロスターノイブルク)、

Queensland Art Gallery(オーストラリア・クイーンズランド)、

National Museum of Canada(カナダ・オタワ)、

Walker Art Center(米国・ミネソタ州ミネアポリス)、

North Carolina Museum of Art(米国・ノースカロライナ州ローリー)、

Vancouver Art Gallery(カナダ・バンクーバー)、

Guggenheim(アラブ首長国連邦・アブダビ)、

Museum Frieder Burda(ドイツ・バーデン=バーデン)、

Leeum, Samsung Museum of Art(観光・ソウル)

 

 

 

 

【展覧会概要】

 

 

バールティ・ケール個展「Djinns, things, places」

 

会期:2018年11月14日(水)~12月15日(土)

休廊日:日、月、祝

時間:11:00〜19:00

会場:ペロタン東京

住所:東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル1階

入場:無料

 

 

 

 

テキスト:川合真由
写真  :新井まる

 

 

 

 








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