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作品数100点以上!名作が上野に大集合ー『没後50年 藤田嗣治展』

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2018年8月21日


作品数100点以上!名作が上野に大集合ー『没後50年 藤田嗣治展』


 

作品数100点以上!名作が上野に大集合ー『没後50年 藤田嗣治展』

 

 

皆さんは藤田嗣治(レオナール・フジタ 1886〜1968)というと、どんな作品を思い浮かべますか。陶器を彷彿とさせる白くなめらかな肌の女性を描いた絵。または、東京国立近代美術館で展示されている戦争画(「作戦記録画」とも言います)でしょうか。

 

しかし、藤田はもっと多様で面白い作品を制作しています。

 

発表当時から評価された裸婦像、1930年代のエキゾチックな人物像、1950年代の古風な風俗画や宗教画…。現在、東京都美術館で開催されている『没後50年 藤田嗣治展』は、藤田の長い画家人生を8章に分けて紹介、様々な藤田嗣治の顔を100点以上の作品から知ることができる大回顧展です。

 

 

 

藤田嗣治といえば・・・?やはり女性と猫

 

 

 


藤田嗣治《タピスリーの裸婦》1923年 油彩・カンヴァス 京都国立近代美術館蔵 © Foundation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

 

 

 

東京美術学校で印象派風の絵画を学んだ藤田は、1913年にパリに渡り様々な前衛表現を吸収して、独自の画風を模索しました。

 

1920年代に白地に細い墨の輪郭線という画風を確立したフジタは、まず静物画で、次に裸婦像や女性像で評価されます。

 

裸婦像の作品、主役はもちろん女性ですが、目が行くのは賢くいたずら好きそうな顔をした猫たちです。

後ろ足を崩して澄ました顔をした猫の、ポテッとしたお腹や柔らかそうな肉球など猫好きにはたまらないポイントが押さえられています。

 

 

 


藤田嗣治《自画像》1929年 油彩・カンヴァス 東京国立近代美術館蔵 © Foundation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

 

 

 

藤田の自画像には、お澄まし顔ではなく、視線を宙にやる猫がフジタの背後からニュッと現れています。真面目な表情の藤田と対照的で面白いですね。

 

 

 

旅人、映画監督としての藤田嗣治

 

 

 

1929年に始まった世界大恐慌の影響を受けた藤田は、1931年にパリを発ち中南米へ旅に出ます。カラフルながらも退廃的な油彩画や中南米の人々を水彩で描きました。洗練されたパリの女性像だけではない藤田の作品の魅力が楽しめます。

 

1933年日本に帰国すると、東京下町の風俗や、東北や沖縄の人々を描いたエキゾチックな作品を発表し、1935年には映画監督として日本の地方風景を撮影しました。今回の展覧会では、映画『現代日本』で藤田が担当した5篇のうち「子供篇」を鑑賞することができます。昔話のような田園風景の中、子供たちが生き生きと遊ぶ様子が瑞々しく描かれ、子供時代に戻ったかのような錯覚を覚える作品となっています。

 

 

 

忘れえぬパリへ。ノスタルジーにひたる藤田

 

 

 

藤田嗣治《カフェ》1949年 油彩・カンヴァス ポンピドゥー・センター(フランス・パリ)蔵 Photo © Musée La Piscine (Roubaix), Dist. RMN-Grand Palais / Arnaud Loubry / distributed by AMF © Foundation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

 

 

 

1949年に日本を離れた藤田は、ニューヨークを経てフランスに到着し、その後、日本に帰ることはありませんでした

 

《カフェ》(1949年)はニューヨークに住んだ時の作品です。ニューヨークにいながら、パリのレトロなカフェを描きました。昔のパリが恋しかったのでしょう。晩年の作品は、ランスのノートル=ダム=ド=ラペ礼拝堂をはじめ、キリスト教をテーマとした作品が有名です。

 

 

 


藤田嗣治《礼拝》1962-63年 油彩・カンヴァス パリ市立近代美術館(フランス)蔵 © Musée d’Art Moderne / Roger-Viollet © Foundation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

 

 

 

キリスト教主題の作品を手がけたのは晩年だけではなく、1910年代末から20年代にも キリスト教をテーマとした絵画を制作しています。今回の展覧会では、若い頃と晩年に描いたキリスト教主題の絵画を見ることができます

 

立体作品も注目ポイントです。一昔前の素朴な生活道具を好んだ藤田は、陶磁器を制作しました。

 

をモチーフとしたお皿やワイングラスや理想の家や教会のマケット(模型)が展示されています。小さいながら藤田のこだわりが細部まで感じられ、ずっと見ていても飽きない作品です。絵画の雰囲気とぴったりな額縁も制作していたんですよ。

 

 

 

充実のミュージアムグッズも要チェック!

 

 

 

 

 

 

今回の展覧会で展示された作品の画像と詳しい解説が載った図録は、2種類の表紙から選べますトートバッグと一緒に買うとお買い得です。

 

 

 

 

 

 

すこし皮肉な画家と共に展覧会を見ている気分になれる音声ガイドもおすすめ。東京美術学校時代から晩年まで、100点以上の作品により、今までのイメージとは違う新しい藤田嗣治に出会える見応えたっぷりの『没後50年 藤田嗣治展』は、10月8日(月)までです。

 

 

 

参考文献:東京都美術館・京都国立近代美術館『没後50年 藤田嗣治展』図録、2018年

 

 

 

文・耳塚里沙
写真・鈴木佳恵

 

 

 

【展覧会概要】
展覧会名:「没後50年 藤田嗣治展」
会期:開催中〜10月8日(月・祝)
会場:東京都美術館
住所:東京都台東区上野公園8-36
開室時間:9時30分〜17時30分
     会期中の金曜日は20時まで、8月24日、31日は21時まで
     開室。入室は開室の30分前まで。
休室日:月曜日、9月18日(火)、25日(火)
    ただし、9月17日(月)、9月24日(月・祝)、10月1日(月)、8日(月)は開室
料金:一般1600円、大学生・専門学校生1300円、高校生800円、65歳以上1000円
   中学生以下は無料
公式ホームページ:http://foujita2018.jp

 

 

 

 

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「情」と「熱」をもつ画家、レオナール・フジタ

 

 

 

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Writer

耳塚 里沙

耳塚 里沙 - mimizuka risa -

学生ライター。

大学では日本美術史を専攻中。

明治時代の洋画について勉強している。

美術館に行くことが好き。

将来は学芸員として美術館で働きたいと考えている。

 






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