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「つながり」から日本美術を鑑賞する試みー特別展『名作誕生ーつながる日本美術』

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2018年5月7日


「つながり」から日本美術を鑑賞する試みー特別展『名作誕生ーつながる日本美術』


 

「つながり」から日本美術を鑑賞する試みー特別展『名作誕生ーつながる日本美術』

 

 

東京国立博物館 平成館で、特別展『名作誕生ーつながる日本美術』が開催されています。

 

この展覧会は、現在も刊行を続けている世界最古の日本・東洋美術の専門的な月刊雑誌『國華』の創刊130周年と、この雑誌の刊行支援に長年関わってきた朝日新聞の創刊140周年を記念したものです。

 

 

 


手前:『國華』第3号 1889(明治22)年

 

 

 

5月27日までの会期中に展示替えが計6回あります。日本・東洋美術が好きな方は必見の作品が、様々な期間で展示されます。展覧会に行く前に、公式サイトなどでお気に入りの作品が見られるかどうか、確認するのがおすすめです。

 

 

 

日本・東洋美術における「名作」を「つながり」で見直す

 

 

 

特別展『名作誕生ーつながる日本美術』では、4章で日本美術の「名作」を紹介しています。

 

 

 

第1章 祈りをつなぐ

 

 

 


手前:重要文化財  伝衆宝王菩薩立像 奈良時代(8 世紀) 奈良・唐招提寺蔵

 

 

 

この章では、仏像・仏画・説話画を展示しています。ほとんどの作品に、詳しい解説パネルがあります。仏像や仏画、説話画の見方がよく分からない方にこそぴったりです。

 

 

 

第2章 巨匠のつながり

 

 

 


重要文化財 雪舟等楊筆 四季花鳥図屏風 室町時代(15世紀) 京都国立博物館蔵[展示期間:4月13日~5月6日]

 

 

 

この章では、雪舟等楊・俵屋宗達・伊藤若冲という3人の「巨匠」が主人公です。
彼らが独自の作風を生み出すために、どのような作品を学び、また後世にいかなる影響を及ぼしたのか、展示された作品群から分かる内容です。この3人の涙ぐましい努力を垣間見ることができます。

 

 

 

第3章 古典文学につながる

 

 

 


左から 打掛  紅縮緬地松桜八橋模様 江戸時代(19世紀)[展示期間:4月13日~5月6日]
打掛 白綸子地流水燕子花模様 江戸時代(19世紀) 神奈川・女子美術大学美術館蔵[展示期間:4月13日~5月6日]
重要文化財 縫箔 紅白段短冊八橋雪持柳模様 安土桃山時代(16世紀) 東京国立博物館蔵[展示期間:4月13日~5月6日]

 

 

 

この章では、『伊勢物語』や『源氏物語』の一場面をイメージ化した絵画や工芸が展示されています。
展示作品の典拠となったストーリーを知らなくても、その美しさは十分楽しめます。
ストーリーを知っている方は、なぞ解きに似たワクワク感が味わえます。

 

 

 

第4章 つながるモチーフ/イメージ

 

 

 


尾形乾山作 色絵吉野山図透彫反鉢 江戸時代(18 世紀) 静岡・MOA 美術館蔵

 

 

 

この章は、モチーフ・イメージ・表現のかたちに注目して、中世から近代までに作られた作品の「つながり」を明らかにしています。
美術作品の中の自然の風景や人々のちょっとしたしぐさが目の前に広がると、過去に生きた人によって作られた作品は、作者が美しいと思う価値観が時代が変わっても受け継がれ、作られてきたのだと実感できます。

 

 

 

様々な見方で楽しめる展覧会

 

 

 


重要文化財 狩野元信筆 四季花鳥図 室町時代(16世紀) 京都・大仙院蔵[展示期間:4月13日~5月6日]

 

 

 

特別展『名作誕生ーつながる日本美術』は、出品数も解説も多く、充実した展覧会です。
展示作品を見て解説を読むことで、『國華』に掲載されるような日本美術史の専門的な情報を知ることができます。

 

実は、『國華』は2014年まで旧字体で書かれていました。その難解なイメージだった雑誌の内容が、展覧会として目の前に分かりやすく示されたのは、私にとって感動的なことでした。日本美術が好きで、専門的で体系的な知識を得たいと考えている方にはまたとない機会かもしれません。

 

美しい作品を鑑賞して癒されたいという方にもぴったりの展覧会です。
色彩が鮮やかな絵画や工芸、洗練されたかたちの仏像が驚くほど多く並んでいます。
作品をじっと見つめることで、不思議と心が休まります。

 

 

 

 

 

 

展覧会のグッズも充実しています。鑑賞後に、ぜひショップでチェックしてください。

 

 

 

参考文献 『創刊記念『國華』130周年・朝日新聞140周年 特別展 『名作誕生ーつながる日本美術』公式図録 朝日新聞社、2018年

 

 

 

文・耳塚里沙
写真・新井まる

 

 

 

【展覧会概要】
展覧会名:創刊記念『國華』130周年・朝日新聞140周年 特別展『名作誕生ーつながる日本美術』
会期:開催中〜5月27日(日)
   前期展示4月13日(金)〜5月6日(日) 後期展示5月8日(火)〜5月27日(日)
会場:東京国立博物館 平成館
住所:東京都台東区上野公園13−9
開館時間:午前9時30分〜午後5時(金、土曜日は午後9時まで、日曜、祝日は午後6時まで)※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日
観覧料:一般1600円、大学生1200円、高校生900円、中学生以下無料
    リピーター割引(観覧券半券の提示で100円引き、半券1枚につき1人1回限り有効)あり
問い合わせ:公式サイト http://meisaku2018.jp/
      ハローダイヤル 03-5777-8600

 

 

 

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Writer

耳塚 里沙

耳塚 里沙 - mimizuka risa -

学生ライター。

大学では日本美術史を専攻中。

明治時代の洋画について勉強している。

美術館に行くことが好き。

将来は学芸員として美術館で働きたいと考えている。

 






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