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アートな女子旅 vol.3 なりきりパリジェンヌ編

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2018年2月8日


アートな女子旅 vol.3 なりきりパリジェンヌ編


 

 

アートな女子旅 vol.3 なりきりパリジェンヌ編

 

 

 

 

女子であれば、誰もが一度は憧れるであろう言葉。
”パリジェンヌ”という響きに、どうしてこうも惹かれるのだろう。

 

アンナ・カリーナに憧れて真っ赤なワンピースを買ってみたことも、ブリジット・バルドーに憧れてヌーディーピンクのネイルを塗ったことも、ジェーン・バーキンに憧れてバケツ型のかごバッグを手に出かけたこともあった。
…ジーン・セバーグのように髪をベリーショートにする勇気だけは、丸顔がコンプレックスの筆者には持てなかったけれど。

 

とにもかくにも、パリジェンヌという存在はいつの時代も私たちを魅了する。

 

 

 

 

 

 

その理由についてこれまで以上に考える機会が増えたのは、自分が今、「女性としてどう生きるか」を考えるタイミングにあるからかもしれない。

 

私事ながら来月に結婚をひかえている筆者は、今まさに、自分の人生について熟考し、日々何かしらの選択を迫られる状況にある。今後の働き方、住環境、家庭での役割分担を決める過程において、自分が「女性である」という事実を強く認識するようになった。

 

そんな今の自分の目に、あらゆる時代を強く美しくパリで生きた女性たち―パリジェンヌの姿はどう映るのか。国や時代は違えど、彼女たちの生き方が、今とこれからの自分にどんなヒントを与えてくれるのか。

 

世田谷美術館で開催中の『ボストン美術館 パリジェンヌ展 時代を映す女性たち』を中心に、同展の 関連企画満載の世田谷エリアを巡る今回の女子旅。

 

アートも、自然も、買い物も、美味しいものも、あらゆる楽しみが詰まったこのエリア。
近く引越し予定の筆者は、頻繁に通っていたこの世田谷エリアを離れることになるのだが、今回はその名残惜しさと思い出を噛み締めながら、世田谷周辺で1日たっぷりパリジェンヌ気分に浸れるアート旅をご紹介したい。

 

 

 

「アートな女子旅」×「パリジェンヌ展」特別企画♡
 世田谷で過ごす、フレンチな1日

 

 

 

【二子玉川エリア】

 

 

 

 

今回の女子旅のスタートは、東急田園都市線 二子玉川駅

 

 

 

 

 

 

この沿線に引っ越してきたころは、通勤電車の窓から見えるこの多摩川河川敷の開放感が新鮮だった。いつしかそれは毎朝目にする当たり前の景色になってしまったけれど、時々、夕日がやけに綺麗だったり、不思議な雲や空の色を目にしたときには、はっとしてしばし見入ったものだ。

 

先日の大雪の日にも、この河川敷は一面真っ白。都心とは思えない広大な雪景色の美しさに驚かされた。引っ越し間近の今になって改めてこんな魅力を見せつけてくるなんて、ずるい。余計に名残惜しくなるじゃないかと、ちょっぴり憎らしく思わずにはいられなかった。

 

 

 

AM 9:30 自然を感じる朝の散歩へ
多摩川河川敷

 

 

 

―今あらためて、多摩川に沿って歩く。

 

二子玉川駅前は近年めざましい開発が進み、たくさんの商業施設やマンション、ビルが立ち並んでいる。けれどそのビルの間を抜けるとすぐ視界が開け、川と芝生が広がるのどかな空気に触れられる。この両面性がとても好きだ。

 

 

 

 

 

 

冬の朝のぴんと張りつめた空気に包まれながら川の見える公園を歩いていると、今日取材を共にするガールズアートーク編集部員の姿が見えた。

 

今日は「フレンチな1日」というテーマにかけて、ちょっとしたドレスコードを設けていた。自分の思うパリジェンヌ的な格好で集まる、というものだ。

 

ジェーン・バーキンがファッションアイコンだという編集部員のコーディネートは、フレンチなトリコロールカラー。アンティーク感のあるレーススカートが、まさにジェーン・バーキンが洗いざらしのデニムと自然体のヘアスタイルに、さらりと合わせていたレーストップスを彷彿とさせた。

 

 

 

 

 

 

続いて筆者は、60年代風の直線的なAラインワンピースに、パリジェンヌ定番のベレー帽。
ツィッギーやマリー・クワントに代表される60年代イギリスのスウィンギン・ロンドンの影響もあるが、今回のパリジェンヌ展でドレスが展示される「ピエール・カルダン」をちょっぴり意識して選んだものだ。

 

 

 

 

 

目的地に合わせてコーディネートを考えて出かけるのも、女子旅の楽しみの一つ。装いからパリジェンヌ気分を高めたところで、早速、最初の目的地へ。

 

 

 

AM 10:30 パリジェンヌ展関連企画が目白押し♡
玉川髙島屋S・C

 

 

 

向かったのは駅前すぐの玉川髙島屋S・C
本館、南館、西館、東館をはじめ、マロニエコート、ガーデンアイランド、アイビーズプレイスなど、多彩な専門店やレストラン、カフェ、カルチャーに出会える、二子玉川のランドマーク的存在だ。

 

 

 

 

 

 

緑の多い爽やかで開放感のある建築は、アートな要素が随所に。なかでも本館のファサードは、建築家・隈研吾氏によるアーティスティックなピロティが目を惹く。ぜひ建物自体も楽しみながら巡っていただきたい。

 

こちらでは、1月31日(水)~2月13日(火)まで、世田谷美術館 パリジェンヌ展開催記念 FRANCE WEEKS(フランスウィークス)が開催されている。

 

期間中、『ボストン美術館 パリジェンヌ展 時代を映す女性たち』の入場券半券を持参すると、対象店舗にて様々なサービスが受けられるなんともお得なイベント(対象店舗やサービスの詳細はこちら)。同展覧会でのドレス展示に合わせた革新と独創の美の系譜〈ピエール・カルダン〉フェアの開催や、パリジェンヌになりきれるフォトスポットも出現!インスタ女子必見の「Instagram投稿キャンペーン」も実施される。

 

 

 

本館1Fのグランパティオには「パリジェンヌ展」の展示ドレスの復刻版△ピエール・カルダンのワンピース(税込み ¥129,600)と、1966年の新作コレクションに身を包んだカルダン・ローズちゃんがペアで展示中。期間中、ピエール・カルダン対象売り場にて対象商品を購入すると、先着でパリで愛されたショコラティエ「Maison Chaudun」の人気チョコレートが貰える。

 

 

 

 


同じく本館1Fグランパティオに設置されたフォトスポット。パリジェンヌ展の展示作品の顔出しパネルやフォトプロップス、フレンチシックなソファまで用意されている。取材中にも、早速顔をはめる女性や、フォトプロップス片手にはしゃぐ女の子を発見♡

 

 

 

また、パリジェンヌ展開催期間は、おなじみの薔薇の紙袋の片面がなんとパリジェンヌ展仕様になるので、こちらもチェック。(なくなり次第終了)

 

 

 


パリジェンヌ展展示作品「 『ギャルリー・デ・モード・エ・コスチューム・フランセ』1776年以降のフランスの流行の髪型6より」(1778年)に登場する、18世紀パリで流行した貴族夫人の髪型がデザインされている。展覧会で、こっそり夫人達を探してみよう。

 

 

 

同時にいよいよ2月に入り、本命ないし義理チョコに頭を悩ませる女子も多いのではないだろうか。そんな悩める女子の救世主となるショコラ・フェス「アムール・デュ・ショコラ」(2018年2月1日(木)~14日(水)本館6階特設会場にて)も開催されるというから見逃せない。

 

 

 

 

 

 

屋上のテラスを散歩して、専門店やパリジェンヌ展コラボ企画を満喫したら、気分はすっかりニコタママダム…!
玉川髙島屋S・Cだけで朝から晩まで楽しめる充実ぶりだが、この日はなかなか盛りだくさんな女子旅スケジュール。まだまだお買いものをしたい気持ちを抑えて、次の目的地へ。

 

 

 

 

 

 

AM 11:00 裏路地で名店をもとめて
ニコタマランチ♡

 

 

 

駅前の大きな通りから少し奥に入っただけで、石畳がお洒落な通りや隠れ家的な良店に出会えるのも、二子玉川の大きな魅力。
アットホームな雰囲気のなかでフランスの家庭料理が頂ける隠れ家レストランや、フランスの田舎町を訪れたかのようなシックで可愛らしいカフェ、老舗の正統派フレンチ店まで盛りだくさん。

 

 

 

 

 

 

私たちもあれやこれやと目移りしながらお店を選び、美味しいものをほおばりながら、アートのこと、仕事のこと、プライベートことなど、ひとしきり女子トークをしたら、いざ次のスポットへ!

 

 

 

PM 0:00 職人技術の粋が詰まったキュートな空間
BOX&NEEDLE 二子玉川店

 

 

 

…まるでパリの路地裏に迷い込んだかのよう。
店構えが目に入ったとたん「可愛い!」と声を出さずにはいられない。

 

 

 

 

 

 

こちらのキュートなお店は、京都の老舗紙器メーカーが手掛ける世界で初めての貼箱専門店。ショーウィンドウには、パリの帽子屋さんにあるような丸いボックスが。パリジェンヌが住むアパルトマンの一室にお邪魔するようで、なんとも魅力的。

 

店内には、ヨーロッパやインド、ネパールなど世界中からやってきた上質で美しい紙を、職人が一点一点手貼りで制作した個性豊かな箱や雑貨が所せましと並ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Webサイトにある“暮らしを彩る紙器”という言葉のとおり、プレゼントにはもちろん、インテリアとして自分の日常に取り入れるだけで、暮らしがぱっと明るくなりそうなアイテムが目白押し。誰に贈ろうか、何を入れようか、どこに置こうかと考えるだけで楽しい。

 

 

 


パリの街が描かれた紙が使用された小物たち。左手下の鳥柄ボックスの紙は、まさにフランスからやってきたもの♡(※ どの国の、どんな紙を使用した作品があるかは時期により異なります。)左の鳥柄のボックスから時計回りに:Pottery ¥4,000(税別)、FOTON ¥2,000(税別)、UTILITY BOX ¥4,000(税別)、MAGNET LONG ¥600(税別)、TRAY(正方形)¥1,200(税別)

 

 

 

ここでお店の方に、いくつかオススメ商品も伺った。

 

 

 

左2つ:パネルボックス(M)¥1,800(税別)~、右:パネルボックス(SS)¥800(税別)~ ※サイズや使用された紙により価格は変動

 

 

 

絵画作品のように壁に飾っておけるパネルボックス。壁に内側から画鋲で固定し、ぱかっと上蓋をかぶせればあっという間にアートな壁のできあがり。気軽に取り付けられるので、柄違い・サイズ違いでたくさん並べても、あえて同じサイズを整然と並べてもお洒落になること間違いなし。

 

 

 


左手前:JEWELRY BOX(内箱付) Wide ¥5,000(税別) 右手奥:Slim ¥4,000(税別)

 

 

 

こちらのジュエリーボックスは、中を仕切る内箱を、好みの柄で自由に組み合わせることができる優れもの。蓋を開けたら自分だけの世界が広がる、唯一無二のジュエリーボックスの完成だ。

 

 

 


様々な色、柄、サイズのパーティションボックス(内箱)たち。用途や好みに合わせて、どう組み合わせるか悩む時間も楽しい♡単品での購入も可能。

 

 

 

ガールズアートーク編集部が気になったのがこちら。

 

 

 


DRESS BOOK ¥1,780(税別) 企画:大西景子(BOX&NEEDLE) 絵・文:秋山花 デザイン:前田景

 

 

 

BOX&NEEDLE と作家さんがコラボした『DRESS BOOK』。表紙のお洒落さもさることながら、ひとたびページをめくると…!

 

 

 

 

 

 

多種多様な紙を使用したドレスを、登場する動物たちが次々と身にまとっていくキュートすぎる仕掛け絵本になっている。トップスやボトムスなど、色々な組み合わせを楽しみながら、子供から大人までキュンキュンできることうけあいのアートブックだ。

 

 

 

最後のページには服を着ていない子が。巻末に付いている個性豊かな紙を自由に切り貼りして、自分オリジナルのお洋服を着せてあげられる豪華仕様。遊び心がなんともニクイ。

 

 

 

 

こちらのお店では月に数回、紙を使ったワークショップも開催されている。スタンダードなボックスはもちろん、フォトフレームやペンケース、さきほどご紹介したジュエリーボックスなど、難易度別に挑戦できるので初めての方でも安心。詳細はぜひこちらをチェック!

 

 

 

 

 

 

店舗2階の一角。たくさんの紙が並ぶ様は圧巻!じっくり時間をかけてお気に入りを見つけたい。

 

 

 

【用賀・砧エリア】

 

 

 

二子玉川を後にしたら、いよいよ世田谷美術館で開催中の『ボストン美術館 パリジェンヌ展 時代を映す女性たち』を鑑賞すべく、用賀・砧エリアへ。 閑静な住宅街を抜けてバスを降りたら、美術館を擁する砧公園へ向かう。

 

 

 

PM 1:15 世田谷区民の憩いの場
砧公園

 

 

 

休日には多くの家族連れで賑わう砧公園は、世田谷美術館を訪れるときはもちろん、桜の時期、青々とした緑が美しい夏、お弁当持参での秋のピクニックなど、四季の移ろいと共にこれまでも度々訪れていた。

 

 

 

 

 

 

数日前に積もった雪が日陰に解け残った様子を目にして、そういえば冬に訪れるのは初めてだった、と気づく。引越し前に、思い出深い公園の四季を全てコンプリートできたことに、ちょっぴり嬉しくなる。

 

 

 

PM 1:30 世田谷美術館へ、”憧れ”の秘密を探りに。
ボストン美術館「パリジェンヌ展 」時代を映す女性たち 

 

 

 

公園を抜け、いざ世田谷美術館へ。来館者をふわりと受け止める温かみのある建物が見えると、いつも何故かほっとする。

 

 

 

 

 

 

『ボストン美術館 パリジェンヌ展 時代を映す女性たち』は、ボストン美術館所蔵の名品を通して、あらゆる時代・国の人々から長らく憧れの対象とされてきた—それは芸術に留まらず、ファッション、食、建築など広く文化全般において—パリという街に生きた女性たち、パリジェンヌの姿を、18世紀から20世紀に至るまで約250年を見つめる展覧会だ。

 

展覧会の構成に沿った詳細な紹介と解説は、こちらの記事にわかりやすく記載されているので、ぜひご一読いただきたい。
ゆえに筆者は、冒頭で少し触れたように、今の自分の状況に照らして「女性としての生き方」という観点から、印象的だった作品や展示を通して得たヒントなどを挙げていきたいと思う。

 

 

 

 

 

 

第1章で印象的だったのは、18世紀、邸宅でのサロン(文化的エリートたちの集い)を主宰した上流階級の女主人たちの知的で華やかな存在や、劇場で活躍した踊り子を描いたニコラ・ランクレ《踊り子の肖像(マリー・サレ嬢?)》(1735年頃)など、快活で自信に満ちた女性の姿だった。

 

自分の狭い歴史観では、18世紀に女性がそれだけ活躍できる土壌があったことにまず意外性を禁じ得ず、とりわけ上記《踊り子の肖像》では、モデルの踊り子が、絵画表現において男性的とされたポーズで堂々と描かれていたことが非常に興味深く思えた。

 

同時に、既出の玉川髙島屋の紙袋にもデザインされていたように、貴婦人たちの髪型やドレスは時代の流行を作り、各国からの”パリジェンヌへの憧れ”の素地を築いていく。実際の華やかなドレスの展示も相まって、こちらまでわくわくと気持ちが高まる。

 

しかし、第2章で中流階級・労働者階級の風俗画にスポットがあたると、女性が家庭に入り良妻賢母であることを求められ、社会進出を批判された時代背景から、第1章で感じた女性の快活さや勢いは影を潜めた。

 

 

 


トマ・クチュール《未亡人》1840年

 

 

 

なかでも上図、トマ・クチュール《未亡人》(1840年)は、夫を亡くし、失意のなかで喪服に身を包んだ女性を描いたもの。単純に悲しみや喪失感、今後の生活への言い知れない不安や絶望を描いたという以上に、当時、ひとりで女性が生きていくことの困難さ、女性の社会的・経済的な立場の弱さを痛感させられるものだった。

 

若さを湛えた、透き通り発光するかのような白く美しい肌に、ふわりとした質感まで緻密に描かれた喪服の黒のコントラストはあまりに残酷だ。黒の面積が多い画面のなかで、手元に見える細いゴールドの結婚指輪が、やけに目につく。細く小さなアイテムでありながら、「未亡人」であることを示すその指輪の輝きは皮肉にも美しく、画面下方に描かれていながら、その存在感ゆえに、気づけば視線がそちらへ誘導されているのが、なんとも虚しい。

 

この作品の制作年から180年近く経った現在。
自分だったら、それでも強く生きていけるだろうか?国も違えば、時代も、社会構造も大きく異なっているけれど、果たして女性の生き方とその可能性は、当時とどれだけ変わっているのだろうか?近く結婚をひかえた自分の状況も相まって、はっとさせられる作品だった。

 

 

 

写真中央:エドガー・ドガ《美術館にて》1879–90年頃 Gift of Mr. and Mrs. John McAndrew 69.49

 

 

 

そこから章が進むにつれ、いわゆる「パリジェンヌ」像が徐々に確立されていく様には目を見張った。時に流行の発信者として、時に芸術家のモデルやミューズとして、時に芸術家そのものや歌い手、舞台あるいは映画における表現者として。

 

かつて印象派のひとりであった女流画家メアリー・カサットも、一人の女性として、母娘の愛が溢れる何気ない日常や、強く社会で生き抜く女性など、自分の描きたいものと向き合い続けたパリジェンヌと言えるだろう(彼女はアメリカで生まれ育ったが、画家としてフランスで多くの時間を過ごした)。

 

彼女の描いた作品の温かみと、しなやかな強さ。約2年前のメアリー・カサット展(横浜美術館で開催)で受けた感銘は、今も色濃く私のなかに生きている。

 

 

 

メアリー・スティーヴンソン・カサット《縞模様のソファで読書するダフィー夫人》1876年 Bequest of John T.

Spaulding 48.523

 

 

 

柔らかなタッチでありながら、知性と凛とした意思を感じさせる佇まい。描く対象への温かな眼差しが滲む彼女の作品には、女性だからこそ、すっと心に馴染み入る何かがある。それは、女性がその作品に対峙する時々の立場やライフステージ―幼少期、少女時代、母親としての日々、自分のしたいことに突き進む時期など―によって、感じ取ることができるもの、気づくことができるもの、共感することができるものは異なるが、いつ彼女の作品に向き合っても、その時々の鑑賞者の感情や境遇に寄り添ってくれる親しみを内包しているのだ。

 

それは、カサット自身が、芸術への熱い思いを胸に母国からフランスへ渡り、女流画家に対する酷評にさらされながらも、これだというものを見つけ(それは、ドガや印象派の画家たちとの出会いでもあり、後年の新たな作風でもある)、家族の死や自身の病を乗り越えながら絵画と向き会い続けたからこそ、女性が経験し得るあらゆる立場に寄り添える深みが作品に込められている故かもしれない。

 

こうしたパリジェンヌの姿に、自分のやりたいことをひたすらに、自由に追い求める女性の強さを感じる。自分のこの先の人生で、貫きたいもの、大切にしていきたいことに、純粋に行動して向き合っていってよいのだと、背中を押してもらえた気がした。

 

 

 


エドゥアール・マネ《街の歌い手》1862年頃 Bequest of Sarah Choate Sears in memory of her husband, Joshua Montgomery Sears 66.304

 

 

 

上図において巨匠マネが描いたパリジェンヌは、ヴィクトリーヌ・ムーラン。マネをはじめ、多くの画家のモデルを務めた女性である。

 

こなれた仕草でラフにギターを抱え、歌い終えた居酒屋から出てきた数秒間。ぴたりと静止した一瞬ではなく、奥に見えるドアのギィという音や、彼女の服がふわりと動き擦れる音が聞こえてきそうな動きのある捉え方に、マネの筆さばきの巧みさが垣間見え驚嘆する。

 

まっすぐに前を見つめる意志の強そうな瞳、さくらんぼを口に運びながら現れるある意味堂々としたムーランの佇まい。彼女はやがて、女流画家として自分の描きたいものを見つけ、方向性の異なったマネとは疎遠になってしまう。この作品の佇まいを照らしてみても、そうした自分の決めた道へ突き進む強さが見て取れた。

 

そして、展示終盤では20世紀におけるパリジェンヌの姿が、写真や当時の最先端のドレス展示によって紹介される。

 

 

 


ピエール・カルダン《ドレス》1965年頃 Joyce Arnold Rusoff Fund 1998.436

 

 

 

ピエール・カルダンのこのミニドレスは、そのビビッドな色彩といい、シャープでコンパクトなサイズ感といい、当時の服飾界の最先端を歩んでいたことがわかる。

 

エレガントでふわふわと広がるロングドレスや、ウェストをぎゅっと締めつけたコルセット。美しくゴージャスであるのと同時に、どうしてもしとやかにならざるを得なかった服装から、本来は男性の服であったキュロットを履いた時代を経て、パリジェンヌは締めつけないラインのワンピースやミニのスカートで、身体的に、そして精神的にも大きな自由を手に入れた

 

自信に満ちた表情を見せる女優や歌手。一人で颯爽と街を歩く女性。最後の展示室で、ジョセフィン・ベーカーやキキ、ブリジット・バルドーの自信に満ち溌剌とした表情を捉えた写真作品を眺めると、同じ女性として誇らしさすら感じる。250年のパリジェンヌの歴史を追って来たからこそ、強くこみ上げるものがあるのだろう。

 

 

 

レギーナ・レラング《バルテ、パリ》1955年 Gift of Leon and Michaela Constantiner 2010.429 Münchner Stadtmuseum, Sammlung Fotografie, Archiv Relang

 

 

 

…自分の足でしかとその地に立ち、自分の強い意思、得意とするもの、好きなもの、こうと決めた生き方―そうしたものをしっかり携えて前に進むパリジェンヌたちの姿

 

「女性として」何を選択し、どう生きていくかを、他者の考えに拠りながら思い悩んでいた筆者は、さりげないヒントや道筋を示してもらえたようで、鑑賞を終える頃には、ずいぶんと前向きな気持ちになっていた。

 

純粋に、ボストン美術館の名品に出会いたい方も、服飾に興味のある方も、そしてもちろん男性の方も。

 

時代の変遷、その時々の風潮やムーブメントを、とても分かりやすく追う事のできる展示となっているので、是非たくさんの方に、パリジェンヌが生きて来た時代時代の空気を感じて欲しい。

 

 

 

 

 

 

【成城エリア】

 

 

 

PM 3:30 老舗で出会う、目にも美味しいコラボスイーツ♡
凮月堂成城学園前駅前本店 

 

 

 

 

「パリジェンヌ展」を真剣に鑑賞していたら、なんだか小腹が空いて、脳に糖分も欲しい時間に。

 

そこでしばしバスに揺られ、降り立った次なるエリアは成城学園前。駅前の横断歩道を渡ってすぐ、吸い寄せられるようにやってきたのは、上品で洗練された洋菓子・和菓子が並ぶ老舗、凮月堂成城学園前駅前本店だ。

 

 

 

 

 

 

どのスイーツも堪らなく美味しそうで、ショーケースの前で目を輝かせるガールズアートーク編集部。早速今回、お目当てのスイーツをいただくべく、2階の喫茶室へ向かう。

 

実はこちらの凮月堂成城学園前駅前本店では、「パリジェンヌ展」開催中の期間限定で、とってもキュートなコラボスイーツを味わえるのだ。

 

 

 


「ルリジューズ」 ¥450(税別)

 

 

 

パステルピンク×ベージュの色の組み合わせと、コロンとしたフォルムが絶妙に可愛らしいこちらは「ルリジューズ」。フランスの伝統的なお菓子で、ふたつのシューの間のバタークリームのひだが、修道女(ルリジューズ)の襟に似ていることからその名が付いたという。

 

 

 

クリームの詰まったシューにはフォンダンがたっぷりとかかっていて、ナイフで切ればフォンダンがさくっと、中のクリームがとろりと、一口食べれば甘い風味が口中にふわりと広がる。

 

なにより、パリジェンヌ展で鑑賞したマネの《街の歌い手》で描かれた女性、ムーランが口にしていたフランス産チェリーがごろりと入っているのがポイント。このチェリー(グリオッティーヌ)がまた、洋酒の効いた大人な味わいで絶妙なアクセントになっている。

 

ソフィア・コッポラ監督の映画『マリー・アントワネット』(2006年・アメリカ)のカラーリングを彷彿とさせる絶妙なダスティパステルカラーは、インスタ映えも間違いなしの逸品だ。

 

 

 


「パフェ・ポンパドール」 ¥740(税別)

 

 

 

 

そして、いつの時代も、運ばれてくるだけで女子の心を鷲掴みにしてしまう魔法のスイーツといえば、やはりパフェ!

 

こちらは、玉川髙島屋S・Cの期間限定紙袋のデザインでも使用されていた、18世紀パリの貴婦人たちの髪型をイメージした「パフェ・ポンパドール」。競い合うようにうず高く装飾品をのせた珍妙な髪型が、こぼれんばかりのソフトクリームやマカロン、扇をイメージしたチョコレートによって再現されている。

 

ラズベリーソースやチョコレートアイス、先ほどの「ルリジューズ」にも使用されていたチェリーなど、女子の好きなものがたくさん詰まった(積み上げられた?)キュートすぎるパフェ。ガールズアートーク編集部も、この可愛らしさに終始きゃっきゃ言いながらのティータイムだった。

 

甘いもので心もお腹も満たされたところで、本日の女子旅最後の目的地へ…。

 

 

 

【その他のうれしい情報】
「美術館入口」から「千歳船橋」行のバスに乗った方へ!

パリジェンヌ展の半券をお持ちいただけたらお得に美味しい珈琲が飲めますよ。

 

 

 

 

 

 

〇堀口珈琲 世田谷店
 住所:東京都世田谷区船橋1丁目12番15号
 電話番号:03-5477-4142
 営業時間:午前11時~午後7時
 定休日 : 第3水曜日
 アクセス:小田急線「千歳船橋駅」下車 徒歩2分
 URL:http://www.kohikobo.co.jp/shop/setagaya/

 

 

 

PM 4:00 作家の息遣いを感じる空間へ
世田谷美術館分館 清川泰次記念ギャラリー

 

 

 

成城エリアに来たら、ぜひ訪れて欲しいアートスポットがある。それが、世田谷美術館の3つある分館のうちのひとつ「清川泰次記念ギャラリー」だ。

 

成城は、静岡県浜松市生まれの画家・ 清川泰次(1919 -2000年)が長らく在住したゆかりの地。彼のアトリエ兼住居を一部改装し、世田谷美術館分館として2003年に開館したのが同館だ。

 

 

 


©️宮本和義

 

 

 

独学で油絵をはじめ、渡米を機に生涯、独自の抽象表現を追い求めた清川泰次。
もののかたちを写すことに捉われず、自由な線や色面のみで構成された絵画作品や、ステンレス・木を用いた立体作品、さらには身近な生活用品のデザインも手がけた。

 

現在、同館では2018年3月18日(日)まで、彼が1980以降に制作した絵画・彫刻作品 20余点を紹介する展覧会平成29年度 第Ⅲ期収蔵品展 『清川泰次 平面と立体』が開催中だ。

 

 

 

 


清川泰次《Painting No.996》1996年 世田谷美術館蔵

 

 

 


清川泰次《Stainless Object V-3 No.4091》1991年 世田谷美術館蔵 (撮影:上野則宏)

 

 

 

シンプルかつリズミカルな作品たちは、今見ても、新しくモダン。鑑賞者の感覚にするりと入り込み、心地よいインパクトを残す。しかし、その印象は決して強すぎることなく、どことなく柔和で穏やか。

 

特定のモチーフや背景、筋書きを深追いするのではなく、純粋に、目の前で躍る線や色を自由な感覚で楽しむことができる作品たちを、ぜひ実際にその目でご覧いただきたい。

 

 

 


清川泰次《Painting No.3095》1995年 世田谷美術館蔵

 

 

 

同時に、ふとした瞬間に作家の息遣いや、かすかな気配を感じられるのが、住居やアトリエを活かした美術館やギャラリーの醍醐味。作家の自宅にそっとお邪魔するような気持ちで訪れたい場所だ。

 

…清川泰次記念ギャラリーを出ると、すでに空は暗くなり始めていた。

 

 

 

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世田谷にある、二子玉川、用賀、成城学園前という3つのエリアを巡った今回の女子旅。フレンチ気分は味わっていただけただろうか。

 

人生の大きな転換期にあって、女性としての生き方を模索する今。
現実と理想を比べては、自分のキャパシティーを思い知り、迷うことも落ち込む事もある。けれど、思い出深いこの世田谷で、お洒落して集まったり、美味しいものを食べたり、心を落ち着けて美術作品と対峙していたら、随分と気持ちが穏やかになった。

 

きっと、パリで強くしなやかに生きる女性達も、目の前のことや日々の何気ないこと、そしてパリという街を全力で楽しみ、パリジェンヌであること、女性であること、自分であることに自信を持って生きているのだろう。

 

帰り道、パリジェンヌ展の最後の章で、カメラに自信に満ちた目を向けていたブリジット・バルドー、自分のパフォーマンスや生き方に満足げな表情を浮かべるキキなどのパリジェンヌたちを思い出した。

 

—これから自分が何を選択し、ものごとがどう進んでいったとしても。

 

 

どんな選択も正解にしていくような生き方でありたいと、彼女たちの姿を見て思った。

 

 

 

 

 

 

写真:新井まる、鈴木佳恵、haushinka
文:haushinka
Photographs©Museum of Fine Arts, Boston

 

 

 

 

 

 

【展覧会概要】
ボストン美術館 パリジェンヌ展  時代を映す女性たち
会期:2018年1月13日(土)〜4月1日(日)
会場:世田谷美術館
〒157-0075 東京都世田谷区砧公園1-2 Tel: 03-3415-6011(代表)
開館時間:10:00−18:00
※入場は17:30まで
休館日 月曜日
※2月12日(月・振替休日)は開館、翌13日(火)は休館
観覧料(税込)  一般:1,500(1,300)円、65歳以上:1,200(1,000)円、大高生:900(700)円、中小生:500(300)円
※( )内は団体(20名以上)
※障害者の方は500円(介助の方1名まで無料)、大高中小生の障害者の方は無料
※リピーター割引/会期中、本展有料チケットの半券をご提示いただくと、2回目以降は団体料金でご覧いただけます
主催 世田谷美術館(公益財団法人せたがや文化財団)、ボストン美術館、NHK、NHKプロモーション
展覧会公式HP:http://paris2017-18.jp/index.html

 

 

 

 

平成29年度 第Ⅲ期収蔵品展 「清川泰次 平面と立体」
会期:2017年12月16日(土)~2018年3月18日(日)
会場:世田谷美術館分館 清川泰次記念ギャラリー
〒157-0066 東京都世田谷区成城2-22-17
電話番号:03-3416-1202
開館時間:午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)
休館日:毎週月曜日(ただし祝・休日と重なった場合は開館、翌平日休館)、展示替期間、年末・年始(12月29日から1月3日まで)
観覧料:一般 200(160)円、高校・大学生 150(120)円、小学・中学生 100(80)円、65歳以上及び障害者の方 100(80円)
   ※ 小・中学生は土・日・祝休日は無料
   ※ 学生証・障害者手帳など、確認できるものをご提示ください。
   ※障害者の方のご案内
     障害者で、小・中学生、高校・大学生の方は無料。
     障害者の付添者1名まで無料でご入館になれます。
 アクセス:小田急線 「成城学園前」駅南口から徒歩3分
 URL:http://www.kiyokawataiji-annex.jp/

 

 

 

 

 

 

【施設概要】

 

 

〇玉川髙島屋S・C
 住所:〒158-8701 東京都世田谷区玉川3丁目17番1号
 電話番号:03-3709-3111
 営業時間:午前10時~午後8時(専門店の営業時間はこちら参照)
 全館休館日 : 1月1日
 アクセス:東急田園都市線/東急大井町線「二子玉川駅」下車 西口徒歩2分
 URL:http://www.takashimaya.co.jp/tamagawa/

 

 

〇BOX&NEEDLE 二子玉川店
 住所:〒158-0094 東京都世田谷区玉川3-12-11
 電話番号:03-6411-7886
 営業時間:11:00-19:00
 定休日:水曜日
 アクセス:東急田園都市線・大井町線「二子玉川駅」より徒歩5分。西口を出て高島屋の南館と本館の間の道を進み、2本目の道を左折。
 URL:http://boxandneedle.com/

 

 

〇世田谷美術館
 上記、展覧会概要参照

 

 

〇成城凮月堂 成城学園前駅前本店
 住所:東京都世田谷区成城6-10-8
 電話番号:03-3482-0551(代表)
 営業時間:8:30~20:30
 2階喫茶室 営業時間:8:30~20:00(軽食類ラストオーダー:午後7時、その他のメニュー:午後7時30分)
 定休日:元旦以外原則無休
 URL:http://www.seijofugetsudo.com/

 

 

〇世田谷美術館分館 清川泰次記念ギャラリー
 上記、展覧会概要参照

 

 

 

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Writer

haushinka

haushinka - haushinka -

関西出身、関東在住。慶應義塾大学法学部政治学科卒。

子供の頃から絵を描くのも観るのも好きで、週末はカメラ片手に日本全国の美術館を巡るのがライフワーク。美術館のあるところなら、一人でも、遠方でも、島でも海でも山でも足を運ぶ。好きな美術館はポーラ美術館、兵庫県立美術館、豊島美術館、豊田市美術館など。

作品はもちろん、美術館の建築、空間、庭園、カフェ、道中や周辺観光も含めて楽しむアート旅を綴ったブログを2014年より執筆中。

 

ブログ『美術館巡りの小さな旅』
http://ameblo.jp/girls-artrip






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