feature

展示作品200点以上! 「マリメッコ展—デザイン、ファブリック、ライフスタイル」マリメッコの魅力とは

NEWS

2017年2月4日

展示作品200点以上! 「マリメッコ展—デザイン、ファブリック、ライフスタイル」マリメッコの魅力とは


展示作品200点以上! 「マリメッコ展—デザイン、ファブリック、ライフスタイル」マリメッコの魅力とは

 

 

 

 

独創的なプリントと色づかいで世界的に広く知られるフィンランドのデザインハウス、マリメッコの展覧会「マリメッコ展 —デザイン、ファブリック、ライフスタイル」がBunkamura ザ・ミュージアムで開催中です。本展は、ヘルシンキにあるデザイン・ミュージアムの所蔵作品の中から計200点以上の作品が展示され、60年以上のマリメッコの歴史やデザイナー達の様々なストーリーや作品が溢れる巡回展となっています。今回はその展覧会の様子をお届けします。

 

 

 

 

カラフルな色づかいで、一度みたら虜になるようなデザインのマリメッコは、1951年にヘルシンキで創業され、60年以上経った今なお多くの人を惹きつけています。日本でも《ウニッコ》(ケシの花)はバッグやインテリア、家庭用品まで展開され絶大な人気を誇っています。そのマリメッコになぜ人々は魅了されるのかを探ってみたいと思います。

 

 

 

 

こちらはフィンランド・デザイン・ミュージアム 学芸員のハリー・キヴィリンナ氏。

フィンランドから来られ、プレス内覧時のギャラリートークでは今回の展覧会の概要について語ってくださいました。

展覧会の構成は、フィンランドを代表するブランドであるマリメッコとは何かを紹介する導入部、マリメッコの歩みや歴史を見るタイムライン、そしてデザインがどのように生まれて製品化されてきたのかが展示される「デザインの芸術」の3つのテーマに分かれ、1951年創業から現在までの歴史やストーリー、そして作品が展示されていました。

 

マリメッコとは?

1951年に創業者アルミ・ラティアによって設立されたマリメッコ。

彼女はマリメッコの経営理念について「伝統的な家庭環境と、変化し続けるこの世界の新しい生活環境とを結ぶ架け橋。」と語っています。その2つの対比は、例えば都会と田舎、制御と大胆さ、色彩とモノクロなどという対極にある2つの要素を表しており、この要素がマリメッコのイメージに影響を与えているといいます(マリメッコ展図録より)。1950年代初期のフィンランドでは、戦後モダニズムの時代を迎え、女性=家庭、主婦といった昔ながらの役割から解放する動きが起こり、この社会的な背景は女性のファッションにも影響を与えていたといいます。当時のファッションは女性のスタイルを強調するようなコルセットがついた服が主流でした。一方でマリメッコはそのような時代の風潮に反発する形で、よりシンプルに、あまり裁断せずにテキスタイルのデザインを大切に残すようなドレスが考案されました。

マリメッコ(marimekko)のブランドの名前には、女性の名前の「マリ」、そしてドレスを意味する「メッコ」という言葉が組み合わさって「小さなMariのための服」という意味が含まれているそうです。mariを組み替えて創業者のアルミ(Armi)の名前がブランド名に入っていることから、彼女の精神がマリメッコの中に生き続けているように感じますね。

 

 

 

 

こちらは、ブランド創設時に考案されていたとされるロゴのデザイン。テキスタイルのブランドらしく、針や糸、ハサミやドレスをモチーフにしたロゴのデザイン案が並べられています。そして、左下のサインは1955年に実際にマリメッコのブランド初期にオープンしたショップの一つのサインです。

マリメッコの歩み

マリメッコの歴史を遡るセクションでは60年以上のマリメッコの歴史を繋いできたデザイナーの数々の個性的なデザインの作品が展示され、館内はカラフルに彩られていました。

 

 

 

 

マリメッコを輝かせた伝説のデザイナーとして有名な、マイヤ・イソラは、マリメッコのトレードマークともなっている「ウニッコ」をデザインしたことでも広く知られており、約40年間で500点以上の作品をマリメッコに残したテキスタイルデザイナーです。今では多くの人に愛される「ウニッコ」ですが、実は1950年代当時、世界中で花柄が流行していたことを理由に、創業者のラティアは花をデザインすることを禁じていました。しかし、自由な考えを持ち芸術家気質でもあったイソラは、自分の描きたいデザインで世に作品を送りだしていきました。彼女の自由な発想と行動力があったからこそ、現代に生きる私たちは「ウニッコ」に出会うことができたのかもしれません。

 

 

 

 

そしてこちらは、イソラと同じくマリメッコを代表するデザイナーとして有名な、ユニセックスのパイオニアともいわれるヴオッコ・ヌルメスニエミのデザインした男女兼用の服。彼女がマリメッコで働いていた1950年代は「ニュー・ルック」など女性らしさを前面に出したファッションが流行していたので、ユニセックスファッションのスタイルはとても先鋭的であったとされます。現在もマリメッコの哲学として引き継がれている、より女性の強い姿や自立した女性のイメージやマリメッコのスピリットが彼女のデザインからも感じることができます。

 

 

 

 

そして、現在のマリメッコにおいてエースともされるマイヤ・ロウエカリはミレニアム世代で、2000年以後いちばんの人気を誇るデザイナーです。彼女のデザインはより具体的に細部を描き、細かな線が複雑に重なったデザインが特徴的です。

マイヤ・イソラからマイヤ・ロウエカリまで歴代のスターデザイナーの多くはみな女性であるといいます。マリメッコと自立した女性というのは深く関連するところがあり、また現代の日本の女性にとっても共感することが多く、競争が激しいデザインの世界でマリメッコが確固たる地位を持って世界中の人に愛される理由は、そのブランドスピリットと女性が共感するところがあるのかもしれません。

 

 

 

 

「The Art of Design デザインの芸術」では、テキスタイルだけではなく、バッグや靴などのファッション小物から、お皿やグラス、テーブルクロスまでマリメッコらしさあふれる日用品が飾られていました。

 

 

 

 

このデザインもマリメッコ?と思うような可愛らしいデザインも。

色彩豊かなデザインだけではなく、これまでブランドの歴史を築き上げてきたデザイナーの方々のパッションなど、是非この展覧会でマリメッコの魅力を再発見してみてください。

マリメッコ展は2017年2月12日(日)まで開催中。

 

 

 

会場:渋谷・Bunkamura ザ・ミュージアム

会期:2016年12月17日 – 2017年2月12日

開館時間:10:00-19:00 (入館は18:30まで)

毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)

観覧料:一般1400円、大学・高校生1000円、中学・小学生700円

HP: http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/16_marimekko/

※3月以降、新潟県立万代島美術館ほかに巡回