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パリモダンアート美術館 電気の妖精 〜変化する知と美がフランスの血!?〜

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2016年2月24日


パリモダンアート美術館 電気の妖精    〜変化する知と美がフランスの血!?〜


「予見するために観察し、予知するために予見する」

オーギュスト・コント(1768-1857)

 

猿人は人間(=ホモ・サピエンス)へと変化し、火の焚き方や電気の発電の仕方を発見し、
素晴らしい道具を作り出しては、進化をしつづけてきました。

15,000年前、クロマニヨン人によって描かれたラスコーの壁画や、
ミケランジェロによって制作されたシスティーナ礼拝堂のフレスコ画を見ると、その変化は一目瞭然。

人類は素晴らしい道具と技術とアートを生み出した見返りに、常にイノベーションの力を試されつづけ、
さらには知恵と限界を越える肉体とともに、偉大なアートやテクノロジーをイノヴェイティブに発明、
発展しつづけ今日に至ることが窺えます。

今回はそのような「人類の発展と進歩」を象徴する作品をご紹介致します。

舞台は「花の都」パリのモダンアート美術館。

 

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(写真:『電気の妖精』http://sisso.fr/MAM/dufy/

 

この壁画『電気の妖精』は1937年にフランス人画家ラウル・デュフィー(1877-1953)によって描かれた作品です。
パリ万国博覧会の電気館のために描かれた作品であり、現在は電気会社から美術館に寄贈品として
パリのモダンアート美術館に展示されています。

ルクティウス・カルス作(フランス人哲学者)『事物の本性について』の内容をテーマに、
「人類の発展とテクノロジーの進歩」を象徴する作品となっています。

縦6m、横60mの大きな壁紙が作り出す美しく奇想な空間の中に佇んでいると、
いかに「人類の発展とテクノロジーの進歩」は素晴らしいかを感じる一方で、
一個人の人間の存在とはいかにちっぽけなものかを思い知らされます。

 

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壁画には歴史上の重要な出来事だけでなく、イエス・キリスト、アリストテレス、アルキメデス、
エジソン、モーセなどの偉大な哲学科、科学者、発明家たちが描かれています。

デュフィーが好んで他の作品にもよく描いたヨットや鳥の群れをモチーフにしたパリ祭も描かれています。

 

exposition universelle, Paris 1900,

 

細部にまで目を凝らし壁画を見てみると、京都、ロンドン、アテネ、
ニューヨークなど世界の主要都市が小さく描かれていることが分かります。

まるでドールハウスを見ているかのように「小さな発見」が沢山ありますよ。

この大きな壁画は大きく二人のギリシャ神話の神々(オリンポスの神と雷を放つゼウス)によって
構成が分かれていますが、ギリシャ神話の神イーリスが描かれることにより(虹の神であり、神の使い)
この二つに分かれたテーマと構成に一作品としての調和が保たれています。
パリに行かれた時は、是非モダンアート美術館に足をお運び下さい。
とてもダイナミックで迫力のある美しい作品です。

でも、どうして「人類の発展とテクノロジーの進歩」をテーマにこのような作品が描かれて、
デュフィーによってパリの博覧会で展示されているのでしょうか。

フランスは「自由と権利と美」を大切にするとてもリベラルな国です。
お菓子で例えると、綿菓子(フランス語でバーバパパ)のよう。
実態は目に見えるものの、綿菓子のようにふわふわしていて、
本質はどこにあるか一体全体分からなくなってしまう。
常に、変わりゆく「知」と「美」があるのです。

 

FRANCE. Paris. 1989.

 

ヴィクトル・ユゴーが『レ・ミゼラブル』の作中にてこのような言葉を残しています。

 

フランスが偉大で美しい国なのは、ほかの国のひとびとよりも、腹具合を気にしないからだ。
だからよそよりも簡単に奮起する。だからいちばんに目醒め、いちばん最後に眠る。
率先して進む。フランス人は開拓者なのだ。

それは、フランス人にもともと芸術家的気質があるからだ。美の追求と、
論理を煮詰めて理想に到達するのは、同じだからだ。
芸術的な国民は、論理的に整理されている民族でもある。

美を愛するのと、光明を求めるのは、同じようなものだ。

(省略)

ああ、“進歩”よ!

 

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何故デュフィーが「人類の発展とテクノロジーの進歩」をテーマにパリ博覧会のために壁画を描いたのか、
この街にいると分かるような気がします。

 

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参考書:『レ・ミゼラブル(下) ヴィクトル・ユゴー 角川文庫出版

画像出典:
http://parismusee.exblog.jp/tags/%E3%83%91%E3%83%AA%E4%B8%87%E5%9B%BD%E5%8D%9A%E8%A6%A7%E4%BC%9A/

 

debdylan1966.blog.so-net.ne.jp

 

 

 



Writer

Yuria Yoshida

Yuria Yoshida - よしだ ゆりあ -

青山学院大学文学部卒。在学中より音楽演奏奉仕活動や、NYでの美術館巡りなどを通して、日本と西洋のつながりを模索する。卒業後、The Art Students League of New York、Denison UniversityでのArt留学や日本語・日本文化教師をしたことをきっかけに、芸術教育に興味を持つ。現在は幼児芸術教育を勉強しつつ、バイリンガル幼児園にて英語を教える。

英国大学院留学を控えており、ルイスキャロルを中心に英国児童文学や教育等を研究予定。パリにある国連ユネスコ本部のお庭でコンテンポラリーなお茶会を開くことが夢。






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