interview

感覚的に好きをつづける 金谷裕子さん インタビュー

NEWS

2015年1月10日

感覚的に好きをつづける 金谷裕子さん インタビュー


感覚的に好きをつづける

 

金谷裕子さん インタビュー

 

「特に深い意味はないんですよ…。」

 

そうおっとりとした口調と、ふんわりした雰囲気を醸し出す金谷さん。
ペインティングやコラージュ、アニメーション、インスタレーションなど、様々な手法で精力的に作品を制作し、ファッションブランドとのコラボレーションや、ミュージシャンへのアートワークの提供など幅広く活動を展開しているアーティストだ。

写真 2014-11-28 18 57 44 (1)のコピー

写真 2014-11-28 19 00 04のコピー

一見すると物腰の柔らかい女性に見える彼女だが、そんな柔らかさとは裏腹にパワー溢れる三次元的な作品が展開されている。彼女の作品や作品作りに対する意欲がどこからくるのか、その不思議な魅力に迫ります。

 

girls Artalk (以下g):作品集のタイトルや、代官山ALで開催された同名展にもある『YXICOOO(イキシクー)』とは、どういう意味なのですか?

 

金谷さん:
特に意味はないんです。以前に描いていた絵に『YXICO(イキシコ)』というものがありまして、その絵を描いていたときに、Calexico(キャレキシコ)っていうバンドのことをふと思い出して、その名前の響きが素敵だなと思ったので、それを短くして絵の中に入れてみたんです。

今回の『YXICOOO』は、その『YXICO』に『O』を足したものです。『Hawaii』の『i』が多い印象なのがかわいいなと思っていたので、『O』をいくつか足してみようと思って。

そんな感じです。あんまり深い意味はないんです。

 

g:そうした表現そのものはおもしろいですね。

 

金谷さん:
響きとか、アルファベットの並んだ様子だったり、そういうものが気になるんです。英字じゃなくて日本語でも、左右対称なのが好きだったり。音や見た目から入るので、意味はあまり気にしないことが多いです。

 

g:今回の展覧会のテーマがあったら教えて下さい。

 

金谷さん:展覧会のテーマは、新しく作った作品集。その世界観を少しリアルに体験して欲しいと思って構成しました。

写真 2014-11-28 19 02 59

写真 2014-11-28 19 00 24

続いて作品についての見解を交えつつ、うかがった。

 

g:なんか感覚的なんですけど"宇宙"っぽいんですよね(笑)
紙に描いてるから二次元のはずなのに奥行きを感じて吸い込まれそうになりますし、作品の色使いもサイケデリックな要素だけじゃなくて、民族っぽくも感じます。これはご自身の体験が作品に反映されていたりするのですか?

 

金谷さん:
あぁ、嬉しい(笑)(宇宙っぽい、吸い込まれそう、ということに対して)
サイケデリックについても、サイケデリックだけじゃなくて、その要素を含んだちょっと離れたものや、民芸なんかも好きなんですよね。

元々、ジャンル問わず模様がいっぱいあるものや、色がいっぱいあるものが好きで、それを求めていて、サイケデリックなものとか、民芸っぽいものに辿り着いたのかも。そういうものが好きで旅行に行ったりするんですが、アート作品を見るよりもトルコ絨毯を見たり、メキシコの教会に足を運んだほうがテンションが上がります

 

g:なるほど(笑)こうした作品はいつごろから描かれているんですか?使用している画材についてもぜひお聞かせ下さい。また、興味を惹かれるのですが作品の柄というか、模様とかってストックしてたりするのですか?

 

金谷さん:多分、10年くらい前からかな。それまでは動物だったり、人物だったり、具体的なものも描いていました。画材はアクリルや水彩絵の具、ペン、色鉛筆、刺繍なんかも好きなので糸とか。柄や模様については成り行きで描くことが多いので特にストックはしていないです。前もって決めすぎちゃうとその時点で思い描いているより先へは広がらないので、頭で考えるよりも、手に任せたほうが描けますね。

 

作品の緻密さにくらべて、飄々とした受け答えの金谷さん。最後にアーティストになったきっかけをうかがったところ、「絵を描いたり何かを作ったりするのが好き、というのがベースにあるのだけれど、働きたくなかったんですよね。」という、なんともユニークな回答が返ってきた。

 

インタビューを通して金谷さんから感じた印象は、好きなものを描く、描くという行為が好きなんだなということ。その”好き”を繰り返し続ける姿勢からは、確実に彼女の芯の強さが感じられた。

写真 2014-11-28 18 57 52のコピー

写真 2014-11-28 18 38 01のコピー

*プロフィール*

金谷裕子 / Yuko Kanatani ペインティング、コラージュ、アニメーション、インスタレーションなど、様々な手法で作品を制作し、展覧会などで発表している。 また、NIKE、ETROなどファッションブランドとのコラボレートや、木村カエラ、PUFFYなどのミュージシャンへのアートワークの提供、野外フェスティバルなどでインスタレーションを手がけるなど、幅広く活動している。
HP:www.moypup.net

 

*告知*
金谷裕子 作品集出版記念作品展 『YXICOOO(イキシクー)』
会場:FOIL GALLERY
   京都市上京区 笹屋町通智恵光院西入笹屋町1-519 マーブルビルディング 3F
TEL: 075-451-6162
www.foiltokyo.com

日時:2015年1月10日(土) – 2月1日(日)
    月 – 土 11:30 – 20:00 / 日・祝 11:30 – 18:00(水曜休廊)
入場料:300円(中学生以下無料)

☆オープニングレセプション
1月10日(土) 18:00 – 20:00 ゲストDJ:多屋澄礼さん(Violet And Claire)
☆ペイント+コラージュのワークショップ
1月17日(土)14:00 – 16:00 参加費:2300円
※会場で作品集『YXICOOO』(DU BOOKS)を販売いたします。
———————————————
・金谷裕子作品集
YXICOOO イキシクー
• ・発行:DU BOOKS
• 価格:3300円(税抜)
• A4 / 並製 / 112Pオールカラー

20141112-kanataniyuko_v

———————————————-

 

*金谷裕子さんおすすめ*
訪れた国:
●トルコ モスクに入ると万華鏡の中にいるようでうっとり。
●メキシコ 「死者の日」が最高!カラフル天国にクラクラします。

音楽:BATTLES「DROSS GLOP」, of Montreal「Sunlandic Twins」,
   Sufjan Stevens「The Age of Adz」

映画:「セリーヌとジュリーは舟でゆく」

本:「リアリティのダンス」アレハンドロ・ホドロフスキー

 

 

文:新 麻記子
撮影:新井まる