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メディアアートの未来の可能性を体感! 第19回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展

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2016年2月12日

メディアアートの未来の可能性を体感! 第19回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展


今年で19回目となった「文化庁メディア芸術祭」。

「文化庁メディア芸術祭」は年に一度開催される国際的なフェスティバルで、アート、エンターテインメント、

アニメーション、マンガの4部門において、厳しい審査を通じて賞に輝いた作品が、一堂に展示・上映されます。

 

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今回は、世界87の国と地域から4,417作品もの応募がありました。

 

日本からの応募は約半数の2,201作品にものぼり、アーティスト達が表現の幅をどんどん広げ、新しいジャンルでの

アートを創造していく、未来への期待を感じることができる展示内容となっています。

 

シンプルでコンセプトが明確な受賞作品

メディアアートという作品群が、コンピュータやデジタル機器、プログラムなどの最先端技術を利用したりする

という理由から、すぐに新しい技術にのみこまれ、過去のものになってしまう…

そういった時代のスピードに最も敏感な芸術かも知れないと思うと、未来への期待と同時に少し悲しい気持ちにも

なります。

 

今回のアート部門の大賞は、そういったメディアアート・テクノロジーの過去から未来を立ち止まって考えることが

できる作品でした。

 

プログラミング言語の盛衰を可視化したこの作品は、真っ白な壁に額装されたプログラム言語が並ぶだけの、

とてもシンプルなもの。

シンプルながらメッセージ性を強く感じる、間違いなく大賞にふさわしい作品でした。

 

額装された壁面の裏側にはコンピュータがずらりと並び、画面上でそのプログラミング言語を見ることもできます。

 

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アート部門大賞:「50. Shades of Grey」グラフィックアート/チュン・ワイチン・ブライアン(英国)

 

DSC_0028アート部門大賞の作品に寄り添うチュン・ワイチン・ブライアン氏 (英国)

 

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今年のアート部門の受賞作品は、必ずしも新しいテクノロジーを使用した作品ではなく、シンプルでわかりやすい

作品が多い印象を受けました。

それゆえに、私にも作品のコンセプトが理解しやすく、心に残る作品が多い気がしました。

 

圧倒的なパフォーマンス!

今まで見たことのない個性が際立つ、アート部門優秀賞の「Ultraorbism」メディアパフォーマンス/

マルセリ・アントゥネス・ロカ(スペイン)の作品は、力強さと圧倒的な存在感を醸し出しており、

実際のパフォーマンスを観てみたい!と思わせるものでした。

 

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身体と機械を融合させるパフォーマンスで、2つの会場で繰り広げられる音楽、照明、ダンス、物語がリアルタイムに

進行していきます。

足元の絵本をめくったり、舞台で大きな筆を使ってドローイングしたりと、とにかく大胆!

人の持つエネルギーの壮大さを感じます。ぜひ実際の映像を見て欲しいと思う作品でした。

その他にも、民衆の政治的「怒り」がテーマになった大きなボックス型の映像インスタレーションや、実在する

同性カップルの一部の遺伝子情報からできうる子どもの遺伝データを生成し、それを元に「家族写真」を制作した

作品など、テーマがとてもユニーク。

 

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アート部門優秀賞:「Wutbüger」映像インスタレーション/KASUGA(Andoreas LUTZ / Christoph GRÜNBERGER)(ドイツ)

 

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アート部門優秀賞:「(不)可能な子ども、01:朝子とモリガの場合」写真・ウェブ・映像・書籍/長谷川 愛(日本)

 

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アート部門新人賞:「算道」計算手法・パフォーマンス/山本一彰(日本)
「算道(さんどう)」とは、計算の宇宙を探求する道を指す造語。

 

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アート部門新人賞:「Communicatin with the Future – The Petroglyphomat」インタラクティブアート/Lorenz POTTHAST(ドイツ)
可動式のデジタル切削機で「前向きな破壊行為」を行う機械。

 

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続いては、エンターテインメント部門。

 

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個人的にとても好きな作品は、エンターテインメント部門大賞の「正しい数の数え方」。

 

子どものための音楽劇で、音楽+演劇+アニメーション+演奏で構成される観客参加型のエンターテインメントショーに

なっています。

 

この作品の制作者・岸野 雄一氏は、作品スタディスト(勉強家)という肩書きを持ち、俳優・監督・映画音楽

プロデュースなどの活動とともに、世界各国で公演ツアーを行うなど、エネルギーに満ちあふれたアーティストです。

ちょっと変わったお髭の風貌と、意欲的なその取り組みに、機会があればぜひお話を聞いてみたいと思いました。

 

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エンターテインメント部門大賞:「正しい数の数え方」音楽劇/岸野 雄一(日本)

 

もうひとつ、エンターテインメント部門で面白いと思った作品は、優秀賞の「Solar Ping Pong」。

ストリートとゲームの融合で、自分の身体と影を使って、路上を動くピンク色の太陽の反射光と遊ぶことができる

ゲーム。

 

狭い路地などで人のジェスチャーと太陽の光と影だけで楽しめるとてもシンプルな作品で、子どもがボールを

追いかけて道路に飛び出すおそれがないため安心ですね。

 

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エンターテインメント部門優秀賞:「Solar Ping Pong」インタラクティブインスタレーション、ストリートビデオゲーム/アッソクリエーション/ティライト メティア ラボ(オーストリア)

 

他にも、エンターテインメントらしいゲーム、映像があり、観る人を楽しませていました。

 

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マンガ部門では、大賞を獲得した「かくかくしかじか」作者・東村アキコ氏のライブペイントが行われ、大勢の

ファンで賑わっていました。

 

また、マンガライブラリーが設置させており、大賞作品をちらっと読むことができます。

東村アキコさんの他作品は優しい絵とコミカルな登場人物で人気の作品が多いですよね。

私もかなり読んだと思うのですが、これだけはまだ未読だったので、時間を見つけて読んでみなくては!

 

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マンガ部門大賞:「かくかくしかじか」東村アキコ(日本)ライブペイント。

 

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マンガ部門優秀賞:「Non-working City」Ho Tingfung(ポルトガル)

 

架空の都市を描いたこのマンガは、日本のマンガに慣れているせいか、一風変わっていて大変面白く思えました。

 

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マンガ部門新人賞:「たましい いっぱい」おくやまゆか(日本)

 

テーマが色々なスタイルのマンガ、たましい いっぱい。

この画風で心がが和んでしまいます。

 

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ライブペイント中のおくやまゆか氏。

 

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マンガ部門新人賞「エソラゴト」ネルノライスキ(日本)

 

シュールな物語展開が魅力。

 

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アニメーション部門もさまざまなアニメが展示されており、じっくり観るとなかなか見応えがあります。

 

受賞作品の展示は、国立新美術館にて2月14日まで開催されています。

メディアアートの“今”を観ることができ、同時に体感することができます。

 

めまぐるしく変わっていくテクノロジーの世界。

来年はどんな作品が受賞するのか、とても楽しみですね。

 

文・写真:洲本マサミ

 

【情報】

第19回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展

http://j-mediaarts.jp

会期:2016年2月3日(水)〜2月14日(日)

会場:国立新美術館  〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2

時間:10:00〜18:00 金曜は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで

入場無料

 

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TOHOシネマズ 六本木ヒルズ

アニメーション作品等をスクリーンで上映

上映日:2016年2月6日(土), 7日(日), 11日(木・祝)のみ開催

〒106-003 東京都港区六本木6-10-2

六本木ヒルズけやき坂コンプレックス内

入場無料

 



Writer

洲本マサミ 

洲本マサミ  - - Masami Sumoto - -

京都市生まれ。SUMODESIGN LLC.代表。グラフィックデザイナー・アートディレクター。
1998年より京都のデザイン会社に勤務後2012年東京へ転勤。
都内でフリーランス活動を始め、2013年に事務所を千駄ヶ谷に移転し、2015年SUMODESIGN.LLCとして法人化。
girlsArtalkの立ち上げ時よりDesigner・Photographerとして参加しながら、カメラやアートを楽しんでいます。
毎日フレンチブルドッグのビビとオフィスに出勤中。
http://sumodesign.jp
https://www.instagram.com/sumoto_vivienne/