【後編】『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ』×YEN TOWN BAND LIVE アフターレポート!
『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ』。
大地の恵みを受けた新潟という大地を生かしたアートの祭典は、
7月26日(日)から始まり9月13日(日)をもって幕を閉じました。
前編に引続き…
後編も今までの記事では紹介しきれなかった作品を中心に紹介していきたいと思います。
また、一夜限りの復活を告げたYEN TOWN BAND LIVEの様子もお送りします。
宿泊地・じょんのび村からまつだい駅を向かう道中の「明後日新聞社・峰方山平エリア」に向かいます。
まず、BankART妻有を訪れました。
横浜にあるアート組織「BankART」と建築ユニット「みかんぐみ」が手がけるプロジェクト。
妻有にある古民家を買い取り、日々の生活に準ずるものをアーティストに制作して貰おう!という試み。
今回出品された磯崎 道佳さんや山下 拓也さんだけでなく、総勢50組のクリエーターたちが作品を出品しています。
15、BankART妻有
こちらは山下拓也さんの作品。
ちょっと宇宙人にも見えてしまうのですが…家屋の守り神として知られる白蛇だそうです。
磯崎道佳さんの作品。
端切れで縫い合わせた大きなクッション。しかし、生き物にも見えてしまう…。
その他にはこんな作品もありました。
お風呂、呼び鈴、カーテン、だけでなく、あったら素敵!あったら楽しい!ものまで…
夏にはBankARTが主催するイベントで宿泊するのも可能なんだとか。
16、ブランコの家 / マーリア・ヴィルッカラ
かつて暮らしていた姉妹の思い出話をもとに、空き家でいくつものブランコが光の中で揺れるインスタレーション。
17、ツマリ・ジオラマ / 川俣正
廃校になった体育館を利用したスケール感たっぷりな作品。
越後妻有を舞台にしたこちらは、様々な遊び心に溢れていました。
このジオラマの裏側には大地の芸術祭の15年分のこれまでの
作品模型やドローイング、ポスターや図録などの膨大な資料がありました。
ジオラマの通路を歩くことで芸術祭の足跡を辿ることができます。
18、Self Community 峰方について / 宮本博史
現在、清水集落の人口は24名、平均年齢75歳を上回ります。
過疎化と高齢化が進行するこの集落の記憶と風景に関するアーカイブを構築した作品。
箱を開けると家々の思い出が詰まっており、生活様式が伺えました。
19、養蚕プロジェクトー誰が袖/絹の国の母たち / 古巻和芳+夜間工房
かつて養蚕が盛んだった蓬平集落。繭から紡ぐ生糸…
作品が展示されているブースに入ると、むしゃむしゃと蚕が葉を食べる音がしました。
その音の大きさにビックリ…!!
その音に導かれると、そこには美しい花嫁着物があり…
半分は着物でありながら、半分は絹糸が幾重にも連なっていました。
そして美しい白衣の上にはくしや手鏡など、日本女性たちの歩みが表現されていました。
19、影向の家 / 大巻伸嗣
煙で「気配」を視覚化しているこちらの作品。
能舞台で鏡板と呼ばれる壁に描かれている松は、”影向の松”と呼ばれているそうです。
この作品に出会わなければ、そんなことも考えませんでした。
とても、素敵な作品です。
20、弧の棚田プロジェクト / 石松丈佳+名古屋工業大学石松研究室
3年前に整備した棚田に再び着手した、とーても大きい作品!
集落に残る民話「三九郎キツネ」にちなんで39の田んぼがあります。
田んぼには頭を垂れた金色の稲穂だけでなく、目を凝らすとメダカやカエルが生息していました。
その土地の豊かさが伺えた作品でした。
21 ドクターズ・ハウス / イ・ブル 、 スタジオ イ・ブル
かつて病院だった空家で、家中に鏡を用いたインスタレーション。
病院だった面影をそのままにいかしながらも、この家に流れていた様々な時間の断片を、
鏡を用いることで”空間の世界”を描いているように感じました。
時に光り輝き、時に歪み…様々な人の「生」と「死」が交錯したことに想いを馳せ、作品を鑑賞しました。
そして、ドクターズ・ハウスを後にし、「農舞台・松代中央」エリアに移動しました。
22、人生のアーチ / イリヤ & エミリア・カバコフ
これまではイラストでご紹介していた作品。
人生のそれぞれの段階を視覚化しています。
卵の形をした人間の顔に始まり、最後には「終末、疲れた男」まで…
現実的で残酷ではあるものの、目を背けることができない作品でした。
23、大地の恵み / センスアートスタジオ+香港の農民
香港の若者たちの農業体験プロジェクト。世界各国の農地発展に遭遇する挑戦に応えています。
24、観測所 / 牛島 達治
天と地に伸びた伝音管に両耳を当てると、片方は田んぼの音、片方は空の音が聞こえるそうです。
25、かかしプロジェクト/ 大岩スカール
真っ赤なかかしが様々なポーズで棚田に立っています。
ここで働く人とその家族がモデルだそうです。
26、関係一大地・北斗七星 / 河口 龍夫
鉄板に開けられた7つの穴は、北斗七星のフィルムをなしており、その穴には植物がすくすくと育っています。
27、リバース・シティー / パスカル・マルティン・タイユー
様々な色に塗られた巨大な色鉛筆。その一本一本に世界の国々の名前が記されています。
一見同じように見える色鉛筆ですが…その長さには作者の意図が隠されている気がしました。
28、ゲロンパ大合唱 / 大西 治・大西 雅子
刈り終えた草を飲み込み、微生物を生み出す堆肥製造マシーン。
可愛いカエル…他の種類も見てみたくなりました。
29、まつだい住民博物館 / ジョセップ・マリア・マルティン
松代の全世帯分の屋号がしるされている。
カラフル…幼少期に遊んでいた木琴を思い出しました。
30、イエロースライダー / 橘 宣行
転がるジャングルジム / 牛嶋 均
広がる青空に草原、そして黄色い滑り台。立体作品としてもかなりの存在感を放っています。
そして、その横には転がるジャングルジムがあります。
こちらは下にキャスター付きで移動が可能なので、好きな場所に出向いて遊ぶことができる優れ物。
子どもたちが動かしたり、乗っかったりできる、遊べるアートの数々に感銘をうけました。
31、へその緒くぐり / 山本 麻世
神のたなごころ / 寺澤 伸彦
蔦でかまぼこ倉庫を囲み、7つの倉庫をトンネルでつなぎ、通路や菜園をつくっています。
かまぼこ倉庫の中を覗いてみると手が…ちょっと怖い…。
31、地球と遊ぶジャイロ / 木村 崇人
ジャイロという回転する物体がその方向を保つ力が、車輪を利用した玩具で実現できる。
32、特別企画展「今日の限界芸術百選展」
ストリートカルチャー、民族芸術、現代美術、伝統芸能、
シルバーアートまでの多様な表現文化から「今日の限界芸術」を探る百選展。
出展されている作品の中でも、駅で見たことのある文字を発見!
ガムテープを使用して文字にしている佐藤修悦さんの作品は、
その読みやすさが話題を呼び、そのフォントに自身の名前がついたほどです。
そして、LIVEまで一休みをするべく、カフェ・ルフレであまざけアイスを購入。
そして、ここからはYEN TOWN BAND、復活を果たしたLIVEの様子をお届けします!
Yoshiharu Ota
ライブ会場であるまつだい「農舞台」に360度見渡せる円形のステージが出現しました。
里山の自然をバックにしたステージに、Charaさん、小林武史さん、その他バンドメンバーが登場すると、
この日をずっと待ち望んでいた観客からは割れんばかりの大歓声があがりました。
一曲目に披露された「Gold Rush」ではピアノとギターのシンプルな演奏に乗せ
Charaさんの神秘的な歌声が響き渡ります。
「上海ベイベ」が演奏された後に「みんな元気ですか?グリコです。」と、
映画『スワロウテイル』で自身が演じた役名で可愛らしく挨拶をしました。
そして「次の曲は、グリコが会ったことのない母に向けて書いた曲です」と語り、
アコースティックギターと優しい歌声が響く「小さな手のひら」を歌いました。
映画のワンシーンでグリコが歌うフランク・シナトラ「MY WAY」のカバーを経て、
バンドメンバーが「EL」と呼んでいるタイトル未定の新曲が初披露されました!
日が暮れて辺りが暗くなり、ステージの照明に呼び寄せられた羽虫。
まるで紙吹雪のように舞うたくさんの羽根にライトがあたり、
異世界のような幻想的な光景が生まれた光景を目の当たりにし、
Charaさんは「これが蝶々だったらいいのにね。」と微笑みを浮かべました。
そして小林武史さんが「たくさんの愛、多様な愛が世界にあればいいなという願いを込めた曲です」と語ると、
新曲「アイノネ」が力強いビートに乗せて届けられました。
この日のラストナンバーは「Swallowtail Butterfly ~あいのうた~」で、
感動的な雰囲気で包み、ステージを後にしました。
Yoshiharu Ota
約20年前に作られた楽曲がほとんどだったにもかかわらず、
小林さんが持つ絶対的な普遍性と、Charaさんの歌声が持つ神秘性、
そしてそこにバンドサウンドが合わさった時の言葉にできない感動。
架空のバンドに新たな“命”が宿ったかのような…
そんな確信を抱かせてくれるライブでした。
あっという間の1時間。本当に贅沢な時間。
<セットリスト>
SE 「Heart Of Glico」
M01 Gold Rush
M02 Sunday Park
M03 Mama’s alright
M04 上海 ベイベ
M05 小さな手のひら
M06 My way
M07 新曲
M08 She don’t care
M09 してよ してよ
M10 アイノネ
M11 Swallowtail Butterfly
今回、大地の芸術祭でYEN TOWN BANDがLIVEをする背景には…
小林武史さんが音楽を担当した映画『スワロウテイル』がポイントになっています。
作中に出てきたYEN TOWN BANDは金融グローバリズムに対してアナーキーな態度を取っています。
2日間の取材を通して『グローバル化が進み経済合理性が重視される風潮へのアンチテーゼ』という、
「大地の芸術祭」の総合ディレクター・北川フラムの言葉にもあるように…
人間と自然、都市と地方、死者と生者、その交錯する全ての要因から、背景にある世界を垣間見た気がします。
「本当の豊かさ」を考え直す機会を与えてくれた「大地の芸術祭」に3年後も足を運びたいと思います。
【過去記事】
『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ』girls Artalk的♡見どころをお届けいたします!:
https://girlsartalk.com/common/feature/17799.html
本日開幕★越後妻有「大地の芸術祭」注目作品8選:
https://girlsartalk.com/common/feature/18280.html
アートと人と自然と触れ合うチャンス! 7/26開催の越後妻有「大地の芸術祭」の注目作品8選:
http://woman.mynavi.jp/article/150723-24/
YEN TOWN BAND
【最新リリース情報】
12月2日(水)発売 ニューシングル「アイノネ」
初回限定盤(2CD) UMCK-9796/7 ¥1,500+税
通常盤(CD) UMCK-5588 ¥1,000+税
CD収録内容(初回盤、通常盤共に共通)
1.アイノネ
2.タイトル未定
3.アイノネ(instrumental)
4.タイトル未(instrumental)
初回限定盤ボーナスCD:
本日、9月12日に新潟県十日町まつだい「農舞台」で行われた、『大地の芸術祭 2015 YEN TOWN BAND @NO×BUTAI produced by Takeshi Kobayashi』のライブ音源を抜粋収録(Swallowtail Butterfly ~あいのうた~含む3曲収録予定)。
※通常盤は、CDのみとなります。
12月2日(水)発売 アルバム「MONTAGE」(デジタルリマスター盤)
初回限定盤(CD+DVD) UMCK-9798 ¥5,800+税
通常盤(CD) UMCK-1529 ¥2,000+税
CD収録内容(初回盤、通常盤共に共通)
1. Sunday Park
2. Mama’s alright
3. She don’t care
4. Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜
5. 上海 ベイベ
6. してよ してよ
7. 小さな手のひら
8. My way
初回限定盤 特典DVD:映画「スワロウテイル」(監督:岩井俊二)収録
12月23日(水)発売 アナログ盤「MONTAGE」
アナログLP盤 UMJK-9060 ¥2,800+税
(収録内容)
1. Sunday Park
2. Mama’s alright
3. She don’t care
4. Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜
5. 上海 ベイベ
6. してよ してよ
7. 小さな手のひら
8. My way
文・写真 / 新 麻記子