「『楽屋』フェスティバル」が5月10日(火)まで14日間にわたり、梅ヶ丘BOXにて開催される。
〜 作品の簡単なストーリー 〜
とある劇場でチェーホフの『かもめ』が上演されている。その楽屋では2人の女優が出番を待ちながら化粧を
し続けている。そこへシーンの合間に主演女優が戻ってくると、かつて彼女のプロンプターを務めていた若き
女優が現れる。病院を抜け出してきたかのような枕を抱いた若き女優は「主役を返せ!」と主演女優に迫るの
だが…。
〜girls Artalk ♡ おすすめポイント〜
♡現代を代表する劇作家・清水邦夫
早稲田大学在学中に執筆した処女戯曲『署名人』で早稲田演劇賞とテアトロ戯曲賞を受賞。特に1960年代後半、
演出家・蜷川幸雄氏とのコンビによるアートシアター新宿公演は新世代の圧倒的な支持を得た。
妻である女優松本典子らと演劇企画グループ「木冬社」を結成。木冬社での新作発表のみならず、俳優座、民藝、
文学座などに書下ろしを提供。また、戯曲のほかにも小説、エッセイなども手がける。
♡何度も上演され続けてきた傑作『楽屋』
木冬社の代表作として何度も再演され、青年座など多くの劇団でも上演されてきた。凄まじいまでの女優の業を
見事に描き、舞台裏で4人の女優たちが鮮烈に火花を散らす。その姿は時に滑稽で笑いを誘い、無残で愛らしく
もあり、緊密な劇世界が大きな見どころだ。
♡前代未聞の演劇フェスティバル
18団体がほぼ同じセット・照明・音響で2時間おきに入れ替わり立ち替わり上演。総合監督の「燐光群」主宰・
坂手洋二さんは「同じ題目でどのような劇世界が展開されるのか、それぞれの団体の個性を見比べこのお祭りを
楽しんで頂きたい」と述べた。 尚、すべての団体を見られるお得な通し券(1万円)も販売されている。
中央:樋尾麻衣子 向かって左:宗像祥子 右:松岡洋子
♡多種多様な参加団体
名古屋、大阪など日本各地から団体が集まり、演じる年齢層も様々。木冬社時代に『楽屋』に出演経験のある
女優南谷朝子さん演出の「燐光群アトリエの会」や、2013年にNYオフオフブロードウェイ演劇フェスティバルで
受賞経験のある演出家・石丸さち子さん演出の「ハイトブの会」に注目が集まる。
♡時代を超えて受け継がれるDNA
今回このフェスティバル開催のきっかけとなった南谷朝子さん。
木冬社で過ごした当時を振り返り、このように語る。
「『楽屋』は清水邦夫さんとその妻で女優の松本典子さんの合作のような作品。松本さんの当時の演技指導は
大変厳しく(笑)、緊密なエネルギーを引き出してくれた松本典子さんのあの熱をどれだけ伝えられるだろうか
という思いがあります。清水邦夫の作品が時代を超え、これからもたくさんの人に触れ続けるかもしれない、
という末恐ろしさと面白さに期待で胸が高鳴ります。」
稽古場は泣いたり叫んだりある種の熱狂があったのだという。
それは、『楽屋』という演じることに取り憑かれてしまった女優たちの魂に呼応する。
多くの女優が演じてみたいと熱望する『楽屋』−この名作が今春どのように咲き乱れるのか、全身で体感してみて
はいかがだろうか。
【情報】
『楽屋』フェスティバル
HP:http://rinkogun.com/gakuyafes._2.html
期間:2016年4月27日(水)~5月10日(火)
会場:梅ヶ丘BOX 世田谷区梅丘1-24-14 フリート梅丘B1F
新宿より小田急線[区間準急][各停]で14分 梅ヶ丘駅 下車 北口・南口徒歩1分
文 /川嶋一実 写真/古元道広