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銀座で楽しむ、大人の自由研究 「ウルトラ植物博覧会」 @ポーラ ミュージアム アネックス 

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2015年7月25日

銀座で楽しむ、大人の自由研究 「ウルトラ植物博覧会」 @ポーラ ミュージアム アネックス 


銀座のPOLA MUSEUM ANNEX では、「ウルトラ植物博覧会 西畠清順と愉快な植物たち」
(2015年7月3日- 8月16日)と題した、都会のど真ん中で世界中からハンティングした貴重な植物を
一度に会したユニークな博覧会を開催中です。

 

この展覧会は、プラントハンターとして世界中を旅しながら貴重な植物を集めている西畠清順さんの企画によるもの。

清順さんは、江戸時代より150年以上も続く植物の卸問屋の花宇五代目として、
単に珍しい植物を日本で売るだけではなく、「ひとの心に植物を植える “そら植物園”」という活動を通じ、
様々な団体と教育や街づくりなどを精力的に行っている大変魅力的な人物です。

 

_MG_6187<和名:石化セキネオ>

 

実は清順さんは、数年前より著書やテレビや雑誌などでの登場も多く、
その気さくな笑顔と飾らない口調からじわじわと人気を集めている注目の人物です。

 

そんな人物が、日本のアートギャラリーでどんな展覧会を開くのか色々と予想して伺ったのですが、
いい意味で裏切られました。

 

まず、会場に入ると圧倒されるのが展示されている植物の数。

 

およそ52点にもおよぶ珍しい植物がギャラリーのホワイトキューブを埋め尽くしています。

 

_MG_6215

 

そして、それぞれの植物は鉢に植えられていて観賞しやすい高さの台座に乗せられているのですが、
特に目を引くのは、全て白い布で覆われている鉢の土の部分です。
そして、それぞれの植物が白い布から彫刻作品のように浮かびあがっているのです。

会場入り口付近には比較的大型の植物、そして奥に入っていくに従って小型の植物がリズムよく展示されています。
大きさや形も様々な植物達が白い布のキャンバスからお行儀よく生えている様は壮観ですし、好奇心をそそられます。

 

小物植物前景

 

中でも美しかったのは、和名:砂漠の花と呼ばれるイエメン産の木。

数少ない花が開花している木でした。

 

砂漠のバラ
<和名:砂漠のバラ>

 

この木は、清順さんが「足で活ける」という表現で、この植物を見出した時の美しさを描写している、
木でもあります。
(著書「教えてくれたのは、植物でした 人生を花やかにするヒント」(徳間書店)より)

一つ一つの植物に対する説明は見当たらず、清順さんがこの展覧会のために書きおろした「植物図鑑」という、
フロアプラン付きの説明書を頼りに、その情報を得ます。

 

例えばこの奇妙なグローブのようなオレンジの実は、仏手柑(ぶっしゅかん)という柑橘の一種。
“不労不死の珍果”としてインドから中国経由で日本に伝わったありがたい果実だということがわかります。

 

みかん<和名:仏手柑(ぶっしゅかん)>

 

会場は撮影およびSNSによる投稿が自由なので、
観客も好きな植物を「植物図鑑」で調べつつ自由に撮影を楽しんでいます。
その様子は全く堅苦しくなく、あまりアートの展覧会らしくありません。

まるで都会に突如出現したウルトラ植物のジャングルを探検しているようです。

 

拡散歓迎<やっていいことを気がつかせてくれるサイン>

 

会場を回っているうちに気がついたのですが、この「植物図鑑」が、かなりの曲者です。

 

学名や分布国などのいかにも図鑑らしい項目が並べてありますが、
よく読むと思わず笑ってしまうようなエピソードが真面目に書いてあります。

例えば、、、(以下、「植物図鑑」より抜粋)

『33, 学名Lodoicea maldivica 和名:フタゴヤシ/科名:ヤシ/分布国:南アフリカ

「“世界一卑猥な種子”ともいわれる個の種はセーシェル諸島のプララン島という楽園に生息している。
まさに女性そのものの形をしていることから様々な神話を持つが、もっとも注目すべきは、
肝心なところにちゃんと毛が生えていることである。」』

?!!

 

おしりやし
<和名:フタゴヤシ>

 

さらに、「植物図鑑」は大人用と子供用のコメントを並べて記載した冊子です。
子供用は優しい口調で、ユーモラスな内容となっているのです。(大人が読んでも充分楽しめます!)

 

本会場の広報を担当しているポーラミュージアム アネックスのディレクター 松本美貴子さんに、
今回の展覧会について伺うことができました。

 

木の幹から実

<和名:ジャボチカバ>実が美味だそう!

 

松本さんによると、今回の展覧会は、やはり相手が生の植物であるので、直前まで展示する植物が決まらなかったり、
また、清順さんが展示用の植物の準備を進めるうちに出展数が増えていったりと、かなり大変だったとのこと。

 

まきびし
<和名:ライオン殺し>

 

展示期間中に頻繁に水やりが必要な植物の展示はないが、やはり手入れのために、
ほぼ毎日清順さんの「そら植物園」より職人さんが通っているそうです。

 

また、何より美術館でこのような生の植物を展示するということは、
他の所蔵品や建物への影響を考えるとほぼ不可能に近いのですが、
展示を総入れ替えするギャラリースペースだからこそ今回の展示が実現できた、というお話が興味深かったです。

 

確かに、虫が一匹でも紛れ込んでいたらそこから古い名画や建物に影響を与える恐れがあります。
しかし、それを恐れてばかりいたらこのような多くの人に未知の世界の広がりを
直接見せる勇気ある展示は実現し得ません。

 

_MG_6302

 

また、異国や辺境を旅して発見した珍しいものを収集一度に見せようという着想は、
一見ヨーロッパで15世紀~18世紀ごろ流行った「驚異の部屋的」なアイディアに似ているうに思えますが、
その真意はかなり異なるように思えます。

 

清順さんの記した展示開催に向けたメッセージにあるように、植物を元来居た場所から遠隔地から運ぶ、というのは、
昔から人間がより便利な生活をするために行ってきたことであり、
出来る限り「本能的に少しでも遠くへ子孫を送り、少しでも分布域を広げようとしている」
植物の戦略に沿った行動でもあります。

 

それ故に、私たちは自由な自然を我々の都合で犠牲にしつつ、
その恩恵を最も享受して日々生活を送っている存在なのである、と気が付きました。

さらに、植物は一過性のブームや流行りではなく、あらゆる物事や命の元である、、
というあたりまえのことを思い出すことが出来ました。

 

見上げる巨木

 

それは、私たちが忙しさにかまけて最近ゆっくりと植物の表情を見ることが出来ていないということでもあります。

 

「ウルトラ植物博覧会」は、「植物を運ぶことで、“価値観”を運び、“気付き”を届けたい」
という清順さんのメッセージが素直に心に響く爽やかな展覧会でした。

また本展は、展示物の性質上、大人も子供もそれぞれの視点で楽しめる展覧会であり、
こどもの自由研究のきっかけやヒントにもなりそうです。
大人も特製の「植物図鑑」を手に会場を回れば自由研究を行っていたころの童心に還れそうです。

 

ちなみに、展覧会場の一階にあるPOLAのウインドウでも、会場をはみ出した

巨大な植物が化粧品に交じりさりげなく鎮座している様子も必見です。

 

_MG_6284

 

この夏は、一人でも、カップルや家族で来ても、
それぞれが何らかの「気付き」や「発見」を持ち帰って行ける「ウルトラ植物博覧会」を訪れて、
ぜひ都会に居ながら愉快な植物達と胸躍るひと時を過ごしていただきたいと思います。

 

記念撮影

 

なお、会期中には、清順さんのトークイベントも予定されているそうです。

詳細は下記にてご覧になってください。

 

【展覧会詳細】

タイトル:「ウルトラ植物博覧会」西畠清順と愉快な植物たち

http://www.po-holdings.co.jp/m-annex/exhibition/ 

会期:2015年7月3日(金)-8月16日(日)

時間:11:00-20:00(入場は閉館の30分前まで)

入場無料/会期中無休

施設名:ポーラ ミュージアム アネックス

住所:東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階電話番号

アクセス:http://www.po-holdings.co.jp/m-annex/access/index.html 

電話:03-5777-8600(ハローダイヤル)

 

【イベント情報】
西畠清順氏によるイベント開催!

<1>「プラントハンター・西畠清順 × こどもたちプラントハンター」
本イベントは、お子様の身近にある植物の写真を元に、
プラントハンター・西畠清順と「植物のふしぎ」について体験学習ができるイベントです。

夏休みに、銀座・ポーラ ミュージアム アネックスでお子様と一緒にご参加ください。
日時:2015年8月2日(日)9:00~10:00
参加費:無料
定員:20名(5歳~小学生以下の児童限定)※1組に1名保護者もしくは、保護者の委任を受けた成人の同伴が必要です。
参加条件:身の回りで見つけた「おもしろい!」「きれい!」「かっこいい!」植物を写真でハントしてくること。
※応募時にメールフォームに添付してください。※写真は1組1点まで添付可能です。
申込方法:以下のURLよりご応募ください。
     応募受付締切 7月28日(火)17:00
ソニー・デジタル エンタテインメントのサイトへリンクいたします
http://sonydes.jp/newblog/archives/4607


<2>「ナイトミュージアムツアー」
プラントハンター・西畠清順氏が世界の国々から集めた摩訶不思議な植物たちが所狭しとならび、連日大盛況の「ウルトラ植物博覧会」。
8月2日(日)、銀座・ポーラ ミュージアム アネックスに西畠清順本人が来場し、ミュージアムツアーを開催します。
植物たちとの出会いや、ロマンに満ちたプラントハンティングの物語を聞ける特別な夜。
都会の真ん中で、人知れぬ秘境に生きる植物に想いを馳せるひと時、ぜひご参加ください。
日時:2015年8月2日(日)20:15~21:15
参加費:無料
定員:40名
申込方法:以下のURLよりご応募ください。
     応募受付締切 7月28日(火)17:00
ソニー・デジタル エンタテインメントのサイトへリンクいたします
http://sonydes.jp/newblog/archives/4611

※当日はTVカメラ・雑誌の取材やweb中継を予定しています。映りこむ場合がありますのでご了承ください。
 西畠清順氏によるイベント開催!

 

 【プロフィール】

*ポーラミュージアムアネックスサイトより抜粋。

西畠 清順(にしはた せいじゅん)

1980年生まれ。幕末より150年続く花と植木の卸問屋、花宇の五代目。

日本全国・世界数十カ国を旅し、収集している植物は数千種類。
日々集める植物素材で、国内はもとより海外からの依頼も含め年間2000件もの案件に応えている。
2012年、ひとの心に植物を植える活動“そら植物園”をスタートさせ、
植物を用い様々なプロジェクトを多数の企業・団体などと各地で展開、反響を呼んでいる。

著書に“教えてくれたのは、植物でした 人生を花やかにするヒント”(徳間書店)“プラントハンター 命を懸けて花を追う”(徳間書店)

“そらみみ植物園”(東京書籍)がある

 

 

文 / ソウダミオ   写真 / 洲本 マサミ