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旅とアート —世界最大のアートフェアへ−

NEWS

2015年7月5日

旅とアート	—世界最大のアートフェアへ−


 週末に1泊2日で隣国スイス、バーゼルを訪れた。
滞在1日目の目的は、世界最大の現代アートフェア・ART BASEL(アート・バーゼル)を訪れるためだ。

  ART BASELとは…
「バーゼルで毎年開催される世界最大の現代アートフェア。各国から選ばれた300以上の出展者(ディーラーやギャラリー)が、20世紀と21世紀を代表する話題のアーティストの作品を紹介。

最近は、メディア、アーティスト、バイヤー、コレクターが一同に会する文化交流の場としても注目されています。」

*スイス観光局HP紹介文より    
http://www.myswiss.jp/jp.cfm/season/summer/events/offer-Event_Season-SummerEvents-247333.html

アートの専門家やコレクターだけでなく、私のような一般人も気軽に訪れることができる。
アートが好きなら誰もが楽しめる、スケールの大きいイベントだ。

とっても広いので、気合いを入れて会場入りした!

 

ARTBASEL 2

 

まずは巨大なサイズのアートが展示されるArt Unlimitedから見学。
その名の通り、布で覆われた会場の中に、フェアブースに収まらない作品がたくさん並んでいるのが見える。

既に、AM 11:00のオープン前から入り口には人集りができていた。

 

ARTBASEL 3
Sam Falls | Untitled (Books for Jamie), 2014

ARTBASEL 4Jesús Rafael Soto | Sphère Lutétia, 1996

 

オープンと同時に入場、グラデーションに導かれるように会場の深部へと移動した。

 

ARTBASEL 5

Sheila Hicks | The Treaty of Chromatic Zones, 2015

 

ずっと見ていたくなる。色や質感に引き込まれる。 

 ARTBASEL 6Maha Malluh | Food for Thought ‘Almuallaqat’, 2014

 

広いスペースに時代を象徴するアーティストたちの作品が並ぶ。

 

ARTBASEL 7
Shilpa Gupta | Untitled 2012-2013

 

暗闇の中…
光に照らされた数千本のマイクは一つの巨大な生命体のようにも見える。

視覚を制限された中では室内に響く低音に骨が震える。

音が発せられている場所と光が当たる場所がそれぞれ違うことで、
意識を向ける先を巧妙に操作され、身体と心が動かされる感覚に陥る。

 

ARTBASEL 8Kader Attia | Arab Spring 2014

 

ぱっと見た瞬間に明確に脳内に入ってくる強いメッセージ。

割れたガラスの破片が、キラキラと照明に照らされて輝く。

 

ARTBASEL 9

Spencer Finch | Light in an Empty Room (Studio at Night), 2015 

ARTBASEL 10

Franz West | Untitled (19 Sculptures), 1990-1997

ARTBASEL 11Pierre Huyghe | Cambrian Explosion, 2014

 

もしかしたら、近い未来にアートの水族館も作れるのではないか?!と、いう気持ちになった。

 

ARTBASEL 12Gregor Schneider | u r 19, LIEBENSLAUBE, 1995

Pioneer of built rooms – GOLDEN LION at the VENICE BIENNALE 2001 for Totes Haus u r (Dead Haus u r)

 

中には小さな部屋が設置されている。

係員さんは「狭いから、パニックにならないようにね。」と教えてくれたが、

東京のアパートの部屋とそんなにかわらないような気がして、考えさせられる。

 

ARTBASEL 13OPAVIVARÁ! | Formosa Decelerator, 2014

 

ほっと一息できる粋な空間も作品の一つである。

 

ARTBASEL 14

Pacale Marthine Tayou | Plastic Tree, 2014

 

世界中から集まった観客のお洒落なファッションも、作品と会場に花を添えている。

 

ARTBASEL 15(2)

Olafur Eliasson | Your space embracer, 2004

 

暗室。

天井から吊るされたリングがゆっくりと回転している。

回転しているリングにスポットライトに当てられ、地球と地球の周りを回る月のように光が一周し、広がっていく。

 室内で回る光に包まれると、宇宙に抱かれているような、とても幸せな気持ちになる。

余韻の残る素敵な体験。

ゆっくり見学するお客さんも多かった。

 

ARTBASEL 16

David Schrigley | Life Model, 2012

 

3メートルほどある裸の人形の周りにスケッチ台が設置されている。

観客は自由に座って、スケッチを行う。また別の観客は、その様子を見つめる。

同じことを行っているはずなのに、実際に描く作品はそれぞれの個性に溢れている。

取り組む姿勢も人それぞれ。
作品全体を見ながら、まるで自分自身を客観的に見つめているようだ。

 

ARTBASEL 17

 

気がついたら2時間ほどが経過。
紹介しきれないほどの作品からパワーを頂いて、併設されたカフェでランチ休憩をし、次の会場へ向かった。

 

ARTBASEL 18

 

続いてギャラリー会場へ。

300以上の出展者が、各ブースにて20世紀と21世紀の話題のアーティスト作品を紹介。

ARTBASEL 19

会場内部の雰囲気

ARTBASEL 20(2)

素敵な商談スペース。

ほかにもコレクターだけが入場できるラウンジなどもある。

 ARTBASEL 21

ちょっと一休み

 

ARTBASEL 22

最後に野外会場のアート・パルクール Art Parcoursへ。

サイトスペシフィックな作品を見学。写真は全体の地図。

 ARTBASEL 23

Alicja Kwade | ‘Der Tag ohne Gestern l – lll’, 2014-2015

 

歩き回って作品を探す。

まるで宝探しのようだ。

見つけたとき、嬉しくなる。

 

ARTBASEL 24(2)Nate Lowman | ‚Multicolored tow truck‘, 2015

 

「作品を街中で探す」という行為を通じ、見落としがちな細部に目を向けることで、

見慣れたはずの景色の中に新たな一面を発見しては、その美しさに気づかされる。

子供のころの気持ちを思い出すような、とっても素敵な体験だった。

 

ARTBASEL 25

Procession | Lara Schnitger | Suffragette
Parcours Night in Basel 2015

ARTBASEL 26Alyson Shotz | ‘Imaginary Sculptures’, 2014-2015

ARTBASEL 27

 

たくさんのアート作品に触れていると、日常に潜む美しいものに敏感になる。

アートと日常の境目が溶け込んで、作品とそうでないものが、あいまいになっていく。

雨に濡れた石畳やコンクリートの質感も美しく見える。

 

ARTBASEL 28

 

次回はスイス旅2日目のDornach(ドルナッハ)探索と
ライン川のほとりにあるTinguely Museum(ティンゲリー美術館)を訪問する予定だ。

好奇心を刺激される神秘学の町で出会ったものについてレポートするので、お楽しみに〜^^♪

 

アートバーゼル 公式サイト:https://www.artbasel.com/

 

 



Writer

Eriko

Eriko - Eriko -

兵庫県出身。

子供の頃から絵や工作が好きで、学生の頃から美術館に通い始める。

好きな画家はジョルジョ ルオー、アンダーソン フリーデルなど。

作品を見た後、いつもの風景が違って見えたり、

身の回りの美しいものに、前よりも敏感になったり、と

五感を使って生きる喜びを与えてくれる美術の魅力にはまって、十数年。

休日は、展覧会と旅行三昧のアラサー外資系OLです。

現在、ドイツ在住。