美術史に学ぶ恋愛テクニック
「ピカソを唯一捨てた女性~魅力的な男性と結婚できる女性になる方法~」
ピカソといえば・・・恋多き画家で有名です。ピカソをめぐって7名の女性がいたと言われています。
① 「青の時代」から「バラ色の時代」に向かわせた最初の恋人フェルナンド・オリヴィエ
「フェルナンド・オリヴィエの肖像」
② キュビスムにはまっていた頃に付き合い始めたエヴァ・グエル
「Ma Jolie」
③ 品があり古典的な美しさを持つ女性オルガ
「肘掛け椅子に座るオルガの肖像」
④ 従順な女性マリ・テレーズ
「マリー・テレーズの肖像」
⑤ 才色兼備の写真家ドラ・マール
「泣く女」
⑥ ピカソを捨てた唯一の女性フランソワーズ・ジロー
「フランソワーズ・ジローの肖像」
⑦ 2回目の結婚相手ジャクリーヌ・ロック
「花とジャクリーヌ」
ピカソは交際する女性が代わると画風が変わりました。
彼女たちは彼に異なった創作インスピレーションを与えました。
ピカソは、愛情が深い時、身の回りの女性を絵の中で魅力のある女性として描き、関係が悪化する時、彼女たちを醜くて、恐ろしい怪物のように描いたようです。
また、彼と恋した女性の共通点は、すべて若くて美しくて、才能が抜群でした。そして、彼の生命に現れた女性たちは苦痛な運命が待っていました。
女性たちはピカソの芸術を育ってあげ、作風を生み出しましたが、ピカソは飽きてしまうとあっさりと女性たちを捨て、作風をも捨てることができる不気味な力を持っていました。彼にとって必要がなくなった者は、どんなに親密な交流があっても、要らないものになり、相手は従うしかなかったようです。
そんな女性たちの中に、たった一人だけピカソの元から去った女性がいました。
フランソワーズ・ジローです。
彼女は、「ピカソを愛しているけれど、自分が壊れてしまう」と自覚し、ピカソの元を去りました。
ピカソは、自分の元を去る人はいないと思っていたようです。
「どんな女だってわしのような男から去っていきはしない。ここを出るということは、今後は砂漠で生きるようなものだ・・・」という言葉が残っています。
この言葉にフランソワーズは、「砂漠で生きる運命ならそこで生き抜いてみせます。」と言って出て行ってしまったとのこと。
7年後、その事に復讐しようと考えたピカソは、オルガの病死後に再婚を持ちかけました。フランソワーズは子供のためにリュック・シモンと離婚し、ピカソと再婚しようとします。しかし、ピカソの反撃はジャクリーヌとの電撃結婚という衝撃的な結末で幕を閉じます。
その後フランソワーズは、ピカソの素性について書いた本を出版したり、小児麻酔ワクチン開発者で知られるジョナス・ソークと結婚したり・・・彼女らしく前を向いて幸せをつかみます。
「恋は盲目」という言葉がありますが、冷静に状況を判断し、結論を出せる女性はカッコいいなと思いました。
ある尊敬している女性が、「女性は選択が大切」とおっしゃっていました。
素敵な女性は「正しい選択」ができると。
結婚、仕事、子育て・・・
男性より女性の方が選択しなければならない事が多いそうです。
フランソワーズは正しい選択ができる女性だったからこそ、素敵な男性と2回も結婚し、ピカソの事も唯一嫉妬させ、反撃したいと思わせる魅力があったのだと思います。
*フランソワーズから学ぶ魅力的な男性と結婚できる女性になる方法
今回のキーワード「前向きで正しい選択のできる女性」
*パブロ・ピカソ(1881年~1973年)
スペインのマラガに生まれる。
二十世紀を代表する絵画の巨匠。
ブラックとともにキュビスムと呼ばれる絵画技法を確立。さらにコラージュへと発展させた。
「青の時代」→「バラ色の時代」→「キュビスムを確立」→「超現実主義」へと作風が変化し続けた。
*作品に会える場所
国立西洋美術館、東京都現代美術館、ポーラ美術館、ひろしま美術館、石橋財団ブリヂストン美術館、徳島県立近代美術館、メナード美術館 など
*参考文献
●山口路子 「美神の恋 画家に愛されたモデルたち」
●千足伸行 林綾野 「あの名画に会える美術館ガイド」
●結城昌子「ピカソ 描かれた恋 8つの恋心で読み解くピカソの魅力」
●松田健児「もっと知りたい ピカソ 生涯と作品」
●西岡文彦「恋愛美術館」
●瀬木慎一「ピカソ」