feature

94歳現役!現代陶芸彫刻家・林康夫の個展が1/20から

NEWS

2022年1月20日

94歳現役!現代陶芸彫刻家・林康夫の個展が1/20から


94歳現役!現代陶芸彫刻家・林康夫の個展が1/20から

 

 

〜ARTalkおすすめポイント〜

 

◆1948年、世界ではじめて「用に捉われない陶表現=オブジェ」作品《雲》を発表したのが林康夫。

 

◆1928年京都生まれの林康夫は、戦争のさなかの15歳で海軍に志願し、17歳のとき、特攻隊員として日本国に命を捧げる直前に終戦を迎えます。京都に帰ってきてからは、父・林沐雨の手伝いで陶芸をスタート、戦後いちはやく在野の陶芸グループとして出発した四耕会(しこうかい)の創業メンバーとして参加します。

 

◆世界初の用に縛られない陶のオブジェを発表した後は、フランス・パリで開催された「現代日本陶芸展」に若干22歳の若さで選抜されるなど国際的に高い評価を得ます。この頃の作品にはキュビスムの影響や、古墳時代の日本に見られる直線と弧線が結合した独自の模様を取り入れるなど、それまでの陶芸には見られなかった独自の造形へと向かっていきます。

 

◆1960年代から1970年代にかけて、より純粋な抽象形体へと制作をすすめていきますが、作品には少しずつ釉薬や白化粧などが施され、ある種の絵画性を帯びていきます。そして1980年代初め頃から、見る者の錯視(さくし)を誘う魅惑的な立体へと展開し、二次元(平面)と三次元(立体)が複雑に交錯する、極めて独創的な作品が制作されました。それは飛行兵として体験した夜間飛行の錯視経験に基づくものでした。

 

◆東京では初公開となる東日本大震災の被災地、福島・浪江町で見た廃屋に衝撃を受けて制作を始めた東北シリーズ「浪江町の景」を中心に、60年代の代表作も併せて見ることができます。ゆがんだ白壁や屋根、ひっかいたような傷痕が表す震災のすさまじさと、素朴な手びねりの質感が絶妙に調和する林氏の世界観と、94歳を迎えてもなお止まることのない創作力は見逃せません。

 

 

 

 

【Profile】

林 康夫(Yasuo Hayashi)

1928年京都生まれ。1940年京都市美術工芸学校絵画科入学。1943年第二次大戦により海軍航空隊に入隊。1945年敗戦。1946年父の陶業再開とともに稼業を手伝う。1947年四耕会結成に参加。

1950年 現代日本陶芸展 パリ、チェルヌスキー美術館(フランス)

1972年 第30回フアエンツア国際陶芸展 グランプリ受賞(イタリア)

1973年 カルガリー国際陶芸展 グランプリ受賞(カナダ)

1974年 第4回バロリス国際陶芸展 グランプリ、ド・ヌール受賞(フランス)

1987年 第1回オビドス・ビエンナーレ グランプリ受賞 (ポルトガル)

1994年 京展依嘱出品 京展賞受賞
1998年 「林康夫作品集」を河出書房新社より刊行s

「数学とセラミック展」(ドイツ、ベルリン他)、京都市文化功労者

1999年 京都市美術文化賞受賞

2000年 オペラ“牡丹亭”の舞台美術(フランス、ニース・カンヌ)

 

 

【展覧会情報】

林 康夫 展
Yasuo Hayashi exhibition

2022年1月20日(木)- 2月19日(土)

11:00-18:00 日・月・祝休

弥栄画廊 銀座店

東京都中央区銀座7-10-8太陽ビル1階

TEL:03-6263-9707

 

作品‘69-E  (H48.5×W38.2×D48.3 cm)