建築を学ぶならココ!勉強感覚で学べる建築展が森美術館で開催中
《住居(丹下健三自邸)》1953年:1/3スケールでの再現
森美術館15周年記念の展示ということで、気合の入った本展は、なんと100のプロジェクトを400点を超える多彩な展示によって紹介している。しかも、法隆寺などの古建築から昨年建てられた建築までが並んで比較できるのがとても面白い。
◆おすすめポイント1◆日本建築の遺伝子を学べる展覧会
本展について、森美術館館長の南條史生氏は、
「日本には世界有数の建築家がたくさんいるが、その理由がなんなのか。昔から続くある種の遺伝子があるのか。と考えて展示を作りました。100のプロジェクトを紹介する濃厚な展覧会となっているので、本を読むように見ていただきたい」と説明した。
本展を監修した建築家の藤森照信氏は、
「20世紀以前の建築を学ぶには2つの国を訪ねれば十分です。イタリアの石と日本の木を見ればいいんです。一方で、日本の現代建築はヨーロッパと相互に影響を与え合うカオスの中から生まれたもので、理解しづらい部分がある。今回の展示で半分くらいわかったかな、ヨーロッパと日本は意外と似ているな、程度に楽しんでもらえれば」と伝えている。
《古代 出雲大社本殿》年代不詳:模型
◆おすすめポイント2◆実際に行った気分になれる!体験スポットが随所に
勉強になるばかりが本展のみどころではない。
千利休作と伝えられている日本最古の茶室建築である国宝《待庵》の原寸大の模型は、実際になかに入って体験できるのが嬉しい。
入ってみると、意外に狭い…。
大柄と言われている千利休がこの極小空間に居たのか・・・。と、当時のお茶会の様子を想像してみたりするのも楽しい。
伝千利休《待庵》/原寸再現 制作:ものつくり大学
ファン垂涎の剣持勇氏や長大作氏の名作家具で構成されたブックラウンジもあるので、勉強に疲れたら、資料をめくりながら小休憩するのもまた良い。
これらの家具は通常なら、美術館に展示されて触れることができない貴重なものなので、実際に座れるとはなんとも贅沢である。
モダニズムの名作家具
この他、ライゾマティクス・アーキテクチャーが最新技術のレーザーファイバーと映像でさまざまな日本建築を再現した空間もオススメ。
建築と、周囲の自然を3Dで表現し、実際にその場所に足を運んだかのような感覚に浸れる。
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建築を学びたい人だけではなく、日本の魅力を再発見したい人やインテリアファンにもお勧めできる本展は、9月17日(月)まで。この機会に、ぜひ建築を勉強しにいってみてはいかがだろう。
文:山口 智子
写真:新井 まる
【展覧会概要】
六本木ヒルズ・森美術館15周年記念展
建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの
会期:開催中~ 9月17日(月)
会期中無休
会場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
開館時間:10:00~22:00(最終入館 21:30)
※火曜日のみ17:00まで(最終入館 16:30)
※「六本木アートナイト2018」開催に伴い、5月26日(土)は翌朝6:00まで開館延長(最終入館 5:30)
料金:一般1,800円、学生(高校・大学生)1,200円、子供(4歳~中学生)600円、シニア(65歳以上)1,500円
※5月18日(金)「国際博物館の日」は一般の入館料が1,800円→1,700円になります。(対象は一般のみ。他の割引との併用はできません。)
HP:http://www.mori.art.museum
バナー画像は、伝千利休《待庵》/原寸再現 制作:ものつくり大学
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