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1966QUARTET ロングインタビュー【後編】

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2016年5月2日

1966QUARTET ロングインタビュー【後編】


『THE BEATLES(ビートルズ)』の来日により日本中が熱狂した年である「1966」を名に冠する女性カルテット

『1966QUARTET(イチキュウ ロクロク カルテット)』。メンバーは松浦梨沙さん(Vn、リーダー)、花井悠希さん

(Vn)、林はるかさん(Vc)、江頭美保さん(Pf)の4名からなる。 クラシックのテクニックをベースに様々な洋楽ポップ

スのカバーをしている。

 

 

グループ結成6周年を迎えてますます活動の幅を広げている彼女たちが、4月20日に『1966カルテット Best of

Best 抱きしめたい』を発売した。2016年は、まさにカルテット名の由来となっているビートルズが来日し、

伝説の公演を行った年から50年となるアニバーサリーイヤーでもある。昨年の結成5周年記念を祝して発売された

ベスト盤とは異なり、今まで発表してきた数々のビートルズカバーの中から、究極の名曲を選定し、新録音を

加えて再構成した、まさにベスト・オブ・ベスト! 

 

今回、新たなビートルズ像をクラシカルアレンジで模索してきた彼女たちの到達点である新譜に触れながら

『1966QUARTET』の素顔に迫っていく。 【前編】では彼女たちの結成に至った経緯にはじまり、クラシックで

ロックナンバーをカバーすること、レコーディング仕様や発売された新譜について触れた。【後編】では普段

どのような生活を送っているのか、彼女たちのプライベートに迫っていこうと思う。 

 

 

gA: 

それぞれの休日の過ごし方を教えてください。 

 

松浦梨沙さん: 

私は家から一歩も出ないんです…一歩を踏み出すことにすごい労力が必要なんです。 

例えばゴミを捨てに行くの1つとってもそうですし、家にある玄関のドアを開けることにも気合が必要で、

隣にあるコンビニに行くにしても1時間ぐらい葛藤するんです(笑) 

3日休みがあっても3日間家から外出しませんね…家の中ではずっと掃除しています。 

ついでに言っちゃうと外が苦手なので外的要因である植物を家に飾る意味もあまり分からないんでできません(笑) 

 

花井悠希さん: 

自分の中でスイッチがあって…予定を入れていないと松浦さんみたいになりがちなのですが、松浦さんと違う

ところは家に引き篭もっている際には一日中ボーとして気付いたら夜になっているような感じです。

だからこそ、お休みの日は予定を入れたいんです!

 

江頭美保さん: 

花井さんは4人の中では一番アクティブで凄くフットワークが軽いんです。 

 

gA: 

どういう風にフットワークが軽いんですか? 

 

花井悠希さん: 

その辺をウロウロしています…例えばメトロからJRなどに乗り換える際など一度改札口から出ないと

いけませんよね?その際はその街を見て回ったりするんです…駅中にあるアトレや、カフェやパン屋さん…

当てもなくブラブラして2時間過ごせるタイプです。 

 

松浦梨沙さん: 

そう!だからとても彼女便利で!(笑)例えば、次の公演で衣装のために小物が必要になった時とか…

「どこかのお店でこういうもの探してくれない?」って他メンバーに連絡したら、一番先に「今、見れるよ!」

って返事してきてくれるんですよね。 

 

花井悠希さん: 

そうね!常に外にいることが多いから(笑) 私、予定とかを5分刻みとかで入れてしまうタイプなんで…

30分しかないのに「見れるよ!」って言っちゃうタイプですね。30分間でぶわーって見て、見つかったら買うし、

なければ買わないし、それで帰って寝落ちしちゃいます(笑)外で1mmも残さずに気力を使い果たして帰路に

着くので家にいる時の記憶がほとんどありませんね。 

 

gA: 

林さんはどうですか? 

 

林はるかさん: 

私は家の近所を散歩することが多いです。 

 

松浦梨沙さん・花井悠希さん: 

出たよ!おばあちゃんキャラが(笑) 

 

林はるかさん: 

そんなに遠出せずに徒歩圏内で色んな道をぐるぐる回りながら散策する感じですね。 

「あ!こんなところに八百屋さんがある!」とか…散歩コースにベンチがあって2時間ぐらいぼーと過した

りします。そこでの風景や生活音や自然音に耳を傾けて楽しんで過ごすことが多いですね。 

あと…演奏で遠征した際には鉄道マニアなので各地の鉄道に乗るのが好きです! 

3月に静岡の焼津を訪れた際にはアクティブな花井ちゃんと一緒に美味しい海鮮を食べて、次の日は1人で

遠出してSLで有名な大井川鉄道で一日中乗り回していましたね。一日中写真を撮ったり、スタンプ集めたり、

今では鉄オタになって充実した休日を過ごしています。 

 

gA: 

初めから鉄道マニアだったんですか?

 

林はるかさん: 

いや、初めは何となく好き、というようなレベルで、今のようにのめり込むほどではありませんでした。

色んなところに行くうちに興味が出てきて…今では電車に乗る”乗り鉄”と行く先々でスタンプを集める

”押し鉄”になってました(笑) 高いカメラでの撮影ではないですが好きで撮影することもあるので”撮り鉄”に

なってしまう日も近いかもしれませんね。 

 

江頭美保さん: 

それが、すごいスピードで”鉄”になっていったんですよ。 

 

花井悠希さん: 

たまたまファンの方々に鉄道ファンの人たちが居たりして、その人たちから鉄道コミュニティの誘いを受け、

とても応援されていますね(笑) 

 

林はるかさん: 

例えば、Twitterで「ここ行ってきました!」みたいなリプライが飛んで列車の写真を載せていただいたり

とか…自分で色んなところに行ったり、寝台列車に乗ってみたり、廃線になったところを巡ったり…最近気に

なっているスポットは北陸新幹線が開通したので富山に足を運んで、そちらの観光列車を乗り回してみたい、

乗りつぶしていきたいと思っています。できれば…乗るだけではなく車内で演奏ができたらいいんですけどね(笑) 

 

松浦梨沙さん: 

いいリズムが生まれるかもね! 

 

gA: 

江頭さんはどのような休日を過ごされていますか? 

 

江頭美保さん: 

私も基本は家に引き篭もっています(笑)梨沙ちゃんと一緒で家から出られないんです。 

仕事とかだと出発時間より早く家を出られるんですが、自発的に何かしようという時はなかなか外出

できませんね。なので、家でできる趣味を作っていて…コーヒーを入れることやお酒を呑みたいから

料理を作ることとか、その中でも最近ハマっているのはカメラですね。家の中だと撮れるものがないので

外出する際には必ず持ち歩いています。 

 

gA: 

趣味をきっかけにして外に出ることはいいですね。 

 

江頭美保さん: 

でも、よく梨沙ちゃんと呑みに行きますよ(笑) 

 

松浦梨沙さん: 

そうなんです!呑みには行くんです! 呑むという用事があれば直ぐ家から出られるんですけどね(笑) 

 

江頭美保さん: 

梨沙ちゃん、こんな感じなんで誘いづらいと思われがちなんですけど…「呑みに行こうよ!」って

誘ったら「いいよ!明日?」とか「今日は?」って返ってくるんです(笑) 

 

花井悠希さん: 

でも、美保ちゃんはお休みになるとあんまり予定入れないよね。 

 

江頭美保さん: 

うん、入れないね…むしろ花井ちゃんとか見てると同じ人間とは思えない。憧れちゃうよ(笑)

この前の焼津遠征の際もはるかちゃんと花井ちゃんは自主的に泊まったんですけど、私と梨沙ちゃんも

残ればいいものを…帰っちゃうんですよ(笑)私たちはあまり冒険ができないんです。 

 

gA: 

グループの中でいい感じにバランスが保たれていますね(笑) 

 

松浦梨沙さん: 

みんなアクティブでも大変ですからね(笑) 

 

花井悠希さん: 

そうそう、100%アクティブがぶつかってしまいますから。 

 

gA: 

皆さんは普段どのような音楽を耳にされることが多いのでしょうか?好きなアーティストを教えてください。 

 

松浦梨沙さん: 

マイケル・ジャクソンが好きですね。 

 

花井悠希さん: 

めっちゃ色々聴くんですけど…LIVEに足を運ぶのは斉藤和義さんですね。 

ジャズ・トリオなども好きで聴くのですが、車中で流すとムードが出ちゃって、次第に眠たくなってしまいます。

ですが、斉藤和義さんの声が私を現実に引き留めてくれるんですよね(笑) 

 

林はるかさん: 

私はブラームスとかベートーヴェンとか重厚なクラシックの室内楽を聴くことが多いですね。 

 

gA: 

移動中に聴くのですか? 

 

林はるかさん: 

いいえ。聴くときは家で音楽を聴く体制になり、全身に浴びるように音楽を聴いていますね。 

 

gA: 

自身がクラシック音楽を演奏する奏者でありながら、やはりクラシック音楽をメインとして聴いているんですね。 

 

林はるかさん: 

そうですね。このカルテットをやるようになってからポップスを聴くようになりました。 

今では「こんな面白い音楽があるんだ!」って発見しながら演奏していますね。 

 

gA: 

江頭さんはいかがですか? 

 

江頭美保さん: 

私もマイケル・ジャクソン、マライア・キャリー…と、好みが梨沙ちゃんと被ってしまうので(笑)

それを置いておくと…Ne-YoやCraig Davidとか好きですね 

 

gA: 

えっ?!ブラックミュージックやヒップ・ホップが好きなんですね!!

 

江頭美保さん: 

はい、クラブが好きだという訳ではないんですが好きなんですけど…ジャンル関係なく、いいな!と

思ったものは何でも聴きます。 

 

gA: 

もし、他のアーティストをカバーするなら、どんなアーティストに挑戦したいですか? 

 

松浦梨沙さん: 

私はマドンナかマライア・キャリーです…ただ単に自分が好きだからなんですけど、マドンナは

特にアレンジが面白そうだなっと思って。 

 

花井悠希さん: 

UKロックアーティストというのはビートルズから現在バンドに至るまで、その独特のテイストが脈々と

受け継がれてると私は感じています。特定のアーティストというよりかは、年代ごとにヒットしたロック

アーティストに焦点を当て、カバーするのも面白いのではないかと思っています。そのことにより年代を

超えて一つの共通点が見えてきたり…その受け継がれているDNAみたいなものを発見したいです! 

 

林はるかさん: 

私はもう一度クイーンをやりたいですね。以前カバーした際にはクイーンが持っている音楽の壮大さに圧倒

されながらも頑張って取り組みましたが、今改めて挑戦するからこそ見えてくる新しい発見があるのでは

ないかと期待しています。また、クイーンファンもとても熱狂的な方々が多く…それに対抗できるように音楽で

圧倒したい想いもありますし、「SAVE ME」という楽曲がカバーできなかったので、その曲のカバーに挑戦

したいと思っています。 

 

江頭美保さん: 

弟の車で音楽を聴いていた際にエリック・クラプトンの音楽は素敵だなと思ったんです。 

「Layla」とか皆で演奏してたらカッコイイ!って。ガチガチのロックというかロックギター好きの人が唸る

ような曲をやってみたいと思います。 

 

松浦梨沙さん: 

できたらカッコイイけど…難しいよ…ガクガク(汗) 

 

gA: 

グループの今後のビジョンを教えてください。 

 

松浦梨沙さん: 

こういうビートルズにちなんだグループを結成したので、あわよくば全曲コンプリートして、リクエストの

際に応えられるようにしたいです。それと同時に新しいことにも挑戦していきたいと思っており、私たちの

原点とも言えるクラシックをやってみたり、他のアーティストのカバーをしていきたいです。その際には

自分たちで編曲を手がけ、自分たちの音をゼロOから作り上げていく…そして、後々は夢は大きく武道館で

コンサートですね。 

 

gA: 

それでは、最後に読者に向けてメッセージをお願いします! 

 

松浦梨沙さん: 

私たちのようにビートルズを知らない世代の人たちが増えてきているなかで… 

私たちの音楽を聴いてみたキッカケでビートルズというロックバンドの存在を知ったり、「この曲面白い!

この曲すごい!」というように楽曲を見つけてもらえたら嬉しいです。 

結成当初から『1966QUARTET』はどのような役割を担えるのかという自分たちの存在意義を考えた時に、

クラシックとクラシックをよく知らない人の橋渡し的存在になっていけたらといいな。と思っていました。

それが、今はビートルズまで届くといいな。と思っています。 

昔はクラシックをあまり知らない人でも気軽にコンサート会場に足を運んでもらうことをメインとして

たんですが、その逆もあるな!と…クラシック好きの方でも突然ビートルズにハマってしまってもいいと

考えるようになりました。 

その両方の架け橋になれる『1966QUARTET』でありたいという思いがあるので、偏った人でも私たちの

CDを手にとっていただけたら両方楽しめるのではないかと…幅を広げるキッカケ、その足掛かりにして

もらえたら嬉しいと思います。 

 

 

インタビュー【後編】ではそれぞれの個性が光りながらも、あまり見ることのできないありのままの素顔に

触れられた。 

そんな彼女たちだからこそ『THE BEATLES(ビートルズ)』のように、時に寄り添い合いながらも互いを高め、

競いながらも音楽を奏でることができるのだと思った。 

そして、心より彼女たちが話してくれた今後のビジョンが実現することを願う。 

 

5月からは4月20日に発売した『1966カルテット Best of Best 抱きしめたい』を引っ提げて、全国各地で

彼女たちによる公演が予定されている。

是非、クラシカルなロックナッンバーを聴きに足を運んでみてはいかがだろうか?

 

取材:新麻記子   

 

【リリース情報】 

『1966カルテット Best of Best 抱きしめたい』 

4月20日(水)発売! 

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【収録曲】 

01.抱きしめたい (新録音) 

02.プリーズ・プリーズ・ミー (新録音) 

03.オール・マイ・ラヴィング 

04.キャント・バイ・ミー・ラヴ 

05.ハード・デイズ・ナイト 

06.エイト・デイズ・ア・ウィーク (新録音) 

07.ヘルプ! 

08.イエスタデイ 

09.デイ・トリッパー (新録音) 

10.イン・マイ・ライフ (新録音) 

11.ノルウェーの森 

12.ひとりぼっちのあいつ 

13.ストロベリー・フィールズ・フォーエバー 

14.ペニー・レイン 

15.サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド 

16.愛こそはすべて 

17.ハロー・グッドバイ 

18.フール・オン・ザ・ヒル 

19.ヘイ・ジュード 

20.ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス 

21.オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ 

22.サムシング 

23.アクロス・ザ・ユニバース 

24.レット・イット・ビー 

25.ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード 

 

 

【アーティスト情報】 

1966 QUARTET 

【1966カルテット】メインA写

 クラシックのテクニックをベースに洋楽アーティストのカバーをする女性カルテット。日本中が熱狂したビートルズ来日の年「1966」をカルテット名に冠し、2010年11月、「ノルウェーの森 ~ザ・ビートルズ・クラシックス」で日本コロムビアよりCDデビュー。王子ホールでデビュー・リサイルを開催。クイーンおよび、マイケル・ジャクソンのカバーアルバム(2011年および2012年)では、クラシックの上品なイメージを破る、ロック・スピリッツ溢れるパフォーマンスが高く評価された。ビートルズへと原点回帰した4作目のアルバム「HELP!」(2013年)では、生気溢れる鮮烈なプレイで、ユニットとしての更なる進化を聴かせた。全国各地でのコンサート活動を精力的に繰り広げる一方で、5作目のアルバムとなる「アビイ・ロード・ソナタ」を、英国ロンドンのアビイ・ロード・スタジオで録音し、2014年6月にリリース。 

1966カルテット OFFICIAL WEBSITE: http://columbia.jp/1966quartet/  

OFFICIAL BLOG: http://ameblo.jp/1966quartet/

 

松浦梨沙(ヴァイオリン、リーダー) 

MATSUURA

5歳よりヴァイオリンを始める。第6回大阪国際音楽コンクール第3位など、数々のコンクールに入賞。
京都市立芸術大学音楽学部卒業。確かな技術に裏付けられた鮮やかな表現力で

ユニットをリードし、キレとメリハリのある音楽性を創出する。ロックの魂をヴァイオリンに託す稀代の名手として、
ポピュラー音楽のクラシカル・カヴァーの最前線を切り開く。 

 

花井悠希(ヴァイオリン) 

HANAI

3歳よりヴァイオリンを始める。東京音楽大学卒業、同大学院音楽研究科科目等履修生を修了。
2010年に日本コロムビアよりCD2枚同時リリースでデビュー。最新アルバムは、『譚詩曲 ~11 stories on Violin』。
テレビ、ラジオ等にも積極的に出演するなど幅広く活動中。抒情的な歌い口で聴き手を魅了しつつ、アンサンブルの
要としてサウンドの充実を担う。http://columbia.jp/hanaiyuki/ 

 

林はるか(チェロ) 

HAYASHI

11歳よりチェロを始める。第3回大阪国際音楽コンクール、第15回日本クラシック音楽コンクール等、
数々のコンクールで入賞。東京藝術大学音楽学部卒業。同大学院修士課程修了。妹の林そよかとのデュオ
「アウラ・ヴェーリス」でもCDリリースなど活動中。安定感のあるアンサンブルのベースを担う一方、
激しいシャウトから穏やかなメロディーまで印象的なソロも魅力。 

 

江頭美保(ピアノ) 

EGASHIRA

4歳よりピアノを始める。第6回ブルクハルト国際音楽コンクール、第12回長江杯国際音楽コンクール等、
多数のコンクールで入賞。武蔵野音楽大学卒業、同大学特修科(二年)修了。2012年より1966カルテットのメンバー。
ロックからクラシックまで変幻自在のグルーヴでカルテットを支えつつ、ソロの場面では大らかで豊かな歌で聴き手に
感動をもたらす。