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20歳の”Liszt (リスト) “に、失神寸前! ピアニスト反田恭平の魅力

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2015年7月28日

20歳の”Liszt (リスト) “に、失神寸前!  ピアニスト反田恭平の魅


20歳の”Liszt (リスト) “に、失神寸前!

ピアニスト反田恭平の魅力

 

 

 

全身に電撃が走った!

この音、ただものじゃないぞ。

 

インタビュー前に、まずはということで反田さんの生演奏を聴かせていただきました。

それはもう、冗談抜きで身体が震える音で、深くて、優しくて、情熱的な感情のかたまりみたいなものを感じました。

そもそも、人生でピアノからこんな音が出ているのを聴いたことがない、これはただものではないぞ、と実感したのでした。

 

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7月22日に「Liszt (リスト)」のデビューCDが発売したばかりのピアニスト反田恭平さんは、なんと弱冠20歳。

年齢よりもずっと落ち着いていているご本人は、むしろ全身から、自信と、ダンディーさが滲み出ている何ともステキなイケメン男子。

そんな今、最も注目されている若き天才にインタビューしてきました!

 

 

 

 

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いわゆる英才教育ではない幼少期

サッカー少年がピアニストに?!

 

girls Artalk(以下g):反田さんは、なんでピアニストになろうと思ったんですか。

 

反田(以下S):4歳の時にはじめて鍵盤に触ったんです。

母が趣味のエレクトーンで『ミッキーマウス』を弾いてくれた時に、簡単そう!と思って見よう見まねで弾いてみたら、弾けてしまって。それを見ていた母が驚いて、「音楽教室に入れよう!」ということになったのがそもそもの始まりです。

 

g:反田さんは初見力に近い反射神経や絶対音感があったということですかね。

 

S:そう…その絶対音感があるかもしれない、ということで、音楽教室に入ったんですよ。

   そしたら、そこでも鍵盤を盗み見て百発百中で音程を当てるので、

   先生が驚いて、「本格的にやろう!」って、ことになったんです。

 

   でも、実はピアノより前に好きでやっていたのがサッカーなんですよ。

   赤ん坊で首が座ったと同時にボールに触れたっていう…逸話もあるくらいで(笑)

   サッカー選手になりたいと思って、地元のクラブチームに所属していた小学5年生の時に、大事な試合で手首が折れてしまったんです。

   手首は無事に整骨院で治してもらったんですけど、接骨する時の痛みがトラウマになり、サッカー選手になる夢を諦めました。

  それで、こんなに痛い思いをしない職業を考えた時に…ピアノでいいか!ってなっちゃったんです(笑)

 

g:最初はお父様はピアニストになることに反対だったとか。

 

S:そうなんですよ。ピアニストを目指したいということを父に話したら、

   「音楽高校に行きたかったら、中学3年生までにコンクールで、一位を取ってきなさい。」という、言葉が返ってきたのが中学2年生の9月。

そんな父を納得させたくて、半年の短期間で出場できるピアノコンクールを探し出して片っ端から出て、一位を取って見せたんです。

それでやっと、ピアニストの道を目指すことを渋々認めてもらえました。

 

当時、自分は音楽教室の生徒の中で一番うまいと自負していたんです。

でも、現実を見て…これ以上、周りとの差をつけられない!と、感じて、高校は音楽学校に進学することを決めました。

 

g:負けず嫌いなんですね。

 

S:そうなんですよ…

  どうせなら甲子園を目指して…って、僕、サッカー派なんですけどね(笑)

  既に勉強もダメだと悟り、音楽しかないと思ったんです。

 

 

 

 

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弱冠19歳でモスクワ音楽院に単身留学

どうしてロシア?&日常生活を教えて!

 

g:19歳という若さでモスクワ音楽院で学ばれていますが、

 そちらに至った経緯を教えてください。

 

S:高校3年時、日本音楽コンクールで優勝したことから今の師匠がいるマスタークラスというものを受講しました。それまでロシア音楽は全く興味がなかったんですが、「ラフマニノフ」を弾いた時にフィーリングがピッタリと合ったんです。

それがキッカケでロシア講師の授業を受けてみよう!と、思ったんです。

 

マスタークラスの授業は特殊な公開レッスンで、2人1組の1時間交代の演奏形式なんです。

相方が「チャイコフスキーのコンチェルト」を弾く時は僕が伴奏をして、僕が「ラフマニノフ」を弾く時に、もう一人が伴奏をする。という特殊な形態でした。

大体休憩が10分ぐらいで、7、8時間は弾いてましたね。体力面を鍛える目的だったそうです。

そのレッスンで、先生が僕の演奏を気に入ってくれて、その場で「ロシアに来い!」と言ってくれたんです。

 

g:不安とかなかったんですか?

 

S:もちろんありましたよ!6月に決まって、9月にはロシア。3ヶ月しかないですからね…その中で、ビザの申請などがあったりしましたし。

一応、行く前までにロシア語を読めるまでにはしたんです。キリル文字の…「Д」が「D」ねとか (笑)

 

でも、着いてから困ったのが…授業が始まるまでの2日間、ご飯がたべられなかったことです。ロシア語が喋れないので、物を買う方法も、風習もわからず、空腹に耐えるのは辛かったですねー。

 

g:それは大変でしたね。

 

S:ただ、自分の部屋の2つとなりの日本人とバッタリ会って、その人から豆をもらって2日目を過ごしました(笑)

–そんな散々なスタートだったそうですが、寒いロシアでの生活でホームシックになったり、心細くなったりしたことはないというのが反田さんの凄いところ。やはり天才は器が大きいのでしょうか。

 

 

 

ロシアで初めて、バレエにハマる!

滑らかな動きはピアノの演奏にも生きている?!

 

g:ロシアでの休日の過ごし方はどんな感じですか。

 

S:暇な時などはよく美術館に行ってましたね。絵は詳しくないんですけど、ゴーギャンとか、バスキアとか好きで。

あとは…テレビもないですし、…そうそう!近所に看板がボロボロの映画館があって、全然期待せずに、2年目にして初めて行ってみたんです。そしたら、シアターが20数個もある巨大な映画館で驚きましたね。しかもすごく安く観れる。

 

朝の9:00からの回だと、なんと、400円なんですよ!僕はそれで『ひつじのショーン』を観ました。昼に、『ジュラシック・パーク』を観て… 朝、昼、晩、って段々値段が上がっていくんですけどね(笑)

 

g:ロシアって、文化に関してとても寛大なんですね。

   バレエも安くみれるし、羨ましいです〜。

 

S:僕は学生証があるので200円で鑑賞できるんです。

    恥ずかしいことに…今まで全然、バレエとか興味がなかったんですよ(笑)

   でも、折角だから!っと意を決して、初めて『白鳥の湖』を観にいったんです。

     そしたら、バレエダンサーの踊りが上手すぎて、感動して、他が見れなくなりました。

 

     その時はたまたまバレエダンサーが代わって、有名なザハロワが踊ったんです。

     自分の周りの人たちは「ラッキーだ」と言ってたんですが、

    僕にはその価値がわからなくて(苦笑)ただ、ただ、その踊りに感銘を受けて…

 後ろのコールドバレエも動きがピッタリでしたね。

    それから、ロシアは金管楽器の演奏がうまいので迫力がありました。

    もう、それから病み付きになって通っています!

 

    学生だから…座席が舞台から遠いんですが、音楽がはじまって、

    バレエダンサーたちが踊ると、脳内でその風景が指先に見えて、

    ピアノ伴奏が再生されるんですよ。

 

g:それはすごい!さすが音楽脳ですね!

 

S:いやぁ…あんななめらかな動きは普段見ませんし、それを指に生かしたら…と、

      普段の演奏にも生かせるものがありますね。

      先輩たちもバレエが好きで一緒に行くんですけど、学生の席は取るのが難しいので、

      朝5:00に行って、チケット売り場に並んでいたりするんです。

g: 見聞を広げて音楽の養分にする。ということをなさっていて、

      本当に素晴らしいですね。音楽はクラッシック音楽以外聞かないんですか。

 

S:基本的にロシアにいるので時代についていけないんですよ。

     だからJ POPとか全然知らなくて。

     ネット環境はあるんですが、ニュースとか見れないので、何が流行っているのかがわからないです。

 

g:ロシアの音楽は聞かれますか。

 

S:街でよく耳にしますね。

     タクシーに乗ったりすると、ロシアのポップス『R-POP』っていうんですけど、

     ダサいんですよね…むかしの民謡みないな感じで。

     チャイコフスキーの3楽章のようなリズムにのせて歌っているんです。

     もしくは、日本の歌謡曲みたいなものに…

 

g:モスクワ音楽院ってボリショイ劇場とか近いですよね?

   あの場所って日本でいう銀座のような、ブランドショップとか並んでいたりしますよね。

 

S:学校から歩いて3分で観光スポットで有名な『赤の広場』なんですよ。

     そこから5分歩いてボリショイ劇場ですね。

 

g:観光地ですね。お住まいは寮だから、離れているんですか。

 

S:歩いて30分ぐらいですね。

     バス停は遠くて不便だし、ロシアで自転車を利用するのはお金持ちだし……。

     あ、今はキックボードが流行っています!

     キックボード持っていると一躍人気者になれるんですよ(笑)

 

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過酷な寮環境にも負けない、あっけらかんとした性格

 

g:寮の環境っていうのはどうですか?

 

S:お風呂が寒いんです。僕が日本に帰ってくる2週間前なんか水しかでなかったんです。   ロシアでも夏とはいえ最高気温15℃なんですよ。

     友達とサッカーをしてからシャワーを浴びるんですけど、最初の1分はいいんです…

     途中からきついんです。

 

g:そんなー!クレームとか出ないんですか。

 

S:それが、予め「この期間は水しか出ません。」と通達がくるんです。

      みんなはケトルとかで沸かしたりなんかして対策していますけど、

      僕が住んでいる部屋は4階の端っこで…。

 

      寮ではピアノが使えないし、癒しの空間であるベットの上で、

      いつもイメージトレーニングしてます。

      レッスン前にピアノを借りて弾くんですが、その時はじめて音の違いがわかったり、

      楽曲が理解できたりするんです。

      その度に先生に「こんなところに連れてきてごめんね。」って、謝られます(笑)

       マンションに引っ越そうかなぁ……。

 

g:そんな貴重な経験をしたら他の国に行っても問題なく生活できそうですよね。

     他の国に行くことも視野に入れていますか。

 

S:イタリアとか…イタリア語しゃべってみたいんですよね。

   今はロシア語と英語ができるんですけど。

     後…ルームメイトが韓国人なので、自己紹介程度に韓国語が話せます。

 

 

 

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日本公演についての意気込みと

読者へのメッセージ

 

g:9月11日には以前girls Artalkでも取材した指揮者アンドレア・バッティトーニとの共演を控えていますよね。若き天才のコラボレーションに今からワクワクしています。

ぜひ意気込みを聞かせてください。

 

S:演奏する楽曲がロシアというところですね!自分らしさ出していきたいですね。ロシアで先生のレッスンを受けていると、「ロシア人はこういう風に弾くのか?!」と、いつも新たな学びがあるんですよね。バッティストー二と早く競演したいです。

 

g:あの曲って、細かいシークエンスが切り替わっていく部分があるのですが、その意味合いってやっぱりあるんですか。

 

S:あるんです!その部分はラドシラミなんですが、そこをいかに伝えていくかですね。ほぼノンストップなので遅れられないんですよね。

 

g:最後にgirls Artalkの読者にメッセージをお願いします!

 

S:是非来てください!としか、言えませんが…

  YouTubeなどで動画を見ていただくか、ぜひCDを購入していただいて(笑)

  僕、『反田恭平』を理解してみてください。

 

ネットで聴くのも、もちろん良いけれど、生の音は本当に違う!ので、ぜひ生演奏を聴いていただきたいと切に願う編集部でした。

とにかくステキな魅力がギュッと詰まった反田さん、今後の活躍に目が離せません。

 

 

 

文:新井 まる

写真:洲本 マサミ

 

 

 ★反田さんのデビューアルバムはこちらからチェック!★

http://columbia.jp/sorita/

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これは、21世紀のリストなのか 

狂気と至芸、恐れを知らない大胆さと自在さ

言葉を超えた圧倒的な感動体験をもたらす本能のピアニスト、デビュー

 

 

 

反田恭平 プロフィール(Kyohei Sorita)

1994年生まれ。

2012年 高校在学中、高校生としては11年ぶりに第81回日本音楽コンクール で第1位、併せて聴衆賞を受賞。2013年、桐朋学園大学音楽学部に入学するも、同年9月M.ヴォスクレセンスキー氏の推薦によりロシアへ留学。2014年チャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院に日本人初の最高得点を獲得し入学。

2015年4月より桐朋学園大学ソリストデュプロマコースにも籍をおいている。

5月イタリアで行われた「チッタ・ディ・カントゥ国際ピアノ協奏曲コンクール」古典派部門で優勝。7月には「リスト」で日本コロンビアでよりCDデビューを果たす。

2016年1月にデビュー・リサイタルが予定されている。

現在、学業を優先しながらも、ロシアを拠点に国内外にて演奏活動を意欲的に行っており、日本ではタカギクラヴィア株式会社のサポートを受け、ホロヴィッツが愛奏したヴィンテージ・ニューヨーク・スタインウェイを弾いている。

ミハイル・ヴォスクレセンスキー、セルゲイ・クドリャコフ各氏に師事。

2014、15年度(財)ロームミュージックファンデーション奨学生。

 

Kyohei Sorita started his successful career by receiving the first prize and audience award of the Music competition of Japan 2012. Then he entered Moscow Tchaikovsky Conservatory on the top seat in 2013 and also won the Classical Era Division of Citta di cantu International Piano and orchestra 2014. The first album “Liszt” was released from Nippon Columbia on September 22th, 2014. Based in Russia, Kyohei actively performs world-wide supported by Takagi Klavier that sponsors him Horowitz’s vintage New York Steinway. 

オフィシャルHP http://soritakyohei.club/

 

 

 

<反田恭平 今後のスケジュール>

■ローム ミュージック ファンデーション スカラシップコンサート-Vol.6~9

  RMF奨学生によるコンサート

2015 年 8 月 29 日(土)開場17:30 / 開演18:00  会場 : 京都文化博物館別館ホール

出演者:反田恭平、他奨学生

 

■東京フィルハーモニー交響楽団 第96回東京オペラシティ定期シリーズ

2015 年 9 月 11 日(金)開場18:30 / 開演19:00  会場 : 東京オペラシティコンサートホール

                出演者:アンドレア・バッティストー二指揮 東京フィルハーモニー交響楽団

                      反田恭平 ピアノ

                曲目:ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 作品43

 

■フレッシュ名曲コンサート

2015 年 9 月 27 日 (日) 開場14:30 / 開演15:00  会場 : 調布市グリーンホール

                出演者:円光寺雅彦指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団

                       反田恭平 ピアノ

                曲目:チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 作品23

 

2016年 1月23日(土) 東京 サントリーホール 

主催:日本コロムビア、イープラス  チケット発売中!

 

 

 



Writer

【代表】新井 まる

【代表】新井 まる - MARU ARAI -

話したくなるアートマガジン「ARTalk(アートーク)」代表

株式会社maru styling office 代表取締役

 

イラストレーターの両親のもと幼いころからアートに触れ、強い関心を持って育つ。大学時代からバックパッカーで世界約50カ国を巡り、美術館やアートスポットなどにも足を運ぶ旅好き。新卒採用で広告代理店に就職し3年間勤務の後、アパレルEC部門の販促に約1年間携わる。人の心が豊かになることがしたいという想いから、独立。2013年にアートをカジュアルに楽しめるwebマガジン「girls Artalk」を立ち上げる。現在は「ARTalk(アートーク)」と改名し、ジェンダーニュートラルなメディアとして運営中。メディア運営に加え、アートを切り口にした企画・PR、コンサルティングなどを通じて、豊かな社会をめざして活動中。

好きなものは、自然と餃子と音楽と旅。

 

●Instagram: @marumaruc   

話したくなるアートマガジンARTalk(アートーク)」