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天野喜孝さんの素顔に迫る 〜想像の世界を羽ばたく「CANDY GIRL」の秘話 〜

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2015年9月11日

天野喜孝さんの素顔に迫る  〜想像の世界を羽ばたく「CANDY GIRL」の秘話 〜


天野喜孝さんの素顔に迫る

 〜想像の世界を羽ばたく「CANDY GIRL」の秘話 〜

 

ゲーム好きなら誰もが知っている超大作!「ファイナルファンタジー」シリーズのキャラクターデザインを手がける日本を代表するアーティストの一人である天野喜孝さん。

 タツノコプロから輩出されたアニメーション「昆虫物語みなしごハッチ」や「ヤッターマン」のキャラクターデザインだけでなく、菊地秀行さん著書の「吸血鬼ハンター”D”」や栗本薫さん著書の「グイン・サーガ」などの装幀画なども手がけています。

 

 

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今回、天野さんが新たに打ち出すプロジェクト「CANDY GIRL」は、いままでの妖艶で幻想的な世界観は健在ですが、

ガラリと印象が変わり、大変可愛らしくポップな作品に仕上がっています。 

今回、その新プロジェクト「CANDY GIRL」の秘話に迫るべく、
girls Artalk編集部は直接ご本人にお話を伺ってきました! 

 

girls Artalk 編集部: 

はじめに「15歳からタツノコプロに入社し…」とプロフィールなどで拝見しましたが、
絵の世界に飛び込んだキッカケを教えてください。 

 

天野さん: 

絵が好きでとにかく描いてました!
中学の時の大親友が静岡から東京に引っ越して、夏休みを利用して国分寺に遊びに行ったんです。
有名な漫画家さんたちが集う場所だったり、タツノコプロの会社がそこにあったんです。
勢いで見学に行こう!と、計画を立てたんですが…
普通に行くだけじゃつまらないので、絵を描いて持って行ったんです。
それで、僕はあまり記憶にないんですが…
友達曰く、当時はアニメーションの最先端であるタツノコプロの現場や原画などを目の当たりにし、
とても興奮したのか「入れてください!」とか言ったらしいんですよ(笑)
それで、その後に採用通知が着ました。 

 

girls Artalk 編集部: 

きっと、提出された絵が素晴らしかったんですね!
そんな経緯があって絵の世界に入られたんですね…知りませんでした。
でも、そこに葛藤はなかったんですか? 

 

天野さん: 

そうですね、その出来事がなければこの世界に入ってないですからね!
採用通知を見て周りも驚いていましたが、僕自身はこれはチャンスだと確信したんです!
なので、葛藤はなかったです…むしろ他のものが一切入らなかったぐらいで、それは今でも同じですが…
まず、行動しちゃってから、後からどうしよう…っていう。僕の性格ですね(笑) 

 

girls Artalk 編集部: 

本能に近いものがありますね(笑)計画していたわけではなく、偶然が導いてくれたんですね。 

 

「15歳でタツノコプロに入社。」という天野さんのプロフィールを拝見した時に衝撃が走りました。
そこにはどのような経緯や葛藤があったのかと難しく思考を巡らせていましたが、
返ってきた答えは意外にもシンプルなものでした。

「好きだから。」

…偶然が引き寄せてくれた出来事は自分で自分を突き動かしたアクション。
「好き」って、とても大切だと思います。さらに、様々な表現を用いる天野さんに疑問を投げかけてみました。

 

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girls Artalk 編集部:

展覧会に足を運ばせていただいた際に色々な作品を拝見しましたが、
ポップなものからクラッシックなものまで表現の幅の広さに驚きました。
それぞれの作品を描いているときに意識していることなどあれば教えてください。

 

天野さん:

先ず、一番は「楽しく描く」ということ。
当たり前かもしれませんが、自分の描いているものがいいものだと信じて描くことです。それが一番大事ですね!
もちろん仕事で描くんですけど、自分の描いたものを愛するというか、愛おしむ気持ちを持ちながら描いています。

 

「愛おしむ気持ちを持って作品を制作する。」と話す天野さんの顔には、柔らかい微笑みが浮かんでいました。
愛情を持って作品と対峙すると、自ずとかえってくるものがそこにはあるのだと感じました。

 

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girls Artalk 編集部:

作品の制作期間なども教えてください。

 

天野さん:

作品の制作期間についてなんですが、僕の制作期間はバカみたいに早いですよ(笑)
モノクロで描かれている装幀画のような作品とかは1日5、6枚。筆に迷いがあまり無いんです。
逆に迷うと楽しいですけどね…たまに迷うのもいいかなって、迷わなすぎてもマズイかな。って(笑)
大きい作品も2、3週間ぐらいで作成します。

 

自分には集中力がないと仰られる天野さん。制作期間の回答に驚きを隠せませんでした…。
先ほどのタツノコプロに入社した経緯などもお聞きしましたが、物事に対しての決断の早さが伺えます。

また、作品世界を反映させる数々の装幀画、制作にまつわるお話などもしていただきました。

 

天野さん:

想像を巡らせて文章にはない架空の世界を描くことが好きなんです。
目には見えない世界…目には見えなくても、頭の中にはあるじゃないですか。
誰にでもイマジネーションが備わっていると思うんですが、僕の場合それをただただ絵にしているだけなんです。
人間って感性自体はそんなに変わらないと思うんです。
それを絵で具体的に表現するから…元々備わっているものが視覚化され、分かりやすくなると思うんですよね。

 

そこで、天野さんが新たに打ち出すプロジェクト「CANDY GIRL」について聞いてみました。

 

girls Artalk 編集部:

「CANDY GIRL」はご依頼で描かれたんですか?

 

天野さん:

「CANDY GIRL」は違いますよ。
仕事の息抜きとして落書きを描いていると、可愛い女の子を描いちゃうんです。
そのストックが溜まってきたので発表しました。

 

girls Artalk 編集部:

「CANDY GIRL」は108体いるとお聞きしたんですが…。

 

天野さん:

あれは後付けです…◯◯◯48ってあるので、それより増やしてみようかなって(笑)
でも、この「CANDY GIRL」は僕が手がけていた70年代のアニメにつながるんですよ。

 

girls Artalk 編集部:

っ?!!…どういうことですか?

 

天野さん:

「CANDY GIRL」のイラストを見ていただけるとその要素が理解できると思うんですが、
「タイムボカン」や「ヤッターマン」に出てきた女の子たちの雰囲気が生かされているんです。
僕自身、色んな作品を手がけ、様々なことを経験し、巡り巡って…
昔のアニメーションを手がけていた頃に戻った感じですね。
今までの”三白眼”や”鋭い”感じとはまた違い、アニメをやっていた頃のキャラクターやポップな色使いなどを意識して、
集中的に世界観を広げてみよう!という、意識のもと描いています。

1枚2枚、2枚3枚、5枚10枚となり…50枚になってくると、世界観が出てくるんですよ。
むしろ、その世界観が出てこないと描けなくなってしまうんです。
「この娘たちは誰なんだろう?」って…最初は人間型のアンドロイドのつもりで描いていたんですが、
だんだん枚数を重ねていくうちにどこかに存在してもいいんじゃないかな?と思いはじめて、宇宙的な違う次元…
量子力学の別次元に存在していて、そこからこちらの世界に出てきたことにしよう!と考えました。
なので、制約がないので、ある意味なんでもありです!

 

girls Artalk 編集部:

ある意味、実験的な試みなんですか?

 

天野さん:

そうですね。デタラメに描いていい世界なので、
「CANDY GIRL」のこちら(下記の写真)の作品も何でもありで、
モンスターも一つの生き物として想像しながら描きました。
それで、自分でも不思議に思ったのがみんな”GIRL”なんですよね。
”BOY”はどうするんだろう?と疑問を感じた時に、モンスターにしたら面白いかな?と考え、
主役の「CANDY GIRL」を補佐するしもべの役目を与えました。
そしたら、合点が行くかな?と思って (笑)

 

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girls Artalk 編集部:

「CANDY GIRL」、一人、一人にはモデルになる人物などはいるんですか?

 

天野さん:

いないですよ。それぞれが新しいキャラクターとして存在しているんです。
アニメーションになってしまうと髪型や服装など変わりませんが、
「CANDY GIRL」は髪型や服装など変えてもいい存在にしたんです。
それから、年を重ねても良かったり…今より何千年かもしれませんけど(笑)

 

girls Artalk 編集部:

一人、一人、作中のGIRLを見てると性格が伝わってくるような感じがします。

 

天野さん:

それぞれのGIRLは性格と色とつなげているんです。
例えば、ピンクだったら優しい感じとか、ブルーだったらクールな感じとか…。

 

 

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天野さん:

「CANDY GIRL」のファッションに言えることなんですが…
ファッションにおいて非常に興味がありますね。
東京で生活を送っていると、道を歩いているだけで、
季節や流行によって女性の髪型やファッションって変化しますよね。
自分の中でも参考にするわけじゃないけれど、頭の記憶として残っているんですよ。
例えば、何となくテレビを見ていても、女性キャスターとか、アイドルとか、髪型の傾向が似ているわけです…
その記憶を用いて、「CANDY GIRL」の髪型にしています。
個人的には60年代のシブカジに流行った髪型とかも面白いですね。
ファッションの流行って繰り返されているので50・60年代のアメリカのファッションが好きです。

 

girls Artalk 編集部:

なるほど…だから、GIRLに親しみを覚えるんですね!
こちらの可愛らしい作品をプリントしたスカーフがあったら欲しいです。

 

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さらに、作品について掘り下げてお話を伺いました。

 

girls Artalk 編集部:

作品には車の塗料を使用しているとのことでしたが、そこにはどんな意図や背景があるんでしょうか?

 

天野さん:

現代ならではのものといった意味で、”車社会”であることに焦点を当てました。
経済だったり、才能だったり、そこを極めたものが世界中から集まっているものではないか。と、感じたんです。
例えば、素材の”白”というカラーにおいても”ベンツの白”と”レクサスの白”って、違うんです。
車を購入する時にかラー見本ってあるじゃないですか?
すごくカラーも豊富で、パールも入っていたり、絵の具よりも様々な色があるんです!
新車が出るたびにカラーも新しい種類が出て、車のシートを組み合わせることにも面白みを感じました。
でも、大元はセル画の綺麗さをイメージしています!

 

girls Artalk 編集部:

あー!なるほど! シートの裏側から描くと表がフラットになるアニメのセル画!

 

天野さん:

そうです! それを表現したくて車の塗料を使用して、最終的なコーティングをしています。
フェラーリやポルシェなどをコーティングしている業者に依頼して、
それで数週間かかってしまったり…と、結構大変だったりします。

 

girls Artalk 編集部:

ひとつ、ひとつ、丹精込められた作品なんですね! いつか「CANDY GIRL」の車に乗ってみたいです!
キャンパスにそのまま描いてた今までの作風と異なる理由をお聞きして理解が深まりました。
質感が全く違いますよね。

 

天野さん:

そうなんです!「CANDY GIRL」を和紙に墨で描くと、また違った雰囲気が出てきて面白いんですよ!
西洋的な感じが抜けて思いってきり浮世絵になるんです。
トラディショナルな日本のポップカルチャーにつながっている感じが読み取れて素敵ですよ!

 

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girls Artalk 編集部:

その他にも質感という意味で、天野さんが手がけられた、とても綺麗な金箔の作品なども拝見しました。

 

天野さん:

10月にある個展は金箔がテーマで、琳派400年ということもあり、
宗達の風神雷神の作品を、女性バージョンで描いてみました。
女性的に考えた時に”風神”はそよ風や春風などイメージがすぐに決まったんですが、
”雷神”のほうが…雷ってなかなか思い浮かばなくて苦労しましたが、
電気=ネオンという風に解釈を変化させてイメージを作り上げました。

 

girls Artalk 編集部:

なるほど…その苦戦された点なども踏まえ、その作品を見てみたいですね! 今からとっても楽しみです!
例えば、天野先生にとって今までの作品などで日本や伝統を意識していたりするんですか?

 

天野さん:

あんまり好きじゃないですけど、潜在的にあると思いますね。
でも、多分それはみんなにあることで…アメリカ人だったらアメリカらしいものだったり、
フランス人だったらフランスらしいものだったり、流れる血や住む土地などの文化が反映されていると思います。
他国みたらそれが個性となって光るものですしね!
「KAWAII」とかも日本ならではですよね…少女漫画とか好きですよ。
娘にねだられて「美少女戦士セーラームーン」の絵とか描いてましたし(笑)

 

お写真で拝見する天野さんはとても厳格な印象でしたが、実際お話をしてみるとそのイメージは崩されました。

とても気さくで朗らかでありながらも、絵を描くことに対しての情熱に満ち溢れています。

私の目の前には「絵を描くことが好き…好きで、好きで、たまらない!」少年が居ました。

 

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ここからは天野先生のプライベートに迫りたいと思い質問を投げかけました。

 

girls Artalk 編集部:

お休みなどは何をなさっておられますか?

 

天野さん:

絵を描いています。

 

girls Artalk 編集部:

お休みですよね? お休みも絵を描く…

 

天野さん:

はい…でも、ここんところずっとお休みがないですね。後、テレビとか。。。

 

girls Artalk 編集部:

(固)…作業中など音楽など聴いていらっしゃいますか?また、好きなアーティストがいたら教えて下さい。

 

天野さん:

今はインターネットラジオでローリング・ストーンズを聞いてます。後、ジャズとかクラシックとか…

 

girls Artalk 編集部:

ローリング・ストーンズとか意外です(笑)その他には…

 

天野さん:

吉田拓郎とか「人知れず」とかですかね。
でも、人が居ると格好つけないといけないので…イメージを壊さないようにクラッシックとかね(笑)

 

天野さんのおちゃめな一面が垣間見ることができました。

そんな天野さんから最後に読者に向けてメッセージをいただきました。

 

天野さん:

女性なら誰しもが経験する少女から大人になる思春期の儚く淡い時期。
その戻れない一瞬を拡大して描いている「CANDY GIRL」。
…僕もその不思議な時期に興味があるんですが、なんせ男なもんですから分からない部分が多いんです(笑)
その分からない部分を描いているので、共感できる部分は感じ取って欲しい…
また、自分に置き換えて振り返って欲しいですね。

洋服を購入して自分なりに消化して着用するように…
僕というフィルターを通して、「CANDY GIRL」=自分の理想形 を見つけ欲しいです。

 

「好き」という情熱が導く先には自由に想像の世界を羽ばたく「CANDY GIRL」がいます。
それは私たちかもしれません。
「CANDY GIRL」はこれからも天野さんの活動とともにどんどん高く飛躍していくことでしょう。

 

とても楽しいひと時とともに、インタビューは幕を閉じました。

 

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【イベント情報】

アーティスト天野喜孝氏の手がける最新プロジェクト「CANDY GIRL – 108 GIRL 」と
festaria bijou SOPHIAがビジュアルコラボレーション!

天野喜孝 Yoshitaka Amano

 「CANDY GIRL × 夢を叶える星」

SPECIAL LIVE PAINT @ festaria bijou SOPHIA  表参道ヒルズ店 本館B1F

9月12日(土) 19:00〜 (30分間)

FNO EVENT PARTY

17:00〜23:00 (最終入場22:30)

 

 

文 / 新 麻記子   写真 / 洲本 マサミ

 

 

 

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