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【ロングインタビュー】山口晃 45歳 酉年 画家 手習い

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2015年4月8日


【ロングインタビュー】山口晃 45歳 酉年 画家 手習い


 【ロングインタビュー】

山口晃 45歳 酉年 画家 手習い

 

 

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水戸芸術館現代美術ギャラリーに足を延ばして、

現在個展「山口晃展 前に下がる 下を仰ぐ」を開催中の山口晃さんに個展や自身の作品についてのお話を伺いました。

 

また、当日は取材に先立ち、個展に際して開催されたアーティスト・トークにも参加し、

山口さんの自身の作品についてだけではなく、映画や音楽、現代美術に関する多ジャンルに亘るお話もたっぷりと伺い

山口晃ワールドに浸ることができた一日でした。

 

山口晃さんは、緻密なタッチに抜群のユーモアと鋭い批判精神が同居する画風で

観る者に強い印象を与える、日本を代表する画家の一人です。

また、絵画作品のみならず、インスタレーションや広告・パブリックアートに書籍の挿絵・装丁などの多彩ジャンルで活躍しており、その豊富な知識と観察眼から書かれたエッセイも高い評価を受けています。

今回のインタビューの前から、江戸時代と未来が混在したようなハイブリッドな主題の作品を描いたり

優しく面白いエッセイを産み出す発想力と人柄に大変興味を持っていました。

そして案の定、何を聞いても一筋縄ではいかないお話を伺うことができました。 

 

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girls Artalk編集部:

まず、今回の展覧会について聞かせてください。

タイトルである「前に下がる 下を仰ぐ」というのは一見矛盾するように思えるのですが、どんな意味が込められているのですか? 
(このタイトルは今回の個展のポスターともなっている同タイトルの作品から取られています。)

 

 

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「前に下がる 下を仰ぐ」 (2014) 紙に鉛筆、ペン、水彩、墨 36.6 x 28.9 cm
©YAMAGUCHI Akira, Courtesy Mizuma Art Gallery

 

山口晃さん:

人間が前に進んでいる模式図を考えるとこういう感じになります。

(起立してゆっくりと軸足から一歩踏み出すしぐさをする)

寝て起きて歩く、日々生きて前に向かって未来という見えないものに向かって進むとき

行くべき方向を見るということは、過去や自分の環境が未来を決定付けていることになります。

過去との繋がりなくしては「現在の自分」や日本人というものは存在し得ません。

過去を見るとき自分だけや大きな民族というくくりを参照することもあります。

そんな時、足元にはこの先にも地面が続くと思って前に踏み出すのですが、

一歩進むと地面が見えない、例えばこの絨毯をめくったらいけない床が見えるかも、

ただ前に進むのではなく周りの環境を見ながら足を踏み出さないと先に進めないと、

たかだか前に一歩進むにしても色々なことを考慮しないといけないという

ためらいや思いを少しやれやれという心情を込めて表現している言葉です。

 

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girls Artalk編集部:

先ほどのトークでお話されていた内発性と世の中の現象についてのお話とその姿勢には関係があるのでしょうか?

山口晃さん:

関係ありますね。こういう暮らし方や一定の原理で生きてきた人間が急にこんなことを採用してもいいのか、足元の地面のように実は自分でも見えていないことに過去を含めた周りを参照すると、あくまでも形而上のレベルですが自分の無意識の領域も確認できるようになる。こうなると、自身の行為の内発性に繋がるのではないかと思います。

girls Artalk編集部:今回の個展は、現状報告を提示しこれからの作品の方向性を示す面と、これまでの作品を展示するという両方の側面があると思われるのですが、今回水戸芸術館で個展を開催するにあたり特に打ち出そうと思ったテーマはありますでしょうか。 

山口晃さん:自分の最新作や最新の境地を打ち出すのがまず第一。そして、単なる個展ではなく、会場が美術館であることからそんなに美術に詳しくない人もふらりと個展を訪れるという事を予測して外連味的な境地、それはそういう人を侮るのではなく、その人を美術好きにしてやりたい、という気持ちをもって自分の中での最先端のものまで鑑賞者が意識をもって来ていただけるようなしつらえにもするというところをテーマとして意識しました。

 

 

<第一室の写真>

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girls Artalk編集部:それもあって最初の展示室である第1室には色彩豊かな作品を展示しているんですね。先ほど個展を拝見して、小さな関所のようなトタン屋根の建物が要所にあり順路を導いてくれるのが面白かったのですが、これは鑑賞者に山口さんの思惑通りの順序で歩いていただくためのものですよね?

山口晃さん:そうですね。本当はもう少しお茶屋の待合にあるような、数寄屋なんかの路地にあるかけい戸を作りたかったのですが、強度的な問題から少し暑苦しい鉄で扉もつけたものを制作することになってしまいました。美術館という箱の持つ硬さをやわらげつつ、異物感もありかつ場にそぐわしく、さらに中途半端でありながら大事なものという意味を込めています。

girls Artalk編集部:あれは大きな意味で作品の一つと見なしてもよいのでしょうか? 

 

 

<とびらの写真>

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山口晃さん:どちらかと言うと、場の体験を提供するという性格が強いものだと思います。作品は心理を変容させるものだと思うので。あれを作品と定義すると見るという側面が強くなってしまいますが、実際に足を踏み入れるという体験ができるので、鑑賞者の方には展示風景を初めて見たときには、「あれっ?」という気持ちになってもらえたらと思います。

girls Artalk編集部: 実際に展覧会場を扉に導かれ順路に沿って歩いてみると、山口さんが順路を含めて展覧会の細部にわたり気をつかって構成を準備なさったということを強く意識させられました。それも決しておしつけがましい感じがしませんでしたし、また混雑時も観客同士がぶつかることなく回れるのもとても便利だとも思います。

山口晃さん:順路を示すことにより、観客の皆様を少し余計に判往復させてしまうので押しつけがましさをいかに軽減するか、ということは念頭に置いて展示を計画しましたのでそういう感想をもっていただけるのはありがたいです。 

 

 

<第5室>

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girls Artalk編集部:動線の話が続いてしまうのですが、今回の展覧会の構想は特徴的な芸術館の建物を本当に上手に活用していて、順路に沿ってそれぞれの展示室を進むごとに異なる作品が見られる様が楽しかったです。特に第5室の山口さんの思考回路や作品の種が見える部屋が興味深かったです。この展示のスタイルというのは、水戸芸術館に展示会場が決まってから構想を練ったのですが、それともこういう展示形式に合わせて会場を選ばれたのでしょうか。

山口晃さん:もちろん、美術館ありきでそれを活かした構成を考えた結果今回の形の展示が生まれました。

 

 

<忘れじの電柱 イン 水戸 (2015)>

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girls Artalk編集部:個展の中には、絵画作品を中心としながらも電柱のインスタレーションや現代美術へのオマージュ的な作品など多彩な表現形式の作品も展示していますが、山口さんは、「画伯」とも呼ばれ絵画を中心に作品を作成していますが、インスタレーションと絵画作品のバランス、関係性についてどう考えていますか?

山口晃さん:思いついてしまったら作品を制作するというのが基本姿勢です。やはり今回の個展は美術館なので、第7室の「どこでもドアは行きたい場所を思い描かなくてはどこへも行けない」(2015)や第8室の「三猿」(2015)といったアトラクション的な要素のある作品も作ってみました。硬派の現代美術家の方はやらないのかもしれませんが、ついにぎやかし的な見応えのある展覧会になるようなしかけのある作品を制作してみました。

 

girls Artalk編集部:「どこでもドア」をモチーフにした作品はどのようなしくみなのですか?

山口晃さん:あれは、実は見世物小屋の蛇女と同じ仕組みを採用しています。ちょっといいでしょうか。(実際に簡単な図を描いて説明をしながら)蛇女の小屋には、蛇女のとしこちゃんというのがちゃぶ台の上にとぐろをまいて座っていて不気味に歌うのですが、実はちゃぶ台の足元はボックス上に鏡が仕込んであり敷き詰めた人工芝が映るという仕組みです。そしてとしこちゃんは、さっきまで券を売っていたおばちゃんがかつらをかぶっているだけ、という単純なからくりです。

girls Artalk編集部:なるほど、そうなのですね。そのからくりに先ほど私たちはまんまと騙されそうになっていたんですね。あれはやはりどらえもん、の道具が元ネタですよね?

 

 

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子の字引留行形柱 2010 紙にペン、水彩 35 x 24 cm 個人蔵 撮影:宮島径
©YAMAGUCHI Akira, Courtesy Mizuma Art Gallery

 

 

山口晃さん:日本で美術というのは、何かと高尚ぶっているけれど大博覧会への出展を始めとして、見世物の一つとして始まったという側面に対するあてこすりとその事実を参照する意味も込めてこの作品を制作してみました。

girls Artalk編集部: そうだったんですね。今までの作品とは作風ががらりと異なるので驚きました。同様に第8室の建物の特性を活かした作品も鋭いメッセージが刺さりますね。

山口晃さん:ありがとうございます。

 

girls Artalk編集部:山口さんのユニークな作品の構想の源は何でしょうか。街かどの風景や、記憶であったり人との出会いといった特定のソースはありますか?また、それを日々意識していますか?

山口晃さん:作品のアイディアは、何か外的なインプットがあった時に思いつくことが多いです。映像でも人の話でも画像でも何か外から入ってきて印象が残った時には、それによって押された何かがピンポンと反応して構想が閃くような感じです。

 

 

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girls Artalk編集部:先ほどトークを聞いていて映画、マンガやお笑いなどに関しても幅広い見識をお持ちで凡人とは違う見かたをしているようですが特に好きなアニメや映画作品はありますか?

山口晃さん:ネタを探して他の方の作品を見ているようないやらしい感じになっていないか心配なんですが。先ほどのトークでは「まどマギ」などを出して時代に追いついている感じを必死で出しましたが実際には最近あまりアニメは見れていません。学生のころは、これは見ておけというような作品はたくさんあってマンガだったら手塚作品とつげ義春は読む、というような教えがあり半ば義務的に見ていました。そして当時は、そういった作品とリアルなものとの間の均衡を模索していました。

 

girls Artalk編集部:外的な刺激が作品制作に結びつくことがある、という事ですが作品を制作する際は、構想をしっかり練って一枚ずつ描き続けていますか、それとも様々な依頼や気持ちに沿って同時進行で複数の作品を描くことが多いですか。どちらもでしょうか?

山口晃さん:今回の個展に向けてはまとめて作品を思いついて描いたり、または、まとめてある過去のアイディアをストックからひっぱりだしてきたりしています。個展での新作数を多くすると危険な感じがする一方で、ただ旧作ばかり見せていると観客のみなさんに飽きられてしまうので、今回は電柱を使った作品などの保険を効かせて新作と旧作のバランスをとるようにしています。

 

girls Artalk編集部:第七室の「Tokio山水」(2012)は以前メゾン・エルメスや館林美術館での展覧会でも拝見したことがあるのですが、作品として今の状態で完成しているのですか?

山口晃さん:空白を残しておきたいというのはありますが、もう少し描き込みたいという気持ちがあります。

 

 

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「Tokio山水(東京圖 2012)」/部分 2012 キャンバスに墨 四曲一双 各162×342cm
Work created with the support of Fondation d’entreprise Hermès
© Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d’entreprise Hermès
© YAMAGUCHI Akira, Courtesy Mizuma Art Gallery

 

girls Artalk編集部:私たちの家もぎりぎり描かれていなかったり、はみ出てたりします。

山口晃さん:よくあと5cmで私の家も入るのにとみなさんに言われることがありますよ。

 

<Tokio 山水 (東京圏2012) 2012>

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girls Artalk編集部:この街の鳥瞰図のような作品は、もちろん実際に空から街を見たものではなく、山口さんの記憶や自身の東京の地形に対する知識、調査から作成しているのでしょうか?

山口晃さん:最近の作品はかなりGoogle マップの力によるものが多くなっています。昔は地図だけが頼りだったので、街の種類や第一級などというカテゴリから地形を想像して描いていました。しかしGoogle マップのようなツールが広まったことにより人間にとってのリアリティの置き場が異動し、その追求が一般的になりました。実際に街をトレースするとかなり正確にしないといけません。そして、例えば門前仲町の二丁目の角のようななにげない街角は細かく描写して、みなが知っている東京タワーのようなランドマークはゆるく描くというようにしています。

 

girls Artalk編集部:町や日常の風景を彷彿させる作品が多いのですが、山口さんはやはり街歩きはお好きなのでしょうか?

山口晃さん:本当は大好きですなんでが、真面目に仕事をすればするほど家にこもるはずの商売なんでほとんど出なくなっていますね。それから、後はやはり最近考え過ぎて手が遅くなっているということもあります。今度は失敗できないな、と思うとそういう心が影響を与えて手が二の足三の足を踏みさらに遅くなる、という事態にはまり作品の制作が遅くなっています。

 

 

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girls Artalk編集部:山口さんにとっては、作品を制作していてどんなことが失敗なのですか。

山口晃さん:色々なケースがあります。まず、仕上がらない、会期が始まっているのに作品が完成していないのは結構な失敗の一つですね。あと単純に作品として失敗というのはありますね。今回の個展で言うと第1室の「富士」(2015)のように。それから、作品を見たときに「あっ!」という感想が抱けるかどうかというのも基準の一つとしてあります。やはり当初イメージしていた到達点の8割にも満たないときなんかは失敗したなぁと思います。

 

girls Artalk編集部::これまで山口さんは、緻密な地図のような作品を描くイメージが強かったのですが、第1室の土民圖のような傾向のがらっと違う作品も描くというのが印象的でした。

山口晃さん:実はあの作品は、まだ未完成でこれから土民をもっとたくさん描き込むつもりなんです。今までこまごまとした作品が多くそういう作品は個人的にも好きなのですが、やはり新しい方向にも踏み出したい。とはいえ全部の作品の作風をがらっと変えるのも不自然なので、方向を変えつつ残った足で半歩でも踏み出して新しい境地を試すように試みるように心掛けています。

 

girls Artalk編集部:山口さんが大学一年生の時に、鎧武者の作品を評論展に出して、こういう作品を描くのは引退してからにしろ、と教授にあえなく批判されたエピソードを「ヘンな日本美術史」で読みましたが、現在どちらかと言うとやめた方がいいと教授らに批判された方向に進みそのキャリアで一定の評価を得ています。そのことに関してはどうお考えでしょうか。まだまだ目標とするところがあるのか、達成感があるのかそして、今後の活躍についてどうお考えですか?

山口晃さん:ようやくスタートラインに辿りついたという感じがしています。正確にはちゃんと絵を描いていなかった。ずっとこれでいいのか、と言うための言葉への挿絵を描いていたような気がしているのです。自分では、ようやく、こうした方がいいのではないのか、の「こうした方が」にようやく取り掛かり始めた気持ちがします。今までの作品を「こうした方が」に呼応しているものとしてカウントしたいのですが、いかんせん(美術評論家や研究者といった)玄人受けがあまりよくないんです。日本以外で進化してきた絵画の背景を鑑みると自分の作品は、絵画的な構造がかなり弱く問題点を追及していないお留守な所が多いんです。もっとそういった強度を高めたいですし、こんな作品で水戸芸術館で展示してすいませんという申し訳なさで一杯です。

 

girls Artalk編集部:山口さんのその謙虚さが見る者の共感を生むのかと思います。今回本当に山口さんがとても謙虚で気さくな感じの方であるのに改めて驚きました。

山口晃さん:謙虚というよりは恥ずかしいという気持ちがある。本当はものすごい作品を制作して大いにいばりたいんですが、ちゃんとした作品を制作していないのですいませんという気持ちです。

 

 

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girls Artalk編集部:やはり、とても謙虚なんですね。それでは、これから進みたい方向の一つが土民圖のような作品になるのでしょうか。

山口晃さん: あれはただのスタートです。土民圖のような作品は今の最先端に辿りつくためのシュミレーションや準備のようなものだと思っています。絵画の平面性の発見は20世紀に起きたことなので、こういう作品で自分で学んだ平面性というものとそのあり方を自分の国の言葉で現わしてみた、というかヘンな折衷ものという感じです。

 

girls Artalk編集部:山口さんは、大学で油絵を学ばれて西洋的な絵画に対する理解も深くまた、日本人として独自のコンテクスト不在の中で絵画を描いていくということに対する葛藤や問題意識を高くお持ちであることを今回の展覧会を通して感じました。それでいながら平面を感じさせる絵画作品を制作しつつも主題やナレティブが日本人にはほっとするものが多く、また絶妙な力加減でユーモアがあるところが見ていて本当に楽しかったです。

山口晃さん:やっぱり力抜けているところがありますよね。

 

girls Artalk編集部:今あるアート好き以外の層以外にアートを広げたいという気持ちから一歩踏み込んだ情報を配信しているGirlsArtalkの読者に向けて何かメッセージを一言お願いします。

山口晃さん:僕を人生の先輩としてはあまり見習って欲しくないですね。多重多層人格になる行き方のほうがよい。日本美術をやるけれども油を勉強した人間であり、日本人として作品を描くとか通すフレームが多くあった方がよい。その方が楽になります。現代美術はフレームの提示、多角化をテーマにしていると思ってやっていらっしゃる方が多い。ですが、注力がフレームオンリーになり過ぎて物が消えてしまっているのことも。いい意味でブレまくるということを勧めたいです。

 

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girls Artalk編集部: 山口さんはご自身では「現代美術」をやっていないが、美術界で絵を描いているという捉え方なのですか?

山口晃さん:現代美術をやっていないということを逃げとしては使わないようにしています。自分の感覚がずれているという心持をいましめるために自分は現代美術の門前の小僧という心持でいます。けれど、まったく異なるフィールドの人からみたら現代美術をやっているように見えるわけなので、その文法というか作法にも従いつつ日本の明治以降の立場も自覚して、いろんな所へモノ申す為に片足をちょっとずつ突っ込んでいる気分です。

日本は一般的に特に門外漢の人の話を聞かない傾向が顕著ではないでしょうか。例えば、芸能人が絵を描くと歌を歌っていればよいのにと揶揄したりします。けれど実際には一つの領域に収まっていない人が本当に優れた人の中には多く居ます。詩心がある豆腐屋さんや、アーティスティックな大工さん、パンクなちり紙屋さんなど一つの領域に収まっていない人は本当に多いんです。ただ、どれもを中途半端にしないで、どれも一定の水準に達するようにすれば多方面をまたいだ物言いが出来るようになると思います。水準に達しないで多方面によい顔をするのが危険ですね。まずは人並みになることからはじめたいと思います。

 

girls Artalk編集部:山口さんがそのぐらいの謙虚なお気持ちですと大多数の人はスタート地点もはるか遠くかなりの精進が必要ということになってしまいますね。今日はありがとうございました。

 

 

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<取材を終えて>
山口さんの作品は批判精神に富んでいながらも、卓越したユーモア―と知的さが融合されており、幅広いファンを魅了しているのが納得です。

同様にそのお話はとても刺激的で今後も美術界を超えた文筆業を含めた多方面でのご活躍が益々楽しみになりました。

 

 

山口晃展 前に下がる 下を仰ぐ  
水戸芸術館 現代美術ギャラリー 2015年2月21日[土]~ 2015年5月17日[日]

 

▼山口晃 プロフィール*
1969年東京生まれ、群馬県桐生市に育つ。96年東京芸術大学大学院美術研究科絵画専攻(油画)修士課程修了。2001年第4回岡本太郎記念現代芸術大賞優秀賞。2013年自著『ヘンな日本美術史』(祥伝社)で第12回小林秀雄賞受賞。
時空が混在し、古今東西様々な事象や風俗が、卓越した画力によって描き込まれた都市鳥瞰図・合戦図などが代表作。観客を飽きさせないユーモアとシニカルさを織り交ぜた作風も特徴のひとつ。絵画のみならず立体、漫画、また「山愚痴屋澱エンナーレ」と名付けた一人国際展のインスタレーションなど表現方法は多岐にわたる。
五木寛之氏による新聞小説「親鸞」「親鸞 激動篇」「親鸞 完結篇」の挿画を通算3年間担当する。また2012年には平等院養林庵書院に襖絵を奉納。
主な展覧会に、07年二人展「アートで候。会田誠 山口晃展」(上野の森美術館)、11年「Bye Bye Kitty!!!」展(ジャパンソサエティ、NY)、12年個展「望郷TOKIORE(I)MIX」(銀座メゾンエルメス フォーラム、東京)、13年個展「山口晃展 画業ほぼ総覧—お絵描きから現在まで」(群馬県立館林美術館)
近著に『山口晃大画面作品集』(青幻舎)、『すゞしろ日記 弐』(羽鳥書店)、『日本建築集中講義』(藤森照信・山口晃 共著、淡交社)
*水戸芸術館サイトより。
https://arttowermito.or.jp/gallery/gallery02.html?id=414 

 

 

 

<水戸芸術館について>
水戸芸術館は、水戸市の中心地に位置する高さ100mの塔をシンボルとした、コンサートホール、劇場、現代美術ギャラリーの3つの専用空間で構成された複合文化施設です。
アクセスなどの詳細はこちらをご覧ください。 
http://arttowermito.or.jp/about/about01.html 

<エントランスホールにあるパイプオルガン>

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<水戸芸術館のシンボル 水戸市制100周年を記念した高さ100mの塔>

 

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塔のてっぺんまで登ってみました!

 

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中はSFに出てくる宇宙船のよう

水戸の夕暮れがとてもきれいでした。

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また、現代美術ギャラリーには「CRITERIUM クリテリオム」という若手作家と学芸員が共同開催する展覧会シリーズも開催中でした。

現在、自作の短編小説を元に制作したインスタレーション作品を発表する「大久保あり- 美術館の幽霊」展を開催中。(~5/17(日)まで)

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Writer

ソウダ ミオ

ソウダ ミオ - Mio Soda -

神奈川県出身。コーディネータ。ゴールドスミスカレッジ歴史文化学部美術史学科卒、エセックス大学大学院、美術史理論学部ギャラリー学修士号保持、10 代より暗黒舞踏団に所属し、演劇活動や映画評論活動などを行う。

高校卒業後渡英。大学、大学院にて主に現代美術史と美術館学を学ぶかたわら、欧州 10 カ国以上にて食とアートを探求する。帰国後PRを中心とした様々な仕事に従事しながら、翻訳や展覧会やイベント企画、実施をしながら広義なアートに携わってきた。主な探求テーマは、美術における女性の身体表現や死生観の変遷について。ここ数年は、パートナーであるフードコーディネータのソウダルアと共に食と美術を融合したグローバルな生活の形を模索中。






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