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『coppers早川 (カッパーズ ハヤカワ) 展 ~ STRANGE ~』@ 新宿高島屋10階 美術画廊

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2015年8月19日


『coppers早川 (カッパーズ ハヤカワ) 展 ~ STRANGE ~』@ 新宿高島屋10階 美


8月12日(水)から新宿高島屋10階にある美術画廊にて開催されている
『coppers早川 (カッパーズ ハヤカワ) 展 ~ STRANGE ~』

会場に足を踏み入れると…私を迎えてくれたのはライトに照らされ、優しい光を放つ銅造形の作品たち!

大小様々な作品をよく見てみると…その精巧なつくりに驚きます。

無機質なビジュアルとは裏腹に、不思議とあたたかみが感じられ、今にも動き出してしまいそうです…。

 

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coppers早川(カッパーズ ハヤカワ)とは、篤史さんと、父・克己さんによる銅造形作家ユニットです。

2001年に2人は独学で同時に制作を始め、作品によっては合作のものもありますが、
基本的にはそれぞれが1つの作品を最初から最後まで作り上げ、
互いに刺激を受け合いながら作品づくりに励んでいます。

今回、会場に在廊しているcoppers早川 (カッパーズ ハヤカワ)早川篤史さんに直接お話を伺うことができました。

 

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早川篤史さん

 

gA編集部:制作をはじめたキッカケを教えてください。

篤史さん:もともと父 (克己さん) が機械設計士で、僕も少しだけ携わっていたんですけど…

               その仕事の内容に疑問を持ち、自分たちで何かをのびのび制作したほうが
      楽しんじゃないか?
               っと、思いはじめたのがキッカケですね。

gA編集部:なるほど…前職は機械設計士…。

               飛行機や車をモチーフにした作品の精巧なつくりは、
               その機械設計士だった要素が含まれているんですね!

               ですが、作品には機械シリーズだけでなく、動物シリーズも数多くありますよね?

篤史さん:そうですね。

               こういう業界にいると作家によって、機械系、動物系、モニュメント、と、
               それぞれ分かれてしまうのですが…。

               coppers早川の作品コンセプトとして『銅の世界に住まうもの』というものを
               掲げているので、僕たちが思い描く奇妙な銅の国という大きなものをテーマにおいて、
               その世界観に合致するものを主軸にして作品制作に取り組んでいます。

               子供から大人まで作品に興味も持ってらえるように敢えて限定していません。

gA編集部:見ている側からしても機械系から動物系まであるので楽しめますもんね。

 

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ふたりで取り組んでいる作品づくり…

作品コンセプトだけで合致できるものなのか?と、疑問に感じて質問を投げかけてみました。

 

gA編集部:作品制作に取り組む前に互いに設計図というか?

                デッザンなど見せ合ったりするんですか?

 篤史さん:基本的には1人がそれぞれが1つの作品を最初から最後まで作り上げるんですが…

                大きな造形物を作る時などは互いに多少擦り合わせをします。

                親子で好きなものが似ているせいか…「昔のポルシェの…あの感じだよね…?」とか

                言うと、だいたい「あー!!それそれ!!」みたいな感じで通じてしまいますし、

                そんな感覚でいつも擦り合わせています (笑)

                制作時も、それぞれ相談せずに思い思いに作っていますしね!

                ただ、それだったら出来上がった作品は

        それぞれ全然違うものになってしまうと思うんです。

gA編集部:いや、本当にそのとおり!

 篤史さん:僕たちもよく言われるんですけど…
      そもそも、最初の段階で好きなものや趣味が全然違っていたら

                一緒にやっていなかったと思いますが…

                全く年代が違うのに、車、時計、映画などの好みがお互い似ていたんですよ!

                それで、一緒にやれるかなぁ…と思い、活動をはじめました。

                しかも、作業場 (デスク) が隣同士なんです。

                例えば、片方が新しいシリーズで何かを制作してたとします…

                そしたら、もう片方がその様子を見て「面白いな。」と感じ、

                自分のテイストを加えたものを作っちゃうんです。

                それをもとの片方が見て、さらに作品を制作していくので、

                互いの感性が混じり合っていくんですよね…。

                だから、出来上がった作品を家族に見せると見分けがつかないこともあります。

                父でさえも「これどっちのやつだっけ?」って、こともありました (笑)

 

不思議と作品のバランスが取れている理由がわかりました。

知らず、知らず、シリーズ化されている作品もありそうです…。

 

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gA編集部:影響を受けたアーティストや参考にされている資料などありますか?

 篤史さん:特にないんですね (笑)

      家に資料とかも全然ないですし…むしろ最初の何年かは影響を受けないように、

      資料を買わないようにしていました。

                今は色んなものを見ても、消化して自分のものとして、表現できるんですけどね。

                それこそ、作りはじめた当時は食べれてませんでしたから、
                そういうものを見ちゃうと売れ線で制作してしまいそうな気がして…

               でも、普通にジブリの映画作品とか観ますけどね (笑)

     心酔するほど観ているか?と、言われたら…そうでもないですし。。。

               一点だけに集中してしまうと周りが見えなくなるので、
               常に一歩引いて物事を見るように心がけています。

 

制作の真髄に触れたような気がしました…。

『攻殻機動隊』を手がけている押井守監督が作品に惚れ込む理由がわかります。

 

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続いて、作品について聞いてみることにした…

 

gA編集部:作品の制作期間について教えて下さい。

 篤史さん:本当にまちまちなんですが、中ぐらいのもので2、3週間~ですね。

                父との合作ものですと…だいたい1つ、2、3ヶ月ぐらいという感じですかね…。

gA編集部:もっと制作期間が長いと思っていました!

 篤史さん: 鍛金系の作家さんからすると…うちはだいぶ早いみたいですね。

gA編集部:制作の前にきちんとデッサンなどされるんですか?

 篤史さん:さらさらっとスケッチに描いて、その通りになる場合もあるんですが、

                音楽の即興と類似していて…使う面を叩いていたんですが、裏返すとそちらの方が良くて、

                そっちを使っちゃったみたいなこととかもあるんです (笑)

                もちろん魚とか、シリーズ物とか、モチーフがあればその通りに作るんですが、
                あんまり決め切ってないですね

                そうじゃないと作業になっちゃうんですよね!

                それは、もはや作業ではあって、創作ではないので…楽しくないんですよ。

                だから、グッズ作りが結構大変なんですが、できる限りつづけていこうと思います。        

 

gA編集部:どうして大変なのにグッズを作り続けているんですか?

 篤史さん:美術画廊やギャラリーに興味があって足を運んでくださっても…
                買えるものっていったらポストカードぐらいだと思うんですが、

               作品の現物を知っている人からすると、その良さって100%伝わらないですよね。

               油絵だったら…油絵の具の層や影など…
                やっぱり、安価のものって安価の価値しかないんです。

               ただ、このグッズは僕らが1つずつ制作しているので”作品”になります。

                量産品のものではなくて、ちゃんとしたものを持って欲しいんです。

gA編集部:なるほど…作品制作時に気をつけていることってありますか?

 篤史さん:手が届かないところまで兎に角磨くことですね!

                写真と見比べて「写真のほうが綺麗。」って、言われるのが嫌なんです。

                見えてないところや作品の裏側まで磨いてます。
                後々、それが表に色として出てきてしまうんですよね。

                それから銅は切ったら”刃”みたいに鋭くなるので、
                手に取ってくれた人に怪我させてはいけないので、

                どんな細かいところであっても丸くなるように磨きます。

                それと、前職が設計師ということもあって作品の強度についても考えますね。
                …それも含めて仕上がりです!

                人間の感覚って繊細で…見えてないところまで、見えていたりするんです。

                質感っていうんですかね?…それが見ている側に伝わるんです。

               作品を購入してくれた人は、画廊やギャラリーで見るより、
               めっちゃ近くで見てますからね (笑)

               ずっと維持してもらうことを念頭においているので完成度上げることです!

               普通、銅とか真鍮だと錆びてしまいますよね?

gA編集部:そう!それが聞きたくて!普通、酸化してしまうじゃないですか?!
      いったいどんな工程を踏んでいるんですか?

 篤史さん:染めてるんです。

     要は表面に硫化銅の皮膜がしっかりできている状態なんです。

     さらに上からコーティング剤もかけているので、
     10年前に購入した方の作品もほとんど変わらないですよ。

     100年とか経てば深みも出ると思うんですが、見比べない限りは分からないと思います。

     アンティークの家具と一緒ですね。

 

 

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日本には森羅万象に霊魂(=神)が宿るという古くからの考えがありますが…
無機物なのにあたたかみが感じられるのは丹精を込めて制作に取り組んでいらっしゃるからですね。

 

それから、取材を進めていくと…面白い言葉が飛び交った!

 

篤史さん:僕らはアーティストではないんです!あくまで、銅造形作家なんです!

     アーティストだなんて…それは他人が判断するものであって、
     自分でいうことではないので。。。

     それに…好きなものを作っているだけなので、だからタイトルも後付けなんですよね (笑)

     僕らも「こんなのかな?」と、想像しながら書いているんです…

     敢えて作品のストーリーには「~だろう」や「~ようだ」などの
     言葉を用いることによって、観ている側に考える余地というか…
     自由に想像してもらいたいんです!

     そのほうが作品を自分のものとして考えてもらえるんです。

 

展覧会は8月24日まで開催中!

会場である10階の美術画廊を中心とし、2階のウェルカムゾーンなど、50点以上の展示作品をみることができます。

とっても気さくな銅造形作家の早川さんに会ったら、作品についての感想を素直に伝えてみましょう。

きっと、このインタビューでは知りえなかったお話しをしてくださると思います。

直接、本人に触れてみることで作品について新たな一面が見えるかもしれません。

 

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【情報】

『coppers早川 (カッパーズ ハヤカワ) 展 ~ STRANGE ~』

会場:新宿高島屋10階 美術画廊
   〒151-8580 東京都渋谷区千駄ヶ谷5丁目24番2号

会期:8月12日(水)〜 24日(月)

時間:平日・日曜日:午前10時~午後8時

            金・土曜日:午前10時~午後8時30分

     ※最終日は、午後4時閉館。

            ※連日休まず営業いたします。

 

【アーティスト情報】
coppers早川 (カッパーズ ハヤカワ)
http://www.coppers-hayakawa.com

 

文・写真 / 新 麻記子