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旅とアート vol.2 ー神秘の町ドルナッハとティンゲリー美術館訪問ー 

NEWS

2015年9月17日


旅とアート vol.2 ー神秘の町ドルナッハとティンゲリー美術館訪問ー 


ART BASEL(アート・バーゼル)を満喫した後は、Basel(バーゼル)から国鉄で15分のDornach(ドルナッハ)へ。
到着が22時過ぎになり、あたりは既に真っ暗。
駅前のKloster(クロスター)という元修道院の建物に宿泊しました。

 

外観

Dornach 1

 

廊下の様子

Dornach 2

 

早起きして移動して、歩き回ったのにも関わらず、なかなか眠れません。

目を閉じるとART BASELで鑑賞した作品の映像がたくさん浮かんで、幸せな気持ちが続きました。

 

Dornach 3

 

移り変わって2日目の朝。

やはり疲れていたのか、8時過ぎまで熟睡。

朝日が気持ちよく、窓からは敷地内の畑が見えます。

 

Dornach 4

 

ゆったり10時前まで過ごして、その後はドルナッハ探索へ。

 

Dornach 5

 

駅を超えて、15分くらい緩やかな丘を登ります。
雨に濡れた初夏の緑が気持ちいいです。

 

Dornach 6

 

民家との間が散歩道になっており、子供用?と想われる手作りの玩具をたくさん見かけました。

 

Dornach 7

 

探していたRudolf Steiner(ルドルフ・シュタイナー)が制作した建築の一つを発見。牛も発見。

 

Dornach 8

 

・・・近い!
怖いので少し離れて進みます。
そして時々柵を越えているのか、道路上に糞が落ちていたり・・・ワイルド!

これもシュタイナーが描く思想あってのデザインなのです。

 

Dornach 9
Glashaus (1914) Rudolf Steiner (Baumuero am Goethenum)

 

Dornach 9-1Glashaus (1914) Rudolf Steiner (Baumuero am Goethenum)

 

Dornach 10Zweites Goetheanum

 

第二ゲーテアヌムに到着し、建物内部を見学。
西側正面が工事中のため、写真は側面のものです。

ドイツの神秘思想家Rudolf Steine(ルドルフ・シュタイナー)が1925年に設計した人智学協会本部がある建物。

当時、鉄筋コンクリート造の建物は珍しかったそうです。

 

現在は、協会本部とその活動の中核である精神科学自由大学の本部が置かれています。

その周囲の建物も関連機関に使用されているとのことです。

ゲーテアヌム自体にはクラスホール、ギャラリー、後援会スペース、図書館、書店などがあり、
教育者向けの後援会なども行われている模様です。

 

Dornach 11

Dornach 12

 

他の建物とは明らかに印象が違います。
まず、曲線が多く、その印象から自然を彷彿させます。
うまく表現できませんが、数字や理論といった外側から作っていくというよりも、
内側から湧き出てくるような感情的なデザインで、とにかく力強い印象をうけました。
そして各部屋を訪れるたびに、頭の中にたくさんの『?』が浮かんできます。

なぜ、この形なのだろう?

調べていくうちにシュタイナーは内装を重視し、内装から作り始めたというエピソードも有り、
私の好奇心を刺激します。

 

Dornach 13

Haus de Jaager (1922)
Rudolf Steiner (Entwurf)
Paul Bay (Ausfuehrung)

 

周辺にはいくつかの散歩コースが整備されており、
丘の上の第二ゲーテアヌムを中心に、シュタイナーの建築が点在しています。

 

メインのゲーテアヌムは一般公開されており、
時間帯によってメインホールの見学も出来るのですが、時間に余裕がなく、断念しました。

 

午後はゆったりトラムに乗って30分、バーゼル市内のTINGUELY MUSEUM(ティンゲリー美術館)へ向かいます。

 

Jean Tinguely(ジャン・ティンゲリー)は、
50年〜60年代にパリのアバンギャルドシーンで活躍したメンバーの一人です。
キネティックアート(動く美術作品)とラディカルな”アクション”や“ハプニング”といったパフォーマンスアートで、
進歩的な取り組みを行った世界的に有名なスイスの作家です。

 

美術館は同じくスイスを代表する建築家、マリオ・ボッタの設計です。

 

Tinguely 1

Jean Tinguely,
Schwimmwasserplastik, Fontaine, 1980

 

ティンゲリーと言うと、消費社会に対して風刺的な作品を多数残していることでも有名ですが、
それだけではありません。

 

„Spielen ist Kunst – infolgedessen spiele ich”.

(遊びは芸術だー従って私は遊ぶ(意訳))

という言葉を残した通り…
美術館の中には、大人から子供まで遊べる作品が多数展示されています。

 

こちらはメタマティック(自動デッサン機)と呼ばれるシリーズのひとつ。

 

Tinguely 2
Jean Tinguely,
Le Cyclograveur (1960)
Lennart Olson, Besucherin auf Cyclograveur, Ausstellung Roerelse I konsten, Moderna Museet, Stockholm (1961)

 

Tinguely 3

 

展示されている多くの作品は機械仕掛けで、スイッチになるボタンがついており、
押すと作品が音をたてて動き出します。

 

Tinguely 4

 

静かに一人で集中して作品を鑑賞するというよりも、
音を立てて楽しむことが似合う空間になっています。

 

Tinguely 5

Jean Tinguely,
Grosse Méta Maxi-Maxi Utopia
Méta-Harmonie
1987

 

美術館にはティンゲリーだけではなく、
彼と親交があったアーティストの作品も展示されています。

キネティック・アートだけでなく彫刻作品もあります。
ずっと見つめていると心の奥を覗かれているような…
あるいは瞑想のような気持ちになる作品は、元パートナーであったEva Aeppliがてがけたものです。
本人にどこか似た面持ちのブロンズ像たち。

 

Tinguely 6
Eva Aeppli,
Teresa, 1977/78

 

こちらは素材感が面白い作品。一瞬その不思議なリアリティに驚きます。

 

Tinguely 7
Eva Aeppli,
Die fuenf Witwen (c.a. 1969)

 

併設の特別展はロンドンを拠点とするアーティストHaroon Mirza(ハールン・ミルザ)のHrm199 Ltd.展。

 

展示のタイトル『Hrm199 Ltd.』は本人が所有するスタジオ件会社の名前だそうで、
その名の通り、作風のエッセンスを凝縮した展示になっています。

ハールン・ミルザ氏だけではなく、同じ職場の方との協力作品も並びます。

 

Mirza 1

Mirza 2Haroon Mirza,
An-Infinato, 2009

 

Mirza 3
Haroon Mirza,
An-Infinato, 2009

 

ドラム缶の中で水がぶくぶくと音を立ててわき上がっています。

わき上がる水のランダムな動きに合わせて、設置されたキーボードの鍵盤が音をたてます。

 

Mirza 4

Mirza 5

Mirza 6
Haroon Mirza,
Orion the Water Giver, 2015

Mirza 7
Haroon Mirza,
Orion the Water Giver, 2015

Mirza 8

 

少し視点を変えてみると、配線の見せ方も面白いです。

基本、色々むきだしなのですが、それによって、主題とつながりやすくなっているように感じます。

 

Mirza 9

Mirza 10
Gaia Fugazza and Haroon Mirza,
Fuji, 2014
Composition in Red and Blue, and Yellow, 2014

 

左側の「Fuji, 2014」は日本の火山、富士山からインスピレーションを得て作られたもの。

 

展示のテーマは‘mis-use’。(ハールン・ミルザ)氏は物自体が持つ本来の目的をあえて外し、
関係のない別の物と組み合わせることで、既存である思考の枠組みからの離脱を
はかった作品をたくさん作っています。

 

“慣れ親しんだ物から新しい物へ。”

 

それが新たな形で表現されているのが、こちらのティンゲリーとのサイトスペシフィックなコラボレーション作品。

機械音と低音とライティングが最高にマッチして、現代によみがえった瞬間に身体が震えました。

 

Mirza 11
Dance of Death Intervention (2015)
Interventin bei Jean Tinguelys Mengele-Totentanz, 1986
Mixed Media

 

美術館の中で、『Jean Tinguely(ジャン・ティンゲリー)』といった、
一人の作家を軸に作られた特別展という切り口が新鮮で面白かった。

 

Chess

 

外に設置してあるチェス盤で遊ぶ子供たち。

 

静かに散歩し、思考する神秘的なドルナッハの町並みと音を立てて遊んで楽しむティンゲリー美術館。
静と動の対照的な空間の中で、その場所と時間でしか見られないものについて思いを馳せた1日でした。

 

 

Goetheanum

https://www.goetheanum.org/Opening-Hours.298.0.html?&L=1.

Tinguely Museum website:

http://www.tinguely.ch/de.html

 

文・写真 / eriko

 



Writer

Eriko

Eriko - Eriko -

兵庫県出身。

子供の頃から絵や工作が好きで、学生の頃から美術館に通い始める。

好きな画家はジョルジョ ルオー、アンダーソン フリーデルなど。

作品を見た後、いつもの風景が違って見えたり、

身の回りの美しいものに、前よりも敏感になったり、と

五感を使って生きる喜びを与えてくれる美術の魅力にはまって、十数年。

休日は、展覧会と旅行三昧のアラサー外資系OLです。

現在、ドイツ在住。






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