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現代のお面アートとおもての関係性

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2015年1月26日


現代のお面アートとおもての関係性


When East Meets West

現代のお面アートとおもての関係性

 

 

 

 

 

「お面」と聞くと、皆さんはどんなものを思い浮かべるでしょうか? 
能の能面やミュージカル『オペラ座の怪人』にも出てくるマスカレード(仮面舞踏会)やお祭りの屋台にあるひょっとこ等ではないでしょうか!? 

 

 能の世界では、能面のことを「おもて」と言い、能面を付けることを「おもてをつける」といいます。古来から、「お面をつける」ことで霊や精霊や動物等の神格が宿るとされ、世界各地でお面は宗教的儀式・儀礼のために使用されてきました。

 

一方、ただ顔を隠す目的で使用される面は「仮面」と呼ばれ、主に中世ヨーロッパで行われた仮面舞踏会で使われてまいりました。

 

紀元前4000年のアフリカの壁画に仮面舞踏会が儀礼として描かれていることから、お面・仮面の役割ははるか古代から人類にとって重要な役割を果たしていたと言えるでしょう。ちなみに、役柄・登場人物の意味である「ペルソナ(Persona)」はラテン語で「仮面」を意味するそうです。

 

長い歴史の中で様々な用途で使用されていた「お面」と「仮面」ですが、
今回のコラムでは、「現代のお面アートとおもての関係性」をテーマに、アッシュ・ペー・フランスのデザイナーYoshimasa Kamibayashiさんのお面をご紹介したいと思います。

 

 

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去年、若者に粋な日本文化を伝えるニッポンコレクション主催のキモノイベント「変身」にスタッフとして参加しました。そのイベントの内装コーディネーション・アートディレクターを務めたのがYoshimasa Kamibayashiさん。イベントのために制作された和でモダンなお面は、芸者や鬼や能面をテーマにしたとてもスタイリッシュなものばかり。

 

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KamibayashiさんはH.P. France(アッシュ・ペー・フランス)のデザイナー・クリエイターとして普段は猫のブローチを製作し、販売されているとのこと。お面は猫のブローチ制作の傍ら、趣味として作られているそうです。

 

 

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〜人には見せない正義の一面〜

そんなKamibayashiさんにお面を制作し始めた理由をお聞きしました。
「現代では携帯やSNS等が発展し、沢山の人たちが自らの写真をWebにアップするようになりました。そこで、ただ写真を撮るだけでなく、お面が一つあれば、もっと写真撮影は楽しいものになるのでは、異なるスタイルで自分を表現することが出来るのでは、と考えたのです」

 

子どもの時からアメコミのスーパーマンが好きで「人には見せない正義の一面」があることに憧れていたことも理由の一つだったそう。幼心の憧れがクリエーションに繋がったんですね。

 

 

〜作品を手放すことの大切さ〜

しかし、丹精込めて作り上げるお面は、制作後自分のものとして残しておくのではなく、全て処分してしまうそう。
「作品が完成した瞬間は、それまでに作った作品の中で最高傑作だと勿論思います。しかし、そんな最高傑作であっても手放すことで次により良いものが生まれるというモチベーションが出て来ます。制作したものを手放すことには何も執着心はありません」
やはり、ここはデザイナー。一度制作したものに固執することなく、新たに湧き出るインスピレーションや想像力を大切にするのですね!

 

 

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和なお面以外にもこんな遊び心たっぷりなお面も!

 

 

 

そしてKamkibayashiさんが手がけた壁紙も、お面と同じようにとってもスタイリッシュ。
お面一つ制作するのに2〜3時間、壁紙を一枚制作するのに1日かかるそうです。一枚の紙を切って貼るだけでこんな素晴らしい装飾になるなんて、御洒落なお面と言うより「和な芸術作品」です。このような素晴らしい才能ある若手デザイナーさんやクリエイターさん達に、作品を通じて和の奥深さや素晴らしさをもっと世界に広めて頂きたいと強く感じました!

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お面と言えば、歌舞伎の化粧もお面の一つ。血管や筋をオーバーに表現するために描かれたとされる歌舞伎メイクは、色によって表情の意味が異なるそうです。
このイベントではプロのメイク師(顔師)さんが、参加者向けに歌舞伎化粧体験を行っていました。
赤色は『正義』や『勇気』を表し、血管や筋肉が浮き出た表情を、青(藍)色は『悪』や『死』を、茶(代赫)色は鬼や妖怪等、人間以外の不気味な役を意味するんだとか。

 

 

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 お面をかぶるという行為は、現代では「誰か自分とは異なる別人になる」という実現不可能な願望やただ顔を隠す目的のように思えます。しかし、実際にかぶってみることで「ただ自分と全く違う人物になる」だけでなく、一人の人間の中にある様々な面や深層心理を引き出すため、言わば「新たな自分自身を発見してみる手段」でもないかと感じるようになりました。

 演劇や歌舞伎や能の世界で、役者は演技という「見えないマスク」をかぶり、登場人物をの心情を表現します。役者が人間の中にある深い感情(喜び・怒り・悲しみ・哀しみ・嫉妬)を表現し、観客は映し出される見えないお面を観ることで登場人物を深く洞察し、理解することが出来ます。

 

 

 皆さんも歌舞伎や能や観劇を通して、誰もが心の中に持つ「人間の真実性」を発見してみては如何でしょうか!? 人間を知ることって素敵だなって思えるでしょう!

 

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楽器もある意味、仮面の一つかもしれませんね!

 

 

 

ハーミア:「右目と左目、それぞれは、本当は違うものを見ている。すべてに裏と表があり、すべては表裏一体、物事の二面性のために、目はふたつある。」

(シェイクスピア戯曲『夏の夜の夢』より)

 

 

 

Yoshimasa Kamibayashi odddot1231:  http://instagram.com/odddot1231/ 

H.P. FRANCE: http://www.hpfrance.com/En/ 



Writer

Yuria Yoshida

Yuria Yoshida - よしだ ゆりあ -

青山学院大学文学部卒。在学中より音楽演奏奉仕活動や、NYでの美術館巡りなどを通して、日本と西洋のつながりを模索する。卒業後、The Art Students League of New York、Denison UniversityでのArt留学や日本語・日本文化教師をしたことをきっかけに、芸術教育に興味を持つ。現在は幼児芸術教育を勉強しつつ、バイリンガル幼児園にて英語を教える。

英国大学院留学を控えており、ルイスキャロルを中心に英国児童文学や教育等を研究予定。パリにある国連ユネスコ本部のお庭でコンテンポラリーなお茶会を開くことが夢。






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