interview

ヴィスコンティの名作「ヴェニスに死す」が現代に蘇る!

NEWS

2020年3月2日

ヴィスコンティの名作「ヴェニスに死す」が現代に蘇る!


ヴィスコンティの名作「ヴェニスに死す」が現代に蘇る!

バレエ×ピアノ×映像が融合した、大人のための優雅なひと時を

 

 

国内のみに留まらず、世界を舞台に活躍しているバレエダンサー達。

井脇 幸江さん、西島 数博さん、安村 圭太さんの3人に、今月3月11日に開催されるバレエ×ピアノ×映像のコラボ作品「ヴェニスに死す」公演のテーマや見どころ、芸術や表現することについてたっぷりとお話いただきました。

 

バレエ×ピアノのコラボした作品を公演することになったきっかけは?

 

 

西島さん:

今回コラボレーションさせて頂くピアニストの吉川隆弘さんが、きっかけですね。

吉川さんはミラノ・スカラ座で演奏しているのですが、数年前から親交があり、何回か作品をご一緒させていただいています。その取り組みのなかで、コンテンポラリーダンスをピアノと合わせて表現することってこんなにも幻想的で美しいのかと感銘を受けました。

そして、有名な「ロミオとジュリエット」以外で、イタリアを題材にした美しい物語をやってみたいなという思いから、ヴィスコンティ監督の「ヴェニスに死す」をバレエとピアノで幻想的なアレンジで描きたいと思ったんです。テーマ曲の「アダージェット」という曲は、バレエの様々な振付家が取り入れているのですが、ピアノでの演奏はあまりみたことがないんですよね。そういう理由もあって、何か新しいチャレンジになればと。

 

 

今回の公演で「ヴェニスに死す」を選んだ理由

 

 

井脇さん:

私が前回「ヴェニスに死す」に出演させていただいた時、なんて美しい作品なんだろうと感じました。バレエは音楽を視覚化したものと言われていますが、この作品はどちらか一方が目立つのではなく、バレエとピアノがバランスよく表現されていて、演じていてとても心地よくなりました。また、吉川さんが奏でるピアノの質感は、私にとてもマッチしていて、その音色に惚れてしまったんですよね。そこで、1回だけだはもったいないと強く感じ、今回は私から皆さんをお誘いしました。

 

 

今回の作品の見どころ

 

 

安村さん:

今回の「ヴェニスに死す」の音楽はカウントを取るのが難しく、ここでポーズを決めるなどのルール作りが難しい曲なんですよね。理屈でやってもうまくいかない。その曲の良さや美しさを個人が感じ取って合わせながら表現するんです。

言語化できないものや、お互いが感じ合うことでしか共有できないものを共有しようと、今回のメンバーで集まり話し合ったんです。ここで決めようとか、このカウントで決めようではなく、フィーリングで。そこにはまた違った美しさや本質があるのではと感じています。子供の頃って、理屈じゃないものを感じる力が絶対にあったと思うんです。そういう何かを感じてもらえるような表現ができればと思います。

 

西島さん:

この作品で、クラシックバレエとはまた一味違った美しさを表現したいですね。僕は、教科書通りにやれば素晴らしい作品ができるとは限らないと思います。この作品では決め事はあまり作りません。空気感で、自分のニュアンスや音の捉え方、音の聞こえ方で動いて良いシーンが多くあるんです。基本はありますが、表現をどう膨らませるかはダンサー次第なので、そこに注目していただくのも面白いと思います。

 

井脇さん:

この作品はクラシックバレエのように、決められたリズムや順序に則っているわけではなく、想像力を働かせる作品です。でも、完全な自由ということではなく、想像力を働かせながらも、既存のルールではない何かにのっとってダンスや音楽が流れていく心地よさを表現しています。相手の呼吸に合わせて、私もこうしようというのを、呼吸で伝え合う中で演じています。想像力やリズムといったものを感じていただければ幸いです。

 

 

 

今回の公演に向けての意気込み

 

 

井脇さん:

バレエというと、観に行くものというイメージが強いかと思いますが、「ヴェニスに死す」では、視覚はもちろん、ピアノの美しい音色で、聴覚にもうったえるものになっています。そして、同プログラムの「瀕死の白鳥」は私がソロで演じ、チェロのクリストファー・聡・ギブソンさん、ハープの池城菜香さんと共にバレエと音楽が作り上げる芸術を、時間を忘れてお楽しみいただけたらと思います。また、劇場ホワイエにて、スパークリングワインなどのご用意もありますし、大人がリラックスして楽しめる舞台になっています。バレエファンの方々や、音楽が好きな方はもちろん、普段あまり芸術鑑賞をされない方も楽しめるような公演にしたいです。

 

西島さん:

僕が全部決めるというよりも、ダンサー本人のための作品を作ることをいつも意識しています。なので、ダンサーの空気や呼吸、リズムを肌で感じながら、最高のものを引き出していきたいです。演劇的な何かではなく、芸術としてのバレエと美しいピアノの音色をうまく融合させ、幻想的なものが表現できればと思います。

 

安村さん:

前回は別の方が演じた作品なので、前回の感性はもちろん大切にしつつ、自分なりの解釈や感じたものもうまく融合させたいです。そして、この3人だからこうなったよというところが出てくるようにリハーサルを深めたい。作品を理解しようとせず、その作品を受け取ろうという気持ちで気負わずに観ていただければ嬉しいです。

 

 

 

 

<プロフィール>

●井脇 幸江(いわき ゆきえ)

東京出身。東京バレエ学校に学び、東京バレエ団でプリンシパルに上り詰める。「くるみ割り人形」や「白鳥の湖」などの作品で主演を演じた。モーリス・ベジャール、イリ・キリアン、などといった当代きっての振付家たちの作品を数多く踊り、類稀なる表現力と美貌を持ち合わせ、世界を舞台に高い評価を受けている。2007年に井脇幸江バレエスタジオを開設し、2012年にはIwaki Ballet Company(IBC)を設立。「ジゼル」や「ドン・キホーテ」「眠れる森の美女」などを上演し、古典の型を尊重しつつも独自の感性を元に芸術としてのバレエの魅力を発信している。

 

●西島 数博(にしじま かずひろ)

宮崎県出身。3歳より伊達バレエスクールでバレエを始める。フランスカルポー賞国際バレエコンクール第1位受賞し、国際的に活躍。帰国後、スターダンサーズバレエ団にて、ピーターライト、ロビンス、フォーサイズ等、世界を代表する振付家の作品に出演。ドラマ「池袋ウエストゲートパーク」出演後に芸能界でも活動する。主演映画「るにん」にて、アメリカの映画祭でグランプリを受賞。ブロードウェイミュージカル「回転木馬」、ルジトフ&レニングラード国立バレエ日本ツアー特別主演。現在は、JDIジャパンダンスイノベーション代表として活動中。また、芸術監督・振付家としても多様な作品を発表する。

 

●安村 圭太(やすむら けいた)

茨城県出身。渡辺洋子バレエ教室でバレエを始める。状況と共に今村バレエスタジオに所属。今村昌子、穴吹淳等にクラシックバレエを師事する他、白石詩子にコンテンポラリーダンス、小林春恵にキャラクターダンスを学ぶ。2010年、フランス、イギリスに渡り、パリ市の芸術祭「Les Nuits Blanches」に出演し、Pierre Lecotte 、Gil Isoartに師事。2012年、谷桃子バレエ団に入団。2013年Matthew Bourne’s“DORIAN GRAY”に出演。2017年にソリストに昇格し、2019年にロシア、マリインスキー沿海州劇場にて研修を受ける。様々な役を演じる。

 

 

 

 

<公演情報>

会場名: 渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール

住 所: 〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町23-21

日 時: 2020年3月11日(水) (昼の部)15時〜、(夜の部)19時〜

主催 : Iwaki Ballet Company

チケット: S席7,000円(税込み)、A席:5,000円(税込み)

プログラム:「Feeling Good」「瀕死の白鳥」「ヴェニスに死す」

リンク: https://ibc.yukie.net/schedule.html#more

 

 

 

 

取材・撮影・文=佐藤靖晟