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楊 博(ヤン・ボー)個展「(Remember Mama Said) You Can’t Hurry Love」

NEWS

2022年2月16日

楊 博(ヤン・ボー)個展「(Remember Mama Said) You Can’t Hurry


【おすすめアート】Yutaka Kikutake Galleryで3月12日(土)まで、楊博(ヤン・ボー)によるギャラリーでの2回目の個展「(Remember Mama Said) You Can’t Hurry Love」が開催中

 

〜ARTalk おすすめポイント〜

◆これまで音楽をはじめとするポップカルチャーとその受容に関わる距離感をテーマに作品を制作してきた楊博。本展のタイトル「(Remember Mama Said) You Can’t Hurry Love」は、1960年代を全盛期にアメリカで活動をしたソウルミュージックのグループであるザ・スプリームスの楽曲からとられている。

◆デヴィッド・ボウイなどのポップスターへの憧れやコンプレックスが彼の作品の原動力。“コンプレックスを舞台に上げたらそれはロックになる”という大槻ケンヂの言葉を胸に、作品制作を続けている。全面的に文字を配した作品が多い理由としては、中国から日本にやってきた際に言葉の壁を感じ、言葉は信用ならないものと感じたことがきっかけ。

◆本展で発表される作品たちを制作する過程で、楊の頭のなかでは「魅力そのもの」というキーワードがめぐっていたと言う。人はなぜ、どのような仕組みで、何かに惹かれるのか? そして、その心理的な作用の先で、どのような心の動きや行動が生まれてくるのか? 心の機微は文字通り十人十色ですが、なにかどうしても惹かれてしまうものが個々人には存在しており、それが日常生活のなかでリアリティを持って迫ってきながら、確かに影響を受けているということは私たちも実感できるはず。

◆本展で発表される作品たちは、”Fascinate (魅了する)” と繰り返し描かれた作品にはじまり、楊がこれまでも度々描いてきた音楽や映画と自身の生活風景を織り交ぜたシーンに加え、ファッションアイテムも新たにモチーフとして登場。

 

“No title (fascinate)”, 2022, Oil on canvas, 117 x 91 cm

 

“親愛なるJ.O

こんばんは。
相変わらずの世相ですが、最近はいかがお過ごしでしょうか?
ナイーブな日々が与えるこの浮遊感を、僕はとうとう心地よいくらいに感じてしまいそうで、正直時々、ほんの少し痙攣しています。感覚が硬直して行きそうな時、その兆しを見分けられそうなくらいにはなりましたが、その最中でも結局は、何かの物事に魅力を感じてしまうことには、呆れるくらいにとても抗うことができません。僕はそれを求めるし、嫉妬するし、足りなくなれば探すし、見つからなければその空虚自体を消費しようとするでしょう。それは硬直への抗いでもありえるのですが、一方ではつながれてしまっているような気がして、恐ろしく感じてしまうこともどうしてもあるのです。
今ちょうどあなたの昔の曲が、いつだか友人にもらったBluetoothスピーカーから流れています。こちらは夜中の2時半をちょうど回ったところで、僕は制作部屋ではなくリビングのソファーからこれを書いています……”

(展示テキストより)                            楊博 2022.1.22

 

 

【作家プロフィール】

楊 博|Yang Bo

1991年中国湖北省生まれ、2001年に宮城県に移住。2019年東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻油画終了。現在、東京都を拠点に活動。近年の個展に「Heart of glass」(2018年,CAPSULE Gallery,東京)、グループ展に「working / editing 制作と編集」(2020年,アキバタマビ,東京)、「固定される影」(2019年,Yutaka Kikutake Gallery,東京)、「The Course of true love never did run smooth」(EUKARYOTE,東京)などがある。

 

 

【展覧会概要】

(Remember Mama Said) You Can’t Hurry Love

会期 | 2022年2月12日(土) − 3日12日(土)

開場時間 | 12時−19時

閉場 | 日曜・月曜・祝日

入場料 | 無料

会場 | Yutaka Kikutake Gallery

住所 | 東京都港区六本木6-6-9 2F

アクセス | 地下鉄六本木駅3出口徒歩3分