【おすすめアート】
多様なモノクローム作品に囲まれ”自己消滅”を体感できる展覧会
「神秘と象徴の中間:草間彌生のモノクローム」
《フラワー・オブセッション》2017/2020年 入口風景
〜ARTalk おすすめポイント〜
◆~ 2021年12月26日(日)までの期間、日本を代表するアーティストである草間彌生のカラフルでポップな作品イメージとは異なる、モノクローム作品に着目した初の個展が開催中。
◆入り口でお花のシールを選び、鑑賞者の手で好きな場所に貼り付けることで、部屋が花に埋め尽くされるというかつて草間氏自信が見た幻覚を追体験することができる《フラワー・オブセッション》を始め、没入感のある作品もあり見ごたえがあります。
◆草間氏が前衛芸術家としての地位を確立した代表作である《無限の網⑴》から始まり、最新の絵画シリーズ「わが永遠の魂」での稀有な色彩感覚で組み合わされたモノクローム作品群まで、視覚効果により自他の境目がなくなるような「自己消滅」の感覚を味わえる作品が多く展示されています。
大変な世の中だからこそ、日常の空間と鑑賞者自身が幻覚に覆われていくような不思議な感覚を味わい、言葉に表せない感動を体感してください。
《フラワー・オブセッション》2017/2020年
《去ってゆく冬》2005年
2階ギャラリー展示風景《幻影の愛》1988年/《幻影の彼方(パーティー)》1997年/《希死》1975-1976年 他
3階ギャラリー展示風景《雲》2019年/「わが永遠の魂」2009年~
文:山口 智子
写真:新井 まる
【展覧会概要】
期間:2021年4月29日(木)~ 2021年12月26日(日)
※
※入場は日時指定の事前予約・定員制(各回90分)です。チケットは美術館ウェブサイトのみで販売しており、美術館窓口では販売していません。URL: https://www.e-tix.jp/yayoikusamamuseum/
時間:11:00〜17:30
会場:草間彌生美術館
住所:〒162-0851 東京都新宿区弁天町107
休館日:月・火・水曜日(祝日を除く)
観覧料:一般 1,100円(税込) 小中高生 600円(税込)
ホームページ :https://yayoikusamamuseum.jp
【アーティストプロフィール】
草間彌生(Yayoi Kusama)
前衛芸術家、小説家。1929年長野県松本市生まれ。幼少期から幻視・幻聴を体験し、網目模様や水玉をモチーフにした絵画を制作し始める。
1957年に渡米、ネット・ペインティング、ソフト・スカルプチュア、鏡や電飾を使ったインスタレーションやハプニングなど多様な展開を見せ、前衛芸術家としての地位を確立。様々なオブセッションを乗り越え、単一モチーフの強迫的な反復と増殖による自己消滅という芸術哲学を見出す。
以降、世界各地の美術館で展覧会を開催、近年ではテート・モダンやポンピドゥー・センターでの大規模回顧展が多大な反響を呼び、2013年からの中南米巡回ツアーとアジア巡回ツアーでの動員により、動員数200万人以上を記録。これによりイギリスの美術専門誌「THE ART NEWSPAPER 」から「2014年最も人気のあるアーティスト」と評される。2016年に文化勲章を受章。2017年より、ワシントンDCのハーシュホーン博物館と彫刻の庭を皮切りに、北米ツアーが巡回。2021年、個展「クサマ:コズミック ネイチャー」ニューヨーク植物園、回顧展「草間彌生」グロピウス・バウ(ベルリン)を開催。
《天空にささげたわたしの心のすべてをかたる花たち》 2018年