ウィリアム・クライン来日!『写真都市展 −ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち−』
写真が生み出されてからもうすぐ2世紀が経とうとしています。
今や10代・20代のスマートフォン所有率は90%を超え、多くの人が気軽に、かつ高画質な写真を撮影することが可能となりました。
現在『写真都市展 −ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち−』が六本木の21_21 DESIGN SIGHTで開催中です。
時にピントが合っていなかったり、手ブレを積極的に取り入れたり、”写真”に対する意識を大きく変えたウィリアム・クラインの作品を起点に、従来の既存の写真の枠組みを超えた活動を目指すアジアのアーティストたち12組の作品が集いました。
ウィリアム・クライン「Self portrait, Paris 1995(Painted 1995)」
ウィリアム・クラインを囲む展覧会関係者、参加作家たち
写真家・ウィリアム・クラインってどんな人物?
1928年にニューヨークで生まれたウィリアム・クラインは写真表現を中心にジャンルを越境する活動を続け、自由奔放な都市と人間のイメージを展開してきました。
クラインは世界都市を疾走し、挑発的で印象深い写真を多数生み出しましたが、そのイメージの強さと繊細さ、優しさと野生を混ぜ合わせた独特のスタイルは、20世紀のカオスを象徴するだけでなく、私たちの生きるこの時代も巻き込んでいます。
彼を一躍有名にしたのは、1956年に刊行された『ニューヨーク』です。 本写真集でクラインは個人的な視点を前面に出し、ブレ、ボケなど写真のタブーを破りニューヨーク・シーンを切り取りました。
クラインは、同じ手法でローマ(1956年)、モスクワ(1961年)、東京(1964年) の写真集も相次いで発表します。
クラインの作品は写真業界のみならず、広告、ファッション業界まで大きな影響を及ぼしました。
普遍性を再認識!ウィリアム・クライン+TAKCOM
ウィリアム・クライン+TAKCOM
上記の作品は、ウィリアム・クラインの作品をベースに映像作家・TAKCOMさんがマルチ・プロジェクションとしてアップデートしたもの。
360度近く空間を埋めつくす約10分間の本作品は、写真家・ウィリアム・クラインの普遍的な魅力を再認識させてくれます。
人間の精神的な治癒がテーマの多和田有希さん
Shadow Dance
多和田有希さんの作品『Shadow Dance』はコラージュにも見える技法で、細かい写真が大きなフレームの中で一つの作品として形成されています。多和田さんはこの作品を”自画像のようなもの”と話しました。
撮影した写真を切り取り、素材として自分の中にあるイメージを再構築していく作業を行っています。
自身の作品を説明する多和田有希さん
真のスーパーリアル 藤原聡志さんの『Scanning #1』
屋外にかかった巨大なインスタレーション作品は、藤原聡志さんの『Scanning #1』です。藤原さんは普段、路上の人を本人に気づかれないように撮影します。顔をクローズアップした写真は、顔以外の様々な要素を排除することで、匿名性が強調されます。本作品も、眼鏡とデニムにフォーカスしていますね。
藤原聡志「Scanning #1」
その他にも、写真技術と都市の発展・変容が見られる魅力的な作品がたっぷり。ウィリアム・クラインを始めとした個性溢れるアーティスト達の視点を、写真という媒介を通じて感じてみませんか?
文:山口 智子
写真:新井 まる
【展覧会概要】
「写真都市展 −ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち−」
会期:2018年2月23日(金)- 6月10日(日)
会場:21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2
休館日:火曜日(5月1日は開館)
開館時間:10:00 – 19:00(入場は18:30まで)
入場料:一般1,100円、大学生800円、高校生 500円、中学生以下無料
各種割引については ご利用案内をご覧ください。
展覧会ディレクター
伊藤俊治
会場構成
中原崇志
グラフィックデザイン
刈谷悠三+角田奈央(neucitora)
参加作家
ウィリアム・クライン、石川直樹+森永泰弘、勝又公仁彦、沈 昭良、須藤絢乃、TAKCOM、多和田有希、西野壮平、朴 ミナ、藤原聡志、水島貴大、安田佐智種