学芸員さん、教えて!
あの北斎もかなわない!美人画のヒミツとは?
ほの暗い灯篭の明かりに照らし出された美女が描かれた、何とも妖艶で繊細な作品。
こちらはあの有名な北斎に「名手なり」と評され、北斎自身も認めるほどの腕前を持つ画家の作品です。
さて、一体誰?そして絵の魅力のポイントを、メナード美術館の学芸員さんに教えていただきました!
ここがポイント!葛飾応為作【夜桜美人図】
①作者は、あの北斎の娘、葛飾応為
「名手ナリ」と評価され、北斎自身も認めるほどの腕前を持つ画家
②ほの暗い闇の中で、灯篭に照らし出された女性や着物、樹木などを浮かび上がらせる「光」と「影」の絶妙な描写が魅力
<作品情報>
葛飾応為《夜桜美人図》メナード美術館蔵 制作年:江戸時代後期 形 質:絹本彩色 サイズ: タテ88.8cm×ヨコ34.5cm
夜、灯篭(とうろう)に照らされ短冊に和歌をしたためる若い娘。二つの灯篭の光が彼女の白い面差しや艶(なまめ)かしい着物の朱を浮かびあがらせています。
葛飾応為は北斎の娘で、嫁いだ後、離縁し、父のもとで作画を続けたといわれています。晩年の消息など不明ですが、絵の腕前は一流で、北斎が「自分が描く美人画は阿栄(おえい)(応為のこと)には及ばない」と語ったとも伝えられています。
画中の女性は何を書いているのでしょう。筆をもつ白く細い指は、繊細ながらも緊張感がみなぎり、芯の通った女性の心の機微を表すかのようで、妖艶な雰囲気が見事に再現されています。
当時の江戸では、西洋画の技法が取り入れられる一方で、影絵や幻灯機が流行し、光学的な好奇心が芽生えていました。こうした「光」と「影」への執着は、シルエットと化した樹々の表現や、一つ一つの星の光を描き分ける描写にも現れています。
いかがでしたか?
こちらの「夜桜美人図」はメナード美術館にて2017年1月29日まで公開中。
名画に会いにお出かけしてみるのもいいかもしれません。今月末までなのでお見逃しなく!
解説:メナード美術館学芸員
見出し文:新井まる
<美術館情報>
「メナード美術館コレクション名作展-とっておきの名画と出会う-」Ⅲ期
会期:2017年1月2日(月)-29日(日)
休館日:月曜日(但し1/2・9は開館)、12/24(土)-1/1(日)、1/10(火)
開館時間:10:00-17:00(最終入館は16:30まで)
観覧料:一般900円、高大生600円、小中生300円
会場:メナード美術館