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扉を開けるたびに激しい個性があなたを刺激!19thDOMANI・明日展

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2017年1月3日

扉を開けるたびに激しい個性があなたを刺激!19thDOMANI・明日展


DOMANI・明日展 19th

扉を開けるたびに激しい個性があなたを刺激!19thDOMANI・明日展 

今年もこの時期が来ました。

明日を担う若手のホープたちの発表の場、「DOMAI・明日展」。

アートが好きな人も、アーティストも必見。国立新美術館の天井高8メートルという広い空間を1人1部屋贅沢に使って自分の研修の成果を発表する場です。それはもう13人の参加アーティストも気合十分、激しい個性をいっぱい表現しているのでカーテンを開ける時はドキドキわくわく。この独特の高揚を是非皆さんにも感じてほしい!

ということでさっそくレポートします。

 

 

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そもそも「DOMANI・明日展」とは、将来の日本の芸術界を支える人材の育成のため、文化庁主催で1967年度から実施している「新進芸術家海外研修制度(旧・芸術家在外研修)」で海外に派遣されたアーティストの研修成果発表の機会として 1998 年開始している展覧会。

一言でいうと「世界のアート最前線で勉強してきた人たちの大発表会」!

ヨーロッパ、アメリカ、アジア・・・それぞれの国に目的を持って旅立った日本人アーティストが個性を大爆発させているのです。

その中でも個人的に特に気になった5名のアーティスト作品を写真で紹介します。

 

 

img_2447秋吉風人『naked relations』(2016)各55×42cm

例えばベルリンにて活動している秋吉風人さんの空間。

真っ白い壁に、秩序正しく一列に並んだ作品。キャンバスではなく透明のアクリル板に油絵具。

”本当に必要なマテリアルだけで製作した”というこの究極シンプルな作品たち。

光りで透けて、ゴムべらの跡が残りつつ色が重なりなんとも美しい作品に仕上がっていました。

その秘密は2つ。1つは透明度の高い油絵具を使っていること。そしてもう1つは展示方法の工夫。

 

 

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秋吉風人『naked relations』(2016)55×42cm

下辺に2本の棒を用いることで光りをとり入れているのです。一体感のある展示なので1つずつは小さくてもその空間自体に包まれる感覚はさすがです。

 

 

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南 隆雄『Medi』(2016)

こちらはパリで活動中の南隆雄さん。

部屋に入るとまず目に入るのは景色を独特な色遣い、スクリーンの組み合わせでアートにした迫力ある映像作品。

そしてその裏側にはこんな電球たちがずらっと・・・

 

 

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南 隆雄『Light Symbol』(2016)

こちらは電球に直接文字が彫られていて、虫眼鏡のようなレンズを通して壁に文字をうつし出しいています。(私の立ち位置から見る感じです。)

スクリーンの裏を使うって斬新!と思っていたらこんなこぼれ話が・・・。

「日本の展覧会って打ち合わせのメールの量がほかの国の10倍くらいで、すごく丁寧にやり取りしていただくんですが、図面と写真で見ていた時とはやっぱり違うところもあって。最初は壁にうつすつもりでしたが実際にこの場所に運んだ時に壁よりもこっちの方が安定していると思ったので展示方法を変えました。」

なるほど、海外で活動しているから構想も大変だったのですね。

 

 

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曽谷 朝絵『inside』(2016)

続いて色遣いがカラフルでいかにも女子が好きそうなインスタレーションと油絵を同じ空間で展示していた曽谷朝絵さんの作品。

今回の展覧会は写真OKなのですが私が見ていた中で最も写真を撮っている人が多かったです。

世界観に入り込めるような展示、SNS好きにはたまりませんね!

 

 

保科晶子  『痕跡-黒いレース』(2016)45×42×14cm 

    『痕跡-茶色のレース』(2016)48×51×14cm

    『痕跡-生成りレース』(2016)50×42×13.5cm

    『痕跡-曇りのレース』(2016)32×49×12.5cm

    『痕跡-白いレース』(2016)45×53×12cm

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保科晶子『儀式-ワンピース』(2009)120×50×5cm

さて、こちらの作品たち。パッと見てどう思いましたか?

個人的に衝撃だった保科晶子さんの作品たち。

粘土か、焼き物か・・・と思っていたらまさかのストーリーが・・・!

そのストーリーは是非実際に読んでいただきたい(女子として共感するか、怖いと思うか・・・というのがヒントです。)のですが、手法としては”布”を用いて1つとして同じものが作れない作品になっています。

 

 

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金子富之『レッドバナスパティラージャ』(2012)227×298cm

今回の展覧会でチラシの表紙を飾る金子富之さんの作品。

極彩色とゴールドが目を引く日本画。注視してみると描画が細かく、ダイナミックさと繊細さが共存した素晴らしい作品でした。

王道の油絵は私と比べていただくとわかるこの大スケール。さらにドローイングノートは3メートルの天井高を生かした展示で存在感を強烈に放っていました。

 

 

金子富之『ドローイングノート』(1992-2016)各29.7×21cm

 

 

50年で1300人を派遣しているというこの制度。人数が多い順にいうと、アメリカが300人、次いでドイツ・イギリス・フランスが各150人ずつくらいとのこと。ちなみに欧州のトータルは886人だそうです。
ちなみにもうすぐ国立新美術館で展覧会が開催されるあの草間彌生さんはこの制度でアメリカに派遣されていたそう。

この展覧会は将来世界で活躍するであろうアーティストの集まりなのです!!

大きいパネルで各アーティストの経歴も紹介されているので、どういった経緯でこの作品が生まれたのかというのもわかりやすいので”私もいつかこの制度に応募しよう・・・!”と思う人は必見ですね。

私はただのアート好きですが、参加アーティスト13人13色と、”世界のアート事情”を感じることができ大満足でした。

アートの最前線、お見逃しなく。

 

◇開催概要◇

未来を担う芸術家たち 19th DOMANI・明日展

新進芸術家海外研修制度の成果

≪会期≫
2016年12月10日(土)~2017年2月5日(日)

≪開館時間≫
午前10時~午後6時、毎週金曜日・土曜日は午後8時まで
(入場は閉館の30分前まで)

≪休館日≫
毎週火曜日 2016年12月20日(火)~2017年1月10日(火)は年末年始休館

≪会場≫
国立新美術館 企画展示室2E

≪主催≫
文化庁、国立新美術館

≪制作≫
アート・ベンチャー・オフィス ショウ

≪協力≫
日本航空、ジャパンマテリアル株式会社、​​株式会社中川ケミカル、株式会社カネカ

≪お問合せ≫
03-5777-8600(ハローダイヤル)

≪観覧料≫
(税込)
一般 1,000円(800円)
大学生 500円(300円)
1月21日(土)は、開館10周年を記念して、入場無料。
※( )内は前売および20名以上の団体料金。
※高校生、18 歳未満の方(学生証または年齢のわかるものが必要)および障害者手帳をお持ちの方(付添の方1名含む)は無料。
※団体券は国立新美術館でのみ販売。
※前売券は、オンラインチケット(手数料無料)、ローソンチケット(Lコード:33931)、イープラスでお求めください。
(10/11(火)から12/9(金)まで販売。以降は当日券を取り扱っています。)
※国立新美術館で開催中の他の企画展および公募展のチケット、またはサントリー美術館、森美術館(あとろ割対象)で開催中の展覧会チケット(半券可)を提示された方は団体料金でご覧いただけます。

≪公式HP≫
http://domani-ten.com/



Writer

山口 智子

山口 智子 - Tomoko Yamaguchi -

皆さんは毎日、”わくわく”していますか?

幼いころから書道・生け花を始めとする伝統文化を学び、高校では美術を専攻。時間が許す限り様々な”アート”に触れてきました。

そして気づいたのは、”モノ”をつくることも大好きだけれど、それ以上に”好きなモノを伝える”ことにやりがいを感じるということ。

現在、外資系IT企業に勤めながらもアートとの接点は持ち続けたいと考えています。

仕事も趣味も“わくわくすること”全てに突き動かされて走り続けています。

instagram: https://www.instagram.com/yamatomo824/
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