コンテンポラリー・アートに触れてみよう!「ジュリアン・オピー」展
現在、12月3日(土)まで神宮前にあるMAHO KUBOTA GALLERYにて開催されている「ジュリアン・オピー」展。本展覧会の見どころを、解説を交えながら、皆さんに紹介していきます!
< Tina. 2.> 2016
ジュリアン・オピーの基礎知識
1958年ロンドン生まれ。82年ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ卒業し、わずか3年間で、ヨーロッパの主要な美術館やギャラリーの展覧会に参加し、高い評価を得ました 。コンセプチュアリズム、ポップ、ミニマリズムの様式をベースに独自のスタイルを追求しつづけ、黒線が強調された作風が特徴。ニューヨークのMOMA、ロンドンのテート・モダン、竹橋の東京国立近代美術館など、世界中の主要美術館に所蔵されています。2000年に発表されたイギリスの音楽バンドBlurのアルバム『The Best of』のジャケットを手がけるなどアートとデザインの境界を横断した活動を行っています。現在、ロンドンを拠点に活動しています。
< Faime. 1.> 2016
基本ワード解説
ジュリアン・オピーを見るにも、買うにも、最低限の現代美術の知識があるとかなり違ってきます。
この3ポイントを押さえておけばジュリアン・オピーがさらに魅力的に見えること間違いない!
■コンセプチュアリズム
1960年代は多様な実験的試みが同時多発的に展開した時代でした。その一つが、消費社会の表層的イメージを無批判にクローズアップするポップアートの能天気さに対する反動から生まれました。芸術の本質は芸術家の思想と言語、現実認識の関係にあるとという超ハードボイルドな考え方に基づきます。
■ポップ
20世紀美術は全世代の動向に対抗する世代交代の連続。1960年代に入ると、イメージを拒否して身体と情動の抽出を試みた抽象表現主義への抵抗から、商品広告や看板、漫画など、消費社会が生んだ身近なイメージに注目するアーティストたちが登場します。
■ミニマリズム
1960年代半ばから、アメリカを中心に現象した還元主義的な傾向の美術作品を表す総称。線や色彩、平面性など絵画を構成する形式的要素を重視する動向は抽象主義に始まり、絵画の構成要素をさらに禁欲的にそぎ落とす試みが展開。
『ジュリアン・オピー展』の見どころ
本展では新作のペインティングと映像作品14点が展示されています。
まるで機械的に決められた規則によって組み立てられたようにみえるモチーフを組み上げていく表現様式。
実際にはジュリアン・オピー自身による何十年にも及ぶ表現への実験的アプローチから獲得された絶対無二のものです。
その固有のスタイルにより人々はオピー氏の作品を一目で見分けることができます。
また、その過程は「複雑なものをシンプルにするという感じではなく、何もないところから表現に必要な最低限のものを少しずつ足していく」過程だとオピー氏は言います。
さらにオピー氏はギャラリースペースを壁面でしきり、迷路のような空間を創り出しています。
作品を鑑賞していると、迷路に迷い込んでしまったような感覚になり、狭い空間を行き来するうちに、ペインティングの姿と自分の動きがピタリと合ってしまう。さらに映像作品を通して外の世界を疑似体験することができます。
MAHO KUBOTA GALLERY
2016年3月にオープン。ギャラリーの位置する神宮前エリアにはインテリアやファッションのショップ、ワタリウム美術館、SEZON ART GALLERYといったカルチャー発信の場が並ぶ一方で、少し足をのばせば緑豊かな明治神宮外苑も。ショッピングや散歩の合間に気軽に立ち寄れる。
文・写真:鈴木萌夏
【情報】
ジュリアン・オピー展
特設サイト:https://www.mahokubota.com/ja/exhibitions/923/
会期:2016年10月19日(水) – 2016年12月03日(土)
会場:MAHO KUBOTA GALLERY 東京都渋谷区神宮前2-4-7
開廊: 火〜土 12:00-19:00
休廊:日曜・月曜・祝日