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東京国際映画祭特集!新たな試み『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』って、何?

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2016年10月24日

東京国際映画祭特集!新たな試み『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』って、何?


東京国際映画祭特集!

新たな試み『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』って、何?

 

10月25日(火)〜11月3(木・祝)の10日間にかけて開催されるグローバルな映画の祭典「東京国際映画祭(TIFF)」。

日本と東南アジア地域を中心に様々な文化交流事業や支援活動を行う国際交流基金アジアセンターとのコラボレーションにより映画製作を行うプロジェクト『アジア三面鏡』。
今年、第1弾となる『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』が完成しました!

日本でのアジア映画作品の上映、アジア地域での日本映画作品の上映。

東京国際映画祭を交流のプラットフォームとして、アジアでの相互理解を深めていくだけでなく、素晴らしい才能を大きく世界へと発信し、未来志向のネットワークを作っていくのが目的である。

日本からは行定勲監督を含んだアジア地域を中心に世界で活躍する3名の新鋭監督が、ひとつのテーマのもとにオムニバス映画を共同製作するプロジェクトに取り組んだ。

監督たちは、他アジアの国と何らかの形でつながりを持つ人々を登場させること、そして撮影はアジアの国のどこかで行うこと以外は独自のスタイルで作り上げる。

第1弾は、「アジアで共に生きる(Live together in Asia)」というテーマのもと、日本、カンボジア、フィリピン、マレーシアを舞台に両国間を行きかう人々の生きる姿を鮮明に映し出している。

 

 

◉ブリランテ・メンドーサ監督『SHINIUMA (Dead Horse)』

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(c)2016 The Japan Foundation, All Rights Reserved.

 

日本を不法滞在で追われ、故郷フィリピンに数十年ぶりに帰ることとなる男の心の内に接近するストーリー。苦境に見舞われながらも逞しく誇り高く生きる自国の人々を巧みに描くメンドーサ監督が、北海道帯広、マニラを舞台にナショナリティを失ったことで伴う人生の喪失について描く。主演は、フィリピンで最も尊敬される俳優のひとりで『ボーン・レガシー』(12)などハリウッド映画でも活躍するフィリピンの名優、ルー・ヴェローソ。
ナチュラル・ライティングという手法で、照明を殆ど使用せず、まるでドキュメンタリーのようにドラマが進んでいく。

 

メンドーサ監督コメント

最新の統計によれば、フィリピンでは約2,447,000人が海外に渡って就労しており、2015年はその海外就労者から1,800億ペソの送金が行われているなど、それはフィリピンの経済においても重要な財源と言えます。本作品では、家族に良い生活を送らせようと、仕方なく海外で働くことを選んだ人々が、家族との強い絆を軽視せざるを得ないフィリピン社会の現状を問いかけたかった。そして、マーシャルのように、違法だと知りながら、その行為に及び、最後には人生を無駄にしてしまうことも…。そんな悲しい現状を伝えたいと思っています。

 

◉行定勲監督『鳩 Pigeon』

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(c)2016 The Japan Foundation, All Rights Reserved. 

 

かつては日本軍が駐留し、現在多くの日本人高齢者が余生を過ごすため移住するマレーシアが舞台。日本から移住し、鳩舎のある屋敷で家族と離れて暮らす孤独な老人を中心に、息子との確執、そしてヘルパーの若いマレーシア人女性の心の交流を描き出す。また舞台となるペナン島で起きた太平洋戦争の遠い記憶が、余生を送る老人につながっている。主演は日本映画界の重鎮、津川雅彦。相手役はマレーシアの故ヤスミン・アフマド監督のミューズ、シャリファ・アマニ。老人の息子役として永瀬正敏が出演。1ショット1ショット、精密に映像と俳優の演技を丁寧に積み重ねていく。

 

行定勲監督のコメント

私の祖父は死ぬ間際に「マレーシアに行きたい」と言っていました。理由は、祖父の2人の兄が太平洋戦争中にマレー海戦で亡くなっており、兄たちが会いに行きたいという想いがあったからだと思います。そんな祖父の願いを叶えるように、マレーシアを舞台に選びました。ロケハンでペナンの日本人墓地を見たとき、美しく平和なペナンの街もかつてはに日本が3年8ヶ月、侵略していた場所だったことを強く感じました。当たり前だが、戦争とは非常に愚かなことでお互いが傷ついている。終戦から70年以上も経つ今、僕らは分かり合えなきゃいけないと思う。そして、戦争の悲しい歴史を忘れないことを胸に、マレーシアに移住した日本人の老人とマレーシアにで生きる女の を描きました。

 

◉ソト・クォーリーカー監督『Beyond The Bridge』

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(c)2016 The Japan Foundation, All Rights

 

日本とカンボジアを繋ぐ時代を超えたラブストーリー。初監督作『シアター・プノンペン』(14)に続き、2作目となる本作ではふたつの時代にカンボジアで出会った男女の恋愛模様を同国の内戦の歴史、そしてプノンペンに実在する日本友好支援の橋、《日本橋》を軸に描く。主演は映画、テレビ、舞台など国内外数々の作品で活躍する加藤雅也。相手役はカンボジアより宮本亜門演出の舞台「ライ王のテラス」への出演が記憶に新しいチュムヴァン・ソダチヴィー。テーマへの熱い思いを胸に、時に美しく、時に力強く、物語を紡いでいく。

 

ソト・クォーリーカー勲監督のコメント
「日本橋」と呼ばれて親しまれているチュルイチョンバー橋は、1970年代前半、内戦中に2度爆破され、街や人々の従来は分断されてしまいました。壊れた橋の姿を見て、幼い頃の私は再び繋がることを祈っていました。1992年になって日本政府の支援を受けてこの橋が再建されることが発表されました。翌1993年、内戦と大虐殺後、初めての民主選挙が国連の監視下で実施されると、その翌年の1994年に、国連いよる大規模なインフラプロジェクトの一環で20年ぶりに日本橋が開通しました。そしてその後、橋が繋ぐ大都市へと発展していきました。本作では、様々な事柄が繋ぐメタファーである「橋」を舞台に、異なる文化や異なる国、人と人、そして過去と現在を繋ぐドラマを描きたいと思いました。

 

3名の新鋭監督による三者三様の演出はとても興味深く、劇場に足を運んだ皆様にも楽しめることだろう。

『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』上映スケジュールはこちら

http://2016.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=191

 

【情報】

第29回東京国際映画祭 

開催期間:2016年10月25日(火)~11月3日(木・祝)

会場:六本木ヒルズ、EXシアター六本木(港区) ほか 都内の各劇場 および施設・ホールを使用