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自然の美がアートに変わる瞬間! 「ウルトラ植物博覧会 2016」西畠清順と愉快な植物たち

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2016年8月19日

自然の美がアートに変わる瞬間! 「ウルトラ植物博覧会 2016」西畠清順と愉快な植物たち


自然の美がアートに変わる瞬間!
「ウルトラ植物博覧会 2016」西畠清順と愉快な植物たち

 

東京・銀座のポーラ ミュージアム アネックスでは、昨年7月に行われ大反響だったプラントハンター・西畠清順さんによる展覧会の第二弾!
世界の希少植物をおよそ42点集めた「ウルトラ植物博覧会 2016 西畠清順と愉快な植物たち」を9月25日まで開催中です。

今回は西畠清順さんが選び抜いた植物と陶芸家・内田鋼一さんの器とのコラボレーション、そしてデザインやディレクションを行う「SIMPLICITY」代表の緒方慎一郎さんによる会場構成により、前回よりもパワーアップしています!

 

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展示はポーラ銀座ビル1階のウインドウから2階ショップ、3階ギャラリーという構成になっており、ウインドウには西畠さんによる活動のひとつ「ひとの心に植物を植える “そら植物園”」の植物が出品されています。

 

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< 学名:Adenium arabicum / 通称名:砂漠のバラ / 分布国:イエメン・サウジアラビア >

 

1階ウインドウに展示されているのは中東に見られる「通称名:砂漠のバラ」。2011年にイエメンのタイーズという小さな村付近で出会い、西畠さんは心を奪われたと言います。砂漠をイメージしたような設置方法から、私たちは植物のもつストーリーや原産地の国を想うことができます。素朴な花でありながら、美しい展示方法により私たちの空間を彩ってくれます。

 

西畠清順さんは1980年生誕。江戸時代より150年以上も続く植物の卸問屋の花宇五代目で、日本全国・世界数十カ国を旅し、年間240トン以上の海外諸国との植物の取引をしています。
今回の展覧会開催にあたって、西畠さんは「ひとつ勘違いしてはならないのが、植物はアートではない。植物は、芸を持った人と出会うことで劇的にアートに変わる。今回のウルトラ植物博覧会は、内田鋼一さんの器と緒方慎一郎さんの空間に、世界の植物が出会うことで生まれる妙を楽しんでいただければと思う。」と語りました。

 

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会場は、光と植物の影が生かされた神秘的な空間となっています。世界から集められた植物と、世界の窯業地を放浪した経験のある陶芸家・内田鋼一さんのコラボレーションを、緒方慎一郎さんが織り成す”和”の世界が、お互いに引き立て合っています。特に印象的だったのは、屏風を再現したかのような設置方法でした。ライティングされた植物の影から、それぞれの自然が持っている、形態の美しさを目にすることができます。

 

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かつて植木鉢を作る職人だったことが伺える陶芸家・内田鋼一さんの器たち。
中でも、「通称名:涼雲」に使われていた器が個性的でした。

 

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< 学名:Melocactus bahiensis / 通称名:涼雲 / 分布国:コロンビア >

 

私が気になったのは、この地球上で最も長生きする生物といわれる松の苗木です。樹齢1000年〜4000年の樹々が、アメリカ・カルフォリニア州のホワイトマウンテン高山地帯にひっそりと自生しているというエピソードがあります。

 

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< 学名:Pinus longaeva  / 通称名:イガゴヨウマツ / 分布国:アメリカ >

 

世界にはたくさんの植物があり、いろいろな姿があるということを感じさせてくれます。

 

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特に「通称名:ガジュマル」のエピソードは興味深いです。

(以下、「植物図鑑」より抜粋)

 

「 “絞め殺しの木”と呼ばれる一方で、風水上では幸せを運ぶ木として重宝される、ふたつの顔を持つガジュマル。こうみえてイチジクの仲間で、鳥などに実を食べてもらい種を運んでもらうことで分布を広げる。糞と一緒に運ばれた種は他の樹木や岩などに落ちても発芽・繁殖し、ついにはその対象物までを絞め殺してしまう、まさに生命の固まりである。」

 

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< 学名:Ficus microcarpa / 通称名:ガジュマル / 分布国:台湾・インド・日本 >

 

対象物にまるでタコのように絡みついている様から、植物の力強い生命エネルギーが宿っているようです。特徴的なのは上にいけばいくほど根が太く、下にいけばいくほど根が細くなっていること。植物自身の持つ話もおもしろいですが、どうやって原産地から日本まで運んだのだろう?と新たに疑問が湧いてきました。

 

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西畠清順さんは「おれは植物を運ぶことで、”価値観”を運び、これからもたくさんの”気付き”を届けたいと思います」と言っていました。また西畠さんはこの博覧会を機に、私たちの植物に対する価値観を変えようとする試みを行っています。

博覧会の見どころは「通称名:バオバブ」。西畠さんがセネガルを旅していた時に出会った、樹齢推定200年とされている個体です。

 

 

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< 学名:Adasonia digitata / 通称名:バオバブ / 分布国:マダガスカル・セネガル >

 

会場内の壁には私たちに向けてメッセージが書かれていました♫
ぜひ会場受付で配布されている「植物図鑑」をお手元に、西畠さんがこの展覧会のために書き下ろした思わず「クスッ」と笑ってしまう説明を読みながら鑑賞してください〜!

 

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また、2階のショップ・ヒガシヤギンザでは内田さんの器に植えられた植物を数量限定で販売しています。是非、こちらもお見逃しなく!

 

文・写真:矢内美春

 

【展覧会情報】

「ウルトラ植物博覧会 2016」西畠清順と愉快な植物たち

会期:2016年8月4日(木)~9月25日(日) 会期中無休

開館時間:11:00~20:00(※入館は閉館の30分前まで)

会場:ポーラ ミュージアム アネックス

住所:東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル 3階

問い合わせ:03-5777-8600 (ハローダイヤル)

URL:http://www.po-holdings.co.jp/m-annex

 

アクセス:

東京メトロ銀座線・丸の内線・日比谷線 銀座駅 A9番出口徒歩6分

東京メトロ有楽町線 銀座一丁目駅 7番出口すぐ

JR有楽町駅 京橋口改札徒歩5分

詳しくはこちらのページをご覧ください。

 



Writer

矢内 美春

矢内 美春 -  Miharu Yanai  -

東京工芸大学芸術学部写真学科卒業後、渡仏。レンヌ美術学校(École européenne supérieure d’art de Bretagne)のアート科に編入し、写真・絵画・陶芸を用いて作品制作をする。同校にてDNAP(フランス国家造形芸術免状)を取得後は、IESA(Institut d’Études Supérieures des Arts)でアートマネージメントを学ぶ。東京(Misa Shin Gallery)やパリ(Galerie Taménaga)の画廊、アートフェア(ASIA NOW/パリフォト)で研修を受ける。

ガールズアートークを通して、アートに触れた時に感じる、恋するような気持ちをみなさんとシェアしていきたいです。