© 2012 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
10月31日から森美術館でスタートした村上隆氏の大規模個展「村上隆の五百羅漢図展」。
今や、「世界のムラカミ」とまでいわれ、現代美術界のトップクラスにまで
上り詰めた彼の集大成が、14年ぶりに会場に集結する。
出展されている数々の作品から特に注目して欲しいのは、
日本初公開となる《五百羅漢図》という全長100mにも及ぶ絵画史上最大級の作品。
彼は約200人超もの美大生と24時間態勢で1年足らずで制作したというから驚きだ。
© 2012 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
© 2012 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
この《五百羅漢図》は、本展の特別企画協力者にもなっている
日本美術史家の辻惟雄氏との連載企画がきっかけで制作されることになったそうだ。
アートマガジン芸術新潮にある「ニッポン絵合わせ」と題された連載は、
辻氏のエッセイに応じて村上氏が新作を制作していくというものだった。
その中で、辻氏が先人達の羅漢図をいくつか提示した際に、
影響されて制作にとりかかったのがこの《五百羅漢図》である。
この作品は、東日本大震災直後に真っ先に援助をしてくれた
カタール国への感謝の意を込めて、2012年にいち早くドーハで発表されている。
© 2012Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
中国の古代思想で四神(青竜、白虎、朱雀、玄武)の4面で構成されている《五百羅漢図》。
東、西、南、北、それぞれの方角を守る神獣の名前に由来しており、
宗教、芸術、人間の死や限界をテーマとしてた壮大なストーリーが描かれている。
© 2012 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
また、この《五百羅漢図》と一緒に見たいのが、辻氏との連載の展示コーナーだ。
エロと笑いの要素が交わった2人のやりとりが面白い。
このコーナーのさらに奥に進むと、長沢芦雪と狩野一信の作品(期間中に展示替えあり)が
展示されており、村上氏の《五百羅漢図》と合わせ鑑賞することができる。
他にも、10年の歳月を費やしても未完とされている《宇宙の深層部の森に蠢く生命の図》や、
村上氏を表すキャラクター「DOB君」や「たんたん坊」等、彼の代表的モチーフを合体させた
「727」シリーズの最新作はこの20年間の「ベストアルバム」のような作品だと言われている。
©Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
金箔に覆われた圧巻の彫刻作品《宇宙の産声》。迫力満点だ。
《宇宙の深層部の森に蠢く生命の図》(C部分)
© 2015Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
順路の一番最後に展示されている《馬鹿》という作品は、彼の日本現代美術界に対する3年前のステートメント
絶対見逃さないで欲しい。
《馬鹿》
© 2012Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
そして、お土産コーナーはかなりの品揃えだ。買い過ぎには注意しよう。(笑)
©Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
©Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
今回の森美術館での大規模個展と機を同じく、関連企画がいくつか行われる予定だ。
横浜美術館では「村上隆のスーパーフラット・コレクション―蕭白、魯山人からキーファーまで―」が
2016年1月30日より開催予定、大本山増上寺では「生誕200年記念 狩野一信の五百羅漢図展」が開催されている。
森美術館ではトークショー等のイベントも行われるようなので、こちらも一緒に参加してみてはいかがだろうか。
より理解が深まること間違いナシだ。
《たんたん坊:a.k.a.ダロタン:輪廻転生》
© 2015 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
待望の村上隆氏による大規模展示。
これをきっかけに、さらなる村上旋風が巻き起こりそうな予感だ。
文・写真 / たなお
【情報】
村上隆の五百羅漢図展
会期:2015年10月31日(土)-2016年3月6日(日)
会場:森美術館(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階)
開館時間:10:00-22:00(火曜は10:00-17:00)
*11/3(火・祝)は22:00まで
*いずれも入館は閉館時間の30分前まで
*会期中無休
入場料:一般1,600円
学生(高校・大学生)1,100円
子供(4歳~中学生)600円
*表示料金に消費税込
*展望台 東京シティビュー、屋上スカイデッキへは別途料金がかかります。