Girls Artalk設立2周年記念
Girls Artalk×東京フィルハーモニー交響楽団スペシャルコラボ企画
指揮者アンドレア・バッティスティーニ×ピアニスト反田恭平★
若き天才二人によるロシアプログラム
2015年4月から2016年3月にかけて、日本を代表するオーケストラ「東京フィルハーモニー交響楽団」の
定期公演全8回スペシャル企画も、早いもので4回目。折り返し地点を迎えました。
今回の公演は、9月11日、東京初台にあるオペラシティコンサートホール。
27歳という若さでありながら、国際的に頭角を現し、センセーションを巻き起こしている新鋭の指揮者、
アンドレア・バッティスティーニ氏と天才ピアニスト反田恭平氏の共演によるロシアプログラムでした。
演目は、ベルディのオペラ「運命の力」序曲、
そして、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」、ムソグルスキー「展覧会の絵」といった、
ロシアを満喫できるプログラム。
公演前に、バッティスティーニ氏の楽しいスペシャルトークが行われ、彼の気さくな人柄に会場が引き込まれました。
トークの後は、なかなか通常では見ることができない公開リハーサル。
マエストロとオーケストラの練習模様を楽しむだけでなく、プロフェッショナルな音楽の現場を体感できる、
まさにスペシャルなイベントになりました。
【名門オーケストラの公開リハーサルでプロの現場を体感!】
公開リハ―サルでは、ピアニスト反田恭平氏の共演で、「パガニーニの主題による狂詩曲」の通しでスタート。
その後、楽曲の部分練習がされたのですが、既にリハーサルの時点から、心を揺さぶられる魂の演奏に涙が出ました。
このコンチェルトは、導入からオーケストラと共に、ピアノが和音で鋭く入り込み、
有名な「パガニーニの主題」へと進むのですが、音の粒ひとつひとつがまるで見えるかのよう!!
休憩をはさみ、次に行われたのは、ロシア5人組の一人として知られるムソルグスキーの「展覧会の絵」。
導入のプロムナードの中間部を合わせた後、第8曲「カタコンブ」の一部の集中練習になりました。
「カタコンブ」は、亡くなった親友ハルトマンらが、たいまつを頼りにパリの古代地下を見学している様子が
表現されていますが、不安定な弦の響きが何とも不気味。終わりにバッティスティーニ氏が、
くるりと観客席を振り返って、「怖い?」とおどけて見せ、会場の笑いを誘いました。
オペラシティコンサートホールの音響も素晴らしい!
オーケストラの繊細な音をしっかりとキャッチし、ホールの隅々まで響かせています。
バッティスティーニ氏の指揮は、音楽のフレーズの柔らかさや鋭さを情熱的に、時には穏やかに表現し、
東京フィルハーモニー交響楽団の完成度の高い演奏は、さすが日本を誇る名門だと頷きました。
さて、19時からコンサートは開演。
公開リハーサルでは演奏されなかったベルディの「運命の力」序曲から始まりました。
冒頭の荘厳なトロンボーンのテーマにハッとし、そこから弦楽器による急き立てられるかのようなフレーズが、
まさに運命に翻弄されるオペラの主人公をイメージさせました。
途中のハープ演奏が印象的で、それは一瞬雲が割れ、そこから光が差し込むよう。
流れるようなフレーズから、交響曲のようなドラマチックな終わりに向けて一気に駆け抜けた演奏に、
会場からは感動の拍手が沸き起こりました。
【ホロヴィッツのスタンウェイによる、天才反田恭平氏のピアノが圧巻】
2曲目は注目の反田恭平氏ピアノによる、ラフマニノフのパガニーニ狂詩曲。
荒涼としたロシアの風景が目に浮かぶようです。
ピアニッシモとフォルティッシモを自在に操る類まれなるピアノテクニックに誰もが息をのみました。
コンサートでは、反田氏自ら持ち込んだピアノを使用。
今は亡きロシアの名ピアニストホロヴィッツのスタンウェイです。
ピアニストであっても弾きこなすのは難しい名器を、反田氏は見事に操り素晴らしい音楽を紡ぎ出しました。
アンコールは、「ホロヴィッツ編のカルメン幻想曲」 。
強烈なフォルティッシモでの和音の連打にも関わらず、一音一音が確立され、
響きに濁りの出ない巧妙なぺダリング技術に驚愕。
類まれなる才能と音楽に対する気迫に圧倒され、会場からは惜しみない拍手が送られました。
【オーケストラと会場が一体になった空間、感動と感謝に満ちた時間。】
最後は、ムソグルスキー「展覧会の絵」。
1874年、親友の画家ハルトマンの急死にショックを受けたムソグルスキーが、
翌年開かれたハルトマンの遺作展を見て、追悼の思いを込めて作曲したものです。
この曲の原作はピアノ曲ですが、1922年ラヴェルによってオーケストラに編曲されました。
プロムナード(前奏曲・間奏曲の意)を間に挟みながら、全10曲で構成されています。
まるで、本当に絵画を見ているような印象的な組曲。
荘厳なオーケストラの響きは、最後に、高らかな鐘の響きによって「祈り」であることが分かります。
曲の個性と解釈を最大限にまで引き出し、会場と一体化した演奏に、誰もが感動し、
この公演に立ち会えた奇跡に、感謝したことでしょう。
公演後、反田氏のファーストアルバムCD販売とサイン会に並ぶ、長蛇の列。
今回の演奏がいかに感動的だったのかを物語っています。
指揮者アンドレア・バッティスティー二氏のインタビューはこちらをチェック。
https://girlsartalk.com/common/interview/18308.html
ピアニスト反田恭平氏のインタビューはこちら!
https://girlsartalk.com/common/interview/17670.html
文 / 佳陽 写真 / 新井まる・佳陽