津軽三味線の兄弟奏者。
日本国内に留まらず、アジアはもとより世界でも幅広く活躍している有名なアーティスト。
年末に開催された吉田兄弟の吉田健一氏(弟)が主催する『俺ふぇす!vol.5』に行ってきました!
場所は渋谷の道玄坂にあるクラブWOMB。
…和楽器という日本の格式高い伝統芸能の演奏が、クラブで演奏されるという事実に驚きを感じつつ、期待を胸に会場に足を踏み入れると…
1、2階とあるそれぞれのステージに、三味線、箏、尺八といった和楽器の中でも、私たちがよく耳にする楽器の演奏だけでなく、長唄囃子、民謡といった伝統音楽をベースにしたオリジナリティあふれるもの。さらには、奄美島唄・民舞、日本古来のマジックである手妻まで!
普段はそれぞれのジャンルで活躍している個性あふれるアーティストたちが、一堂に会して会場にいる老若男女の観客を大いに湧かせてくれました。
その中でも注目を集めていたアーティストを数組ピックアップしてご紹介しましょう!
津軽三味線:柴田三兄妹
全国大会に挑戦し、個人・団体合わせて38回の優勝。中でも津軽三味線全日本金木大会 団体の部においては前人未踏の5連覇を達成。
三味線三丁での演奏を生かした、独創的な楽曲を生み出している兄妹ユニットです。
今回、出演していたアーティストの中でも伝統的だと感じたが、その若さを武器についつい呼吸をすることさえ忘れてしまう、息の合った演奏は圧巻です!
手妻:藤山大樹
手を稲妻のような速さで動かすことから『手妻』と名付けられた、古来から日本に伝わる手品。
その数少ない後継者。
面を使った彼の創作手妻「七変化」は、まるで表情を一瞬にして変える中国の仮面劇を彷彿とさせる素晴らしいものでした。
私自身、今回の取材を通してこの芸の存在をはじめて知りました。
箏:吉永真奈
国内外で活躍し、多方面から注目を集めている生田流箏奏者。
東京藝術大学で教育研究助手に就任し、学校教育の場での和楽器の普及にも努めているそうです。
ドレス姿で颯爽と現れ、立って歌いながら演奏するだけでなく、観客に手拍子を求めるなど、従来の箏の演奏スタイルとは異なり、まるでポップスのライブのようなパフォーマンスで、会場の視線を奪いました。
新・日本流音楽団まほろば
中嶋美嘉、CHEMISTRY、坂本真綾などのメジャーアーティストへの楽曲提供や、CMソングを手がけるだけでなく、近年ではミュージカルの楽曲制作もおこなっています。
和太鼓を用いた古典的な部分と、ピアノを使用したポップス的な部分を融合させた“新しい日本”を表現していく、夫婦ふたりによる音楽家ユニット。
福井県嶺北地方のお祭りでしか見られない和太鼓の迫力ある奏法『野良打ち』を披露してくれました。
そして、最後は出演した様々なアーティストたちと、主催者である吉田健一氏が奏でるORSスペシャルバンドで幕を閉じた。
日本には数多くの音楽フェスがありますが、和楽器を中心とする音楽フェスがなかったように感じます…
「和楽器が奏でる音楽をより多くの人に知ってもらいたい!また、楽しんでもらいたい!」という、このような企画を推進している吉田健一氏の言葉。
それに賛同した熱い思い溢れる若手邦楽アーティストたちのパフォーマンスを目にするたび、和楽器の音色の向こう側に、新鮮さと、同時に忘れかけていた日本の良さを再発見することができました。
後日、こちらのサイトで掲載される津軽三味線奏者 吉田兄弟 吉田健一氏(弟)のインタビューにつづきます。
文 / 新 麻記子 写真 / 石川 奈菜