【オープン前のすみだ北斎美術館も見れる!】
情緒たっぷり下町で”浮世絵”と “近代建築” を堪能しよう
浅草・両国篇 イベントレポート!
11月12日(土)、JTB、みんなの大東京建築ツアー、girls Artalkの3社が企画したイベントツアーを開催いたしました。
11月22日(火)にオープンした『すみだ北斎美術館』の常設展を一足早く鑑賞できる好機を生かすべく31名の参加者が集い、浅草・両国の情緒ある下町を巡りながら”もっとアートを身近に!”体験していただいたプランの全容を公開いたします。
まずは、【オープン前のすみだ北斎美術館も見れる!】とのタイトル通り『すみだ北斎美術館』へ…
◉妹島和世さんが設計した『すみだ北斎美術館』
地域の人々にとって身近に感じられるよう公園や地域と一体となった『すみだ北斎美術館』。
淡い鏡面のアルミパネルを使用し、少し冷たい印象を感じてしまう外壁ですが、ゆるやかなカーブに合わせて情緒ある下町が映り込み、訪れる人の見る角度によって変化が楽しめます。
また、そのアルミパネルで覆われている設計は浮世絵という重要文化財を守るため!
保存展示を考慮して建物全体が閉じられながら、スリット部分からは館内の様子が伺うことができ、建物全体に「裏」をつくることなく、何処からでもアクセスすることができるように工夫がされています。
◉『すみだ北斎美術館』常設展
大胆な構図や印象的な色彩で富士山が見える名所を描いたシリーズ『冨嶽三十六景』で人気を得た浮世絵師・葛飾北斎。
墨田区に生まれて90年にも及ぶ長い生涯のうち、90回以上も引越しをしたといわれますが、そのほとんどを”すみだ”で過ごしながら数多くの名作を残しました。
老若男女にも操作が簡単なタッチパネルを使用し、”北斎”と”すみだ”との関わりについて、分かりやすく解説してくれています。
◉国技館・東京江戸博物館
両国といったらこのスポットを忘れていはいけません!
ロゴは東洲斎写楽が描いた「市川蝦蔵の竹村定之進」の左目をもとにデザインされたり、エスカレーターの造形はフランス・パリにあるポンピドゥセンターを参考にしてるなど、東京江戸博物館の解説をききながら次なるメインスポットを目指しました。
◉回向院、河原泰さんが設計した『回向院・当院念仏堂』
明暦大火でお亡くなりになられた無縁供養をはじめ、ありとあらゆる生命の供養をしている回向院は、時代劇で義賊として活躍するねずみ小僧をはじめ、江戸の華浮世絵を描いていた鳥居清長など、現存している様々な石仏や銅仏等を通して江戸の歴史に触れることができます。
そして、本堂の隣にある近代建築は…2016年度グッドデザイン賞を受賞した『回向院・当院念仏堂』。
館内には日本画家の石踊達哉師、現代作家の千住博画伯による作品だけでなく、スワロフスキーのガラス珠を外部に使用した数珠つなぎの柱や空中の竹林庭園。
実用的な機能と自然を活用しながらも、宗教的な思想と一体化した建築を楽しめました。
また、こちらでは『とし田』のお茶菓子をいただきながら暫しの休憩をとり、副住職・本多将敬さんのご好意により鳥居清長が供養されていることから、普段お目にかかれない器用な浮世絵絵巻を見せていただきました!
◉水上バス
そして、私たちは両国から浅草(二天門)に向けて水上バスで移動しました。
途中、吾妻橋など普段見ることのできない橋の裏側を見ることができて興奮しました。
船上から見える下町の風景に癒されながら浅草に到着すると見えてくるのは、夕焼けに染まる日本一のスカイツリーとアサヒグループ本社にある金色のオブジェ。
こちらのオブジェはフランスのデザイナーであるフィリップ・スタルク氏により、燃え盛る炎をデザインしたもので、”燃える心”を象徴しているんだとか…。
メンテナンス料などが高額なため数年後には撤去されるかもしれませんので、今のうちに”燃える心”を”心”に焼き付けといてみてはいかがでしょうか。
◉隈研吾さんが設計した浅草文化観光センター
目を惹きつけられてしまう垂直性を強調する木の羽板、平屋建ての建物を縦に積み重ねたような外観の正面部分、内部の構造材を敢えて露出させた天井など…今にも崩れ落ちそうな緊張感を感じてしまうこちらのモダンな建物。
自然素材である木材を用いた「和」のデザインを特徴とする隈研吾さんにより設計されました。
浅草寺にお参りする前に展望カフェから見下ろせる浅草界隈の風景はもちろん、仲見世、花やしき、スカイツリーも見ることができる素敵なビュースポットです。
◉浅草寺
浅草といったらこちらのスポットですよね!
安藤広重が描いた『浅草寺雷門』をよくご覧になってみてください。
現在工事している五重の塔と位置関係が違うのがお分かりでしょうか?
こちらは戦災のため一度焼失してしまい再建されているのです!
また、本堂も東京大空襲で焼け落ちましたが再建落慶しました。
現在はこのような人災の被害からの影響を受けないように、木造ではなくコンクリートで作られているそうです。
その後、境内裏にある分家にあたるお寺にも巡り、約6時間に及ぶツアーは無事に終了しました。
こちらは私有地のため残念ながら写真はお撮りできませんでした…が、その場所を訪れることは可能なので是非巡ってみてくださいね!
”もっとアートを身近に!”体験してもらうべく3社がコラボレーションして企画したイベントは、首都大学東京・特任助教であり建築家の山本至さんによる本物がわかる“近代建築”レクチャーや、日本で1番美術館を訪問しているアートテラー・とに〜さんによる面白可笑しい”浮世絵”解説を通し、31人の参加者に建築と浮世絵を回遊しながら楽しんでもらえるプランを提供することができました。
参加者の綻ぶ笑顔や弾む会話から今回のツアーを実現に導くことができてよかったと感じています。
girls Artalkの読者、一人、一人に、”もっとアートを身近に!”体験してもらえるよう、随時イベントを企画していきたいと思いますので、これからもどうぞ宜しくお願い致します。
文:新麻記子 写真:吉澤威一郎