東アジア文化都市2017まとめ
東アジア文化都市2017京都のオープニングが8月18日に行われました!
日本・中国・韓国の3か国からアーティストが参加し、3国間の交流を目指すことを目的として始まったアートの祝祭です。世知辛い世の中なのでアートを通して相互理解の可能性を広げる試みはすごく素敵だと思いました。ただ全体の印象としては、視覚的に印象深く楽しかったものの、個の作品が多かったように感じます。日中韓の交流なのであれば独自の文化のみならず、クロストークできた作品がもっとあればいいなと個人的には思いました。
私は見逃しましたが、昨年は奈良であり好評だったそうで、前年出展していたアーティストもまた参加しています。毎年文化庁が力を入れているみたいです。
まずは世界遺産・元離宮二条城!
ものすごい暑い日で、汗だくになりながら最初に向かった先は二条城。
まずどーんとそびえ立つのは埼玉トリエンナーレでも展示していたチェ・ジョンファさん。
今回かなり彼の作品が多く、目立った印象でした。
フルーツの木 2015
涅槃 2017
アルケミー 2015
蓮の花もさいたまトリエンナーレに引き続き見られました。ゆっくり動く花のバルーンには日中韓に共通する808の漢字がプリントされています。信じられないことにその写真を撮り忘れてしまいました。
そして、フォーエバー現代美術館でも作品が多数展示されている草間彌生さん。
無限の網のうちに消滅するミロのビーナス 1998
相変わらずのパワー。
全面に鏡が貼ってある屏風(びょうぶ)のような作品は韓国の作家キムスージャさん。
自分自身を針として世界各国を縫い合わせるという映像を作った彼女の新作です。
鏡は広げられた針でもあるそうで、アイデンティティの探求の一環としての延長線上の作品です。
なぜかキムスージャブレンドというコーヒーをお土産にもらったんだけどこれはなんだろう。
遭遇—鏡の女 2017
二の丸御殿台所に隣接する御清所に合わせ制作した谷澤紗和子さんの新作。
これらのオブジェには貝をはめ込んで目のような形になっています。
このオブジェ自体、可愛さと霊的な何か両方が合わさっている感じがしました。
谷澤紗和子 容 2017
谷澤紗和子 容 2017
ツァイ・グオチャンの《盆栽の舟》はすごい迫力で斬新。型破りな強いパワーが前に向かっていくのを感じました。大御所感がすごい。
ツァイ・グオチャン(蔡國強) 盆栽の舟 2017
質量や有形なものの概念を問う作品を発表するアーティストはへ・シャンユ(何翔宇) は、今回無形のものを再解釈し彫刻にしています。排泄物を不意に踏んでしまった足跡を、ブロンズで制作することにより、視聴者の身体的感覚のズレを表しています。点々と並べられた💩はボリューム満点巨大で、そこにもずれを感じずにはいられませんでした。
へ・シャンユ(何翔宇) 城 2017
残念ながらここまででプレビューの時間は終わり、5時には閉館してしまいました。
気を取り直して次は京都芸術センター
ヒョンギョンの《私たちは醜かった》は、大きさもですが、絵の具の色使いや下にずらっと並んだ骸骨、パワーがすごい。
この前の場所にルー・ヤン(陸揚)の映像が流れているのも印象的でした。二人とも自我の内を表している気がしました。
ヒョンギョン 私たちは醜かった 2017
こんな感じ。
《愚公山を移す》は、作家 徐悲鴻 (じょひこう)に影響を受けている作品なのだそうです。作品タイトルは“どんなに困難なことでも努力を続ければ、やがては成就する”ということのたとえ。
ルー・ヤン(陸揚) 愚公山を移す
アーティスト中原浩大さんが、幼少期から小学校六年生になるまでに描いた学習物や絵。京都芸術センターはもともと小学校(1869-1993)だったので、空間にマッチしていました。さらに描いたアーティストが小学生ということは、1970年代に描いた作品ということになるので、40年前にタイムスリップをしたような気分にもなりました。
中原浩大 Educational 2017
森美術館や国立新美術館、ギャラリーなどでも東南アジアの作家さんが展示をしていたり、なんだか今年はアジア色が強い一年だなぁと感じています。もしくは私が今ものすごく興味があるからそういう展示が目に入るのでしょうか。。。
余談ですが東アジア文化都市のツアーガイドの音楽がshingo 02さんで、ヌジャベスさんとのコラボレーションもあり、好きな音楽が多かったです。ただ今回は、挑戦している感じもしましたが、京都との違和感を少し感じてしまいました。https://www.youtube.com/watch?v=ToAXqvTdeSg
取材・文・写真:高根 枝里