なんと1作品のみの展覧会!
「ボッティチェリ特別展《美しきシモネッタ》」が丸紅ギャラリーで1月末まで
東京・竹橋にある丸紅ギャラリーでは、開館記念展Ⅲ「ボッティチェリ特別展《美しきシモネッタ》」が2023年1月末まで開催中だ。丸紅は約1300点の美術品コレクションを所蔵しており、そのコレクションを多くの人に見てもらうため、2021年に竣工した新社屋内に丸紅ギャラリーをオープン。本展は、その開館記念の第3弾として、ボッティチェリ作の《美しきシモネッタ》1作品のみに焦点を当てている。本作品は1808年にイタリアのボローニャで再発見されて以来、フランス、イギリス、ドイツ、そしてまたイギリスへと延べ5か国を経由し、1969年に丸紅がイギリスから輸入。現時点でシモネッタを描いたといわれるボッティチェリ作(工房作含む)の肖像画は、東京の丸紅株式会社が所蔵している作品のほかに、世界に5点ほどあるとされる。
本展では、東京の絵(《美しきシモネッタ》)とフランクフルトの絵、そしてオックスフォードの素描の3点をパネルで比較するほか、《プリマヴェーラ(春)》や《ヴィーナスの誕生》、《ヴィーナスとマルス》などのボッティチェリの傑作とシモネッタとの関わりについても紹介されている。作品の展示のみならず、《美しきシモネッタ》のモデルとなったシモネッタ・ヴェスプッチや、それを描いたボッティチェリについての関連資料も併せて展示することで、作品制作の時代背景や周辺情報、今日に至る過程などを深く理解することができる。
シモネッタは、1453年にイタリアのジェノヴァ共和国の富裕な商人の娘として生まれ、1475年にはロレンツォが弟ジュリアーノのために催した馬上槍試合で「美の女王」に選出されるなど、公的に知られる存在となった時の人。しかし、翌年の1476年に肺結核により、23歳で帰らぬ人に。《美しきシモネッタ》を描いたサンドロ・ボッティチェリ(1445〜1510)は、《プリマヴェーラ(春)》や《ヴィーナスの誕生》を描いたルネサンスを代表する画家。彼は、シモネッタが亡くなった後も彼女をモデルにした絵を描き続けていたという。《プリマヴェーラ(春)》や《ヴィーナスの誕生》、《ヴィーナスとマルス》に描かれている女性たちの顔は、マンガのようにキャラクター化され、同一の女性を描いたのではないかと感じられる。シモネッタの死後、その他の絵に登場するシモネッタはボッティチェリにより、一種のアイコンとしてパターン化されているように思われる。シモネッタは、ボッティチェリの理想の女性であり続けた。
【展示会情報】
会期|2022年12月1日(木)~2023年1月31日(火)
休館日|日曜、祝日、年末年始(12月29日~1月3日)
入館料|一般(大学生以上)500円
※高校生以下、障がい者手帳をお持ちの方とその介助者1名は無料
※着物・浴衣など、和装でのご来館の方は無料
※入館料は全額、社会福祉法人丸紅基金に寄付されます。
※支払時に現金はご利用いただけません。交通系ICカード等電子マネーまたはクレジットカードのみご利用いただけます。
トップ画像:展示風景より《美しきシモネッタ》