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日常の中にある美しいもの 「ケの美」展

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2017年11月29日

日常の中にある美しいもの 「ケの美」展


グラフィックデザイナーの佐藤卓氏をディレクターに迎えた注目の展覧会「ケの美」展がポーラ ミュージアム アネックス(東京・中央区銀座1丁目)で開催されている。本展は、ポーラ・オルビスグループのオルビス株式会社の創業30周年を記念した展覧会。会期は2017年11月17日(金)から12月24日(日)まで。

 

日本には「ハレとケ」という伝統的な考え方がある。晴れ着やハレの日と言われるように特別な行事にあたる「ハレ」に対し、「ケ」とは日々繰り返される日常のこと。同展では一見退屈にさえ思える「ケ」に宿る美に着目している。

隈研吾氏、小山薫堂氏、皆川明氏など注目を集める14人のデザイナーやクリエーターがそれぞれの「ケの美」について作品を展示する。

 

 

 

 

料理研究家の土井善晴氏。「ケの食事」である汁・飯・香は大自然の恵みそのものだという。日常の食事が支えるものとは何かを考えさせられる。

 

 

会場は、作家ごとにパネルで緩やかに区切られており「ケの美」にまつわるエピソードとアイテムが展示されている。

愛用品の写真からは作家の人柄や嗜好が感じられ、日常を覗き見るような面白さがある。普段は家の中でだけ使うようなものや、鞄にそっと忍ばせているもの。そんなお気に入りの「ケの美」に注目してみると、作家の独り言に耳をすますような新しい発見がある。

 

 

「ミナ ペルホネン」代表・デザイナーの皆川明氏の展示。普段使いの食器に朝ごはんの献立表を添えて展示している。

 

 

「くるみの木」代表・空間コーディネーターの石村由紀子氏の展示。自然と乾燥させた無花果の葉のふんわりとした香りを楽しむ習慣は、お祖母様の影響だそう。

 

 

 

 

「群言堂」代表・デザイナーの松場登美氏は、質素な暮らしの中で育まれる美しさに注目している。

 

 

参加型展示「みんなのケ」

 

「朝食」「場所」「漢字」の3つのテーマで「ケ」だと考える写真を特設サイトで一般募集している。集まった写真は参加型展示「みんなのケ」として公開される。投稿してから展覧会に行くと、さらに楽しめるだろう。

https://orbis-kenobi.com/photos/new

 

 

一般募集の写真は会場で公開されている。写真はテーマと年齢ごとに分けられており、来場者は自由に見ることができる。写真は20代の朝食。

 

 

テキスト:五十嵐絵里子
写真:丸山順一郎

 

 

■オルビス30周年記念「ケの美」展
会期:2017年11月17日(金)〜12月24日(日)*会期中無休/入場無料
開館時間:11:00〜20:00(最終入場は19:30まで)
会場:ポーラ ミュージアム アネックス
住所:東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
問合先:03-5377-8600 

 

参加クリエイター(五十音順 敬称略):石村由起子、緒方慎一郎、小川糸、隈研吾、小山薫堂、塩川いづみ、柴田文江、千宗屋、土井善晴、原田郁子、松場登美、皆川明、柳家花緑、横尾香央留

 

 

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Writer

五十嵐 絵里子

五十嵐 絵里子 - Eriko Igarashi -

大阪藝術大学芸術学部文芸学科卒業。
2015年に美術検定1級取得。都内で会社員をしながら、現在アートナビゲーターとして活動中。
山形県出身、東京都在住。