新たなアートを発見!?
第6回「デジタル・ショック」 ―欲望する機械―
トークイベント「人工知能の時代のクリエーションについて」アフターレポート
現在、開催している「デジタル・ショック」は、コンテンポラリー・アートとメディア・アートのフェスティバルです。これまで数多くの先進的な作品をキュレートしてきた本展には、述べ10, 000人以上のアートファンが来場してきました。今回、本展のトークイベント「人工知能の時代のクリエーションについて」の様子をレポートします!
取材に訪れたのは、JR飯田橋駅から徒歩7分の場所にあるアンスティチュ・フランセ東京。フランス政府公式の語学学校・文化センターであるこの場所では、バラエティーに富んだ約約150ものフランス語講座を開講しています。それに加えて様々な文化プログラムも開催しており、その一つに「デジタル・ショック」があります。
第6回となる本展は、アンスティチュ・フランセ東京を中心に、20以上のイベントが都内各所で開催されます。そのどれもが機械やロボットと人間の関係性に焦点を当て、人工知能が私たちにどのような未来をもたらすのか、観るものに想像させる内容となっています。
トークイベント「人工知能の時代のクリエーションについて」では『プレディクティブ・アートbot』展の関連イベントとして、ニコラ・メグレさんとマリア・ロスコフスカさん、久保田晃弘さん、渡辺朋也さん4名のお話を聞くことができました。ここでは、人工知能の発展とテクノロジーがアートにどのような影響を与えるのか議論されました。
■そもそも『プレディクティブ・アートbot』とは?
ロボットが生成した未来のアート・コンセプトを、100人の応募の中から選ばれた3人のアーティストが実際に作品化するプロジェクトとこと。「プレディクティブ・アートbot」は、人間にアーティスティックなアイディアのインスピレーションを与える目的で発明されました。
ポリティカル・アートやデジタル・アート、アクティビスム等の専門誌の記事の中からキーワードを取り出しコンセプトを打ち出します。そのアルゴリズムは、奇妙でノンヒューマンなイマジネーションを発展させ、見たことも聞いたこともないような、今はまだ実現不能なアート・コンセプトを生み出します。こうして人間の想像力を広げ、前衛な芸術活動の促進を図っているのです。
公式サイト:https://artbot.space
twitterアカウント:twitter.com/predartbot
トークショーでニコラさんは『プレディクティブ・アートbot』についてこう述べています。「義足や義手のように”義知識”を提供したい。人間が思いつかなかったことを考えられるように、サポートする役割でありたい」と。機械に出来なくて私たちにできることを考えてみると、物事に意味を見い出そうとすることが”人間らしさ”であるのかもしれません。つまり、プログラムが作り出すコンセプトと異なり、作家はそこに意味を見出すことができるのです。
現在の美術において、コンセプトとはとても重要なものです。しかしながら『プレディクティブ・アートbot』では今までのその考え方を打破し、「本来重要なのは、どのように作品をつくるかということだ」と言っているように思います。機械が考え出す意味のないコンセプトに対して、作家は
頭や手をどう動かすのか。そこから見えてくるアーティストの思考や動作を想像する面白さが、このプロジェクトにはあります。
文:鈴木萌夏
写真:田村渓太郎
【情報】
第6回「デジタル・ショック」 ―欲望する機械―
会期:2017年2月10日(金)~3月20日(月・祝)
会場:アンスティチュ・フランセ東京、東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)、渋谷WWW、gallery COEXIST-TOKYO、EARTH+GALLERY、座・高円寺、ほか
主催:アンスティチュ・フランセ東京
詳細:http://www.institutfrancais.jp/tokyo/events-manager/digital-choc-2017/