歴史の目撃者になる! 特別展「古代ギリシャ ー時空を超えた旅ー」
現在、東京・上野の東京国立博物館 平成館で開催中の特別展「古代ギリシャ 時代を超えた旅」。
会期終了日が9月19日(月・祝)までと日にちが迫っておりますが、取材に行ってきました♡
今回の展覧会は、ギリシャ国内40か所以上から厳選され、325件にも及ぶ古代ギリシャ作品を展示する大規模な試みです。
展示室は第1会場と第2会場に分けられており、第1章から8章で構成されています。各章合わせて、およそ7千年分!時間をかけてじっくり味わいたい展示内容です♪
本展では古代ギリシャの歴史について触れながら、それぞれの文明で生み出された作品や彫像、当時使われていた金製品などを余す所なく紹介しています。時の流れによって変化していく様に注目です。Girls Artalkでは各章から独自の目線で何点かずつみなさんに紹介していきます♡
第1章 古代ギリシャ世界のはじまり
みなさんはギリシャについてどのようなイメージをお持ちですか?第1章のはじまりは、青く美しいエーゲ海を想像させるような空間です。
第1章では、人の形を抽象的に表す変化にとんだ小像から、「スペドス型女性像」のような大理石小像を展示しています。当時は目や口が描かれていたそうですが、現在ではもう見ることはできません。しかしながら、何も描かれていない顔からは、どこか神秘的な印象を受けます。
第2章 ミノス文明
ギリシャは海に囲まれている環境なので、海の生物をモチーフにした土器などが見られました。しかし、そのようなものとは異なる牛をモチーフにしたものは、当時力や権力の象徴とされていました。
「牛頭型リュトン」は首の上と顎の部分に小さい穴があり、顎から液体が流れ出るようにつくられており、宴会用の酒杯ではなく宗教儀式用の祭具だったようです。
『牛頭型リュトン』後期ミノスIB期(前1450年頃)/イクラリオン考古学博物館蔵©The Hellenic Ministry of Culture and Sports – Archaeological Receipts Fund
ワイン造りで五千年以上の歴史を持つギリシャ。第2章では約3500年前のブドウの圧搾機が展示中です。(特設ショップではギリシャワインも販売中です!)
第3章 ミュケナイ文明
ギリシャ本土のミュケナイ(ミケーネ)を中心とするミュケナイ文明は、少しづつ力を増していきました。また、この文明は戦士の文明と言い表すことができ、権力者は戦士であることを誇りとし、死後に立派な武具や黄金の装身具で飾られて埋葬されました。
兜には猪の牙を使用していたそうです。いったい何匹分が使われていたのでしょう。「戦士の象牙浮彫り」は猪の兜をかぶり、8の字の盾を持った戦士が浮彫られています。
『戦士の象牙浮彫り』前14~前13世紀/デロス考古学博物館蔵©The Hellenic Ministry of Culture and Sports – Archaeological Receipts Fund
第4章 幾何学様式〜アルカイック時代
ミュケナイ文明崩壊後、長い暗黒時代を経て紀元前1000年紀に突入すると、ギリシャ世界は長い眠りから覚めていきます。ギリシャ各地でポリス(都市国家)が生まれ、ギリシャ文字も作られました。
紀元前7世紀末から紀元前6世紀のアルカイック時代には、等身大の大理石彫刻が制作されました。みなさん「アルカイック・スマイル」という言葉をどこかで耳にしていませんか?生命感と幸福感を演出するためのものとされ、レオナルド・ダ・ヴィンチ作の絵画「モナリザ」や寺院に祀られている弥勒菩薩像などにもみられます。
第4章では、男性裸体立像「クーロス像」と女性着衣立像「コレー像」の神秘的なアルカイック・スマイルを見ることができます。クーロス像の引き締まったお尻も見逃せません!当時の人々の理想の形を追求する様子が伝わってきます。
『クーロス像』前520年頃/アテネ国立考古学博物館蔵
第5章 クラシック時代
ギリシャの首都アテネにはパルテノン神殿が建設され、演劇や哲学が盛んになりました。例えば、演劇。古代ギリシャ演劇は、西洋演劇の源です。これらのお面は、どことなく能や般若のお面に似ています!
人々は、芸術の中でどのように生きていたのでしょう。
第6章 古代オリンピック
今年8月はリオデジャネイロでオリンピックが開催され盛り上がっていましたね。そもそも、オリンピックはギリシャの首都・アテネから始まったことをご存知でしょうか?当時の参加者たちは全員裸で競技を行っていたそうです。その当時使われていた実際の道具がこちら!
競技のあと選手は、画像内一番右の「ストレンギス」という鉄の器具を使って、身体についた垢や汚れを落としていました。また、同じく画像内一番左は墓標なのですが、こちらは競技している姿ではなく垢をおとしている姿が彫られています。当時の人々にとって、競技をしている姿よりも汗をかいている姿が美しかったのかもしれませんね(笑)
当時は競技に優勝すると勝者の銅像を作ってもらえました。ぜひ鍛え上げられた体を様々な角度から見て楽しんでください♡学芸員の方によるとこの競技者像の照明を設定するために、かなりの時間がかかったそうです!
第7章 マケドニア王国
ギリシャ北方のマケドニアは豊富に金を産出しました。本章ではまばゆい冠や宝飾品が展示されています。
またアテネのアクロポリスで発見されたたいへん貴重な、若い頃のアレクサンドロス大王の彫像も展示されています。
『アレクサンドロス頭部』前340~前330年/アクロポリス博物館蔵©The Hellenic Ministry of Culture and Sports – Archaeological Receipts Fund
第8章 ヘレニズムとローマ
アレクサンドロス大王の死後に栄えたヘレニズム時代に、ギリシャ美術は大きく広がっていきました。本章では驚くほどリアルな肖像彫刻から、繊細で官能的な女性像などを紹介しています。
『青年像』前4~前3世紀/アテネ、水中考古学監督局蔵
こちらの肖像は、1997年にカリュムノス島沖の海中で、漁師達によって発見されました。沈没船の積み荷だったのかもしれませんが、何千年もの時間を経て偶然にも見つけられたことは、ロマンチックですね!
『君主頭部』前3世紀/カリュムノス考古学博物館蔵
時代や地域により、異なった美術が花開いた古代ギリシャ。のちにギリシャの美がローマへと継承され、西洋文化に大きな影響を与えていきました。展覧会を通して、私は当時の人々にも暮らしや信仰する神があり、古代ギリシャの世界から現在に至るまで、少しづつ発展しながら受け継がれている文化や概念があると感じました。
特設ショップではギリシャに関連するグッズが販売中です!また、ギリシャ神話モチーフの大人気漫画「聖闘士星矢」30周年展の記念グッズの取り扱いも開始されています。現代まで息づくギリシャ神話を体感しましょう♪
文・写真:矢内美春
【開催概要】
特別展「古代ギリシャ ー時空を超えた旅ー」
会期:2016年6月21日(火)〜9月19日(月・祝)
会場:東京国立博物館 平成館(上野公園)
開館時間:9時30分〜17時(入館は閉館の30分前まで)
(ただし、会期中の土・日・祝休日は18:00まで)
休館日:月曜日
(ただし、9月19日(月・祝)は開館)
観覧料金:
一般1600円(1300円)、大学生1200円(900円)、高校生900円(600円)
中学生以下無料
*( )内は20名以上の団体料金
*障がい者とその介護者一名は無料です。入館の際に障がい者手帳などをご提示ください。
交通:JR上野駅公園口・鶯谷駅南口より徒歩10分
東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、千代田線根津駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分
主 催:東京国立博物館、ギリシャ共和国文化・スポーツ省、朝日新聞社、NHK、NHKプロモーション
企画協力:東映
後 援:外務省、駐日ギリシャ大使館
協 賛:あいおいニッセイ同和損保、竹中工務店、日本写真印刷、三菱商事
カタログ・音声ガイド:展覧会カタログ(2800円)は、平成館会場内、およびミュージアムショップにて販売しています。音声ガイド(日本語のみ)は520円でご利用いただけます。
お問合せ:03-5777-8600 (ハローダイヤル)
展覧会公式サイト:http://www.greece2016-17.jp/