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デザインを世界に!「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」

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2016年4月23日

デザインを世界に!「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」


2016年3月16日(水)から6月13日(月)まで、国立新美術館にてデザイナー・三宅一生氏の展覧会が開催されて

います。三宅氏が活動を開始した1970年から現在に至るまでの約45年間の仕事を紹介する、これまでにない大規模の

展覧会ということでさっそく取材に行ってきました!

 

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1973年からパリコレクションに参加し、『1枚の布』 のコンセプトをもとに、伝統的な技法と最先端の技術を独自に

応用して作品づくりを行っています。

三宅氏は常に次世代が求めるものを考えながら、新しい服づくりの方法論と可能性を示しています。

しかし、それは「流行を作り出す」ことを目指すといった、時代とともに移ろう「ファッション」ではなく、私たち

の生活と密接に結びついて生まれる「デザイン」であるという思想が根本にあるのです。

 

03_《フライング・ソーサー Spring/Summer 1994》《No. 10 スカート》(RGB)

左:ISSEY MIYAKE《フライング・ソーサー Spring/Summer 1994》1993年 撮影:宇戸浩二
右:132 5. ISSEY MIYAKE《No. 10 スカート》2010年 撮影:宇戸浩二

 

今回はそんな思想と作品が大きくA,B,Cと3つのセクションで紹介されています。

Section AとBはデザイナーの吉岡徳仁氏、そしてSection Cはグラフィック・デザイナーの佐藤卓氏という豪華な

方々が会場デザインを手掛けています。

 

会場を入ると思わず「わっ」と声が漏れてしまうほど迫力があり、まるでラン・ウェイのように1列に展示された

Section A。

 

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国立新美術館「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」展示風景 撮影:吉村昌也

 

1970年代の初期の仕事を紹介しています。写真の1番手前は『タトゥ』という作品。

衣服を”着飾るもの”といういイメージではなく、皮膚に直接描かれるタトゥ(刺青)のように一体化している印象を受け、

「一枚の布」と身体との関係を改めて考えさせられます。

その他には横尾忠則氏の作品をプリントし、一枚の長方形の布に袖口をつけた『パラダイスロスト』というコート。

そして”ピューロン”という素材を旭化成と共同開発し、素材から開発した衣服の一例である『黒い生きもの』など。

このようにアーティストや企業との協働により、常に新しい試みにチャレンジしながら発展してきた過程がよく

わかります。

 

続くSection Bでは、それまでの概念をくつがえす全く新しい服のシリーズを展示しています。

三宅一生氏が”衣服とそこに生命を宿す身体との関係”を探求し、1980年秋冬コレクションに発表した『プラスティ

ック・ボディ』と呼ばれるものです。

 

MIYAKE ISSEY展_展示風景05国立新美術館「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」展示風景 撮影:吉村昌也
『グリッドボディ』吉岡徳仁

 

会場終盤で流れる映像ではボディシリーズの1つ『ウォーターフォール・ボディ』の制作過程も見ることができます。

一枚の布がつくりだすかたちへの飽くなき探求と、それを可能にするテクノロジーとの融合。そして伝統工芸の

手仕事をも用いて生み出された作品は見るものを惹きつけます。

 

そしてSection C。

1つの大きな空間に三宅一生氏のものづくりをギュッと詰め込んだまるでテーマパークのような展示内容です。

「日々発想し、それまでにないものをつくり、新しい現実をつくる」という言葉の通り、常に進化し続ける三宅

一生氏のパワーを感じます!

 

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国立新美術館「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」展示風景 撮影:吉村昌也

 

三宅氏の最も革新的な側面を「素材」、「プリーツ」、「IKKO TANAKA ISSEY MIYAKE」、「A-POC」、

「132 5. ISSEY MIYAKE」と「陰影 IN-EI ISSEY MIYAKE」という5つのテーマに分けた展示。

内2つを紹介しようと思います。

 

まずは『プリーツ』。

プリーツがかけられた布を服に仕立てるのではなく、服の形に布地を裁断縫製した後にプリーツ加工をおこなう

” 製品プリーツ”を1989年春夏コレクションで発表しました。

(開館日の毎朝11:00-12:00にスタッフがプリーツマシーンを動かし、制作実演を行っているとか!)

1枚のスカーフから生まれたという服の形とテクスチャーが、同時に仕上がるこの独自の工程。

折り重ね斜めにプリーツをかけたスカーフを開いたときにあらわれた立体的な造形や、3ヶ所を縫い留めるだけで

シャツになることを発見したというのですから、1枚の布とどれだけ向き合っていたのか・・・その探求心に驚き

ました。

 

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国立新美術館「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」展示風景 撮影:吉村昌也

 

また、『A Piece Of Cloth(一枚の布)』と『Epoch(時代)』を合わせた造語『A-POC』では、コンピュータ・テク

ノロジーを用いて一本の糸から一体成型で服をつくりだす製法を紹介しています。

もはや衣服という域を越えて活躍する可能性がある技術です。

 

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『A-POC』国立新美術館「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」展示風景 撮影:吉村昌也

 

実際に小さいサイズのトルソーに1/2サイズのドレスを着脱させることで、畳まれてる状態からは想像できない

着た時のデザインを知るコーナー。

そして、来場者がその手でプリーツの服をジャバラに畳んだり伸ばしたりすることで、服の独特のフォルムを体感

できる、天井から吊るされた『フライング・ソーサー』など。

「心が躍るような新たな服作りの可能性」を確信できる参加型の展示もあります。

 

02_《No. 1ドレス》《No.1 ジャケット》(RGB)左:132 5. ISSEY MIYAKE《No. 1ドレス》《No.1 ジャケット》2010年 撮影:岩崎寛
右:132 5. ISSEY MIYAKE《No. 1ドレス》2010年 撮影:岩崎寛

 

最後に映像が5本。その年ごとの主な活動をまとめたものや、チームと作品制作中の三宅一生氏を覗けるものまで

あります。椅子がありゆったりと鑑賞できるので、最後まで「三宅一生の仕事」を見て帰ってください。

 

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海外の人に「日本のファッションデザイナーといえば?」と質問したら、多くの人が真っ先に三宅氏の名前を挙げる

のではないでしょうか。会場にも外国の方がとても多かったです。

 

先日別件の取材前にスティーブ・ジョブス氏について様々な資料を見ていた際、トレードマークの黒のタートル

ネックはISSEY MIYAKEにオーダーしたものだというのを知って驚きました。

さらにその着心地の良さから最初に発注した100枚がなくなっても、「同じものが欲しい」と直接依頼したという

エピソードもありました。

 

このようにこだわりが強い著名人にも支持されているのは、「革新的なデザイン」だけではなく、「着心地」や

収納まで追及しているところに、着る人への敬意を感じているからでしょう。

三宅氏のデザインは多様であり、その対象は老若男女、もちろん国籍も問いません。

本展も子供から大人まで”ものづくり”の楽しさを知ることができる構成になっています。

訪れた方にとって”自由な発想”と”未来のデザイン”にワクワクする場になっていると思うので、是非実際に行って

みてください!

 

文:山口智子 

 

◇展覧会概要◇

「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」⇨展覧会名入れてください。

会 期 :2016年3月16日(水)~6月13日(月)
     毎週火曜日休館 ただし、5月3日(火・祝)は開館  

開館時間 : 10:00~18:00 金曜日は20:00まで
                    入場は閉館の30分前まで  

会 場 :国立新美術館 企画展示室2E
              〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2

主 催 :国立新美術館

共 催 :公益財団法人 三宅一生デザイン文化財団、株式会社 三宅デザイン事務所、株式会社 イッセイ ミヤケ

協 賛 :株式会社 資生堂、株式会社マリ・アート、三井不動産株式会社

協 力 :Artemide S.p.A.
          ヴィトラ株式会社
          株式会社NTTドコモ
          キヤノンプロダクションプリンティングシステムズ株式会社
          セーレン株式会社
          株式会社丹青ディスプレイ
          東リ株式会社
          株式会社 七彩
          吉忠マネキン株式会社協賛企業

観覧料(税込):当日1,300円(一般)、800円(大学生)  

展覧会ホームページ:http://2016.miyakeissey.org

 



Writer

山口 智子

山口 智子 - Tomoko Yamaguchi -

皆さんは毎日、”わくわく”していますか?

幼いころから書道・生け花を始めとする伝統文化を学び、高校では美術を専攻。時間が許す限り様々な”アート”に触れてきました。

そして気づいたのは、”モノ”をつくることも大好きだけれど、それ以上に”好きなモノを伝える”ことにやりがいを感じるということ。

現在、外資系IT企業に勤めながらもアートとの接点は持ち続けたいと考えています。

仕事も趣味も“わくわくすること”全てに突き動かされて走り続けています。

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